零日目
響く銃声。
目の前に血しぶきが飛び散る。
瞬間体は地面へと倒れこむ。
誰かの叫び声が聞こえる。
「涼也、涼也、りょ―…」
だんたんと意識も遠のいていく。
そうか、俺は。
神代涼也は死んだんだ。
どのくらい時間が経過したのだろうか。
目を覚ました神代は見覚えのない空間に一人倒れ込んでいた。
体を起こしてみるとその空間の高さは神代の身長より少し大きいぐらいしかなく、奥行もそんなに感じられないほどであった。
しかし。
「なんで。俺は…。」
神代は必死に記憶を呼び戻す。
「そうだ。粧裕と遊園地に遊びに行ってそれで、いきなり誰かに撃たれて。」
「そう。あなたは死んだのですよ。」
神代が振り返ったその先にはその声の主がひっそりと佇んでいた。
「だ、誰だ。」
震える声で神代は問いかける。
それに対し、ピエロのような格好をしたその者は返答する。
「もうし遅れました。私は”Twice.”の支配人をしております、名を。いや支配人とでも呼んでください。」
とりあえず、言葉が通じることを確認し神代は安堵する。
そして休む間もなくさらに問いかけ。
「俺は、なぜここにいる。セカンドってなんだ。それよりお前は誰だ。」
終始興奮状態の神代をよそ目に脳に響くような声で支配人は答える。
「それは追々説明いたしますので。その前にあなたには選択してもらいたいことがあります。」
神代に答えを聞く前にさらに言葉を続ける。
「単刀直入に言います。あなたはまだ現世で生きたいですか。それともこのまま消滅し新たな人生をおくりますか。」
刹那、支配人の背後に二つの白と黒の二つの扉が出現する。
「いや、意味がわからない!どういうことだ。俺はまだ死んでないのか!」
神代は怒涛の如く疑問をぶつける。
それを聞いた支配人はなお一層落ち着いた様子で。
「白の扉を開けると嫌でも理解しますよ。」
支配人はそう言うと、人差し指を神代に向け、
「あなたが選ぶのはそう。白か黒か。白ならもう一度チャンスを手に入れることができます。黒ならここで終了です。さぁ、どうします。」
神代は考える間もなく白の扉に手をかける。
すると猛烈な強い光に神城の視界がくらむ。
「頑張ってくださいね。神城涼也様。」
”Twice.”零日目 終了。