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おーるぼんの怖い&怖くない話

K橋の花束

作者: おーるぼん
掲載日:2026/09/29

これはごく最近、僕が実際に体験したお話です。


とある日の午後、仕事を終えた僕は家に帰ろうと徒歩でC県のM市という所を歩いていました。


とは言っても、歩くのはニ、三駅分くらいで。

時間にしても、せいぜい小一時間程です。


まずそもそもとして、僕の家は都内かつ神奈川寄りですから、全て徒歩移動だと日が変わってしまいます。これはあくまでも運動不足解消のためなのです。


それに、散歩する事自体も嫌いではありません。

ですのでその日も僕は携帯のナビを頼りに、着々と歩き進めて行きました。


それから暫くすると、僕はK橋という所に行き当たりました。


それは都内K区とM市とを結ぶために架けられた橋で、その下には東京湾へと注ぐE川があります。


そんなE川は非常に大きく、横幅もまた広い。

ですので当然ながら、そこにあるK橋も結構な長さがあります。


(ちなみに軽く調べてみた所、大体四百メートルくらいあるそうです)


とはいえ、近辺に駅は見当たらないので進む他無く。


加えて僕自身、橋のような小高い場所から周りの景色を眺めるのは嫌いではなかったので。そのまま、僕は何も気にせずにK橋を渡り始めました。


周囲を見渡せば、目下には雄大なE川が広がり。

その奥では夕陽を浴びるビルの群れが、ぽつぽつと明かりを灯し始めています。


ちなみに理由はと聞かれると、自分でも特に思い浮かばないのですが、とにかく。僕はそんな風景が大好きでした。


しかし、だからと言って今の散歩が百点満点で、とても楽しいものかというとそうでもありません。


何故なら、歩道が狭過ぎるからです。


そのせいで時々、迫り来る自転車を避けなければならず、その度に僕の展望は邪魔されてしまうのでした。


と、そのようにして若干の不満はありつつも歩き進めていると。いつしか橋の終わりが見えて来ました。


事実、気付けば最初に眺めていたビルが既に目前まで迫っていて、遠くに見えていたはずの河川敷ももうすぐそこにあります。


それと、そちらから僕のいる方へと向かって来る人影も幾つか。


つまり最後にあの人達を躱せば、やっとこの狭い歩道ともオサラバ出来るのだろう。


そう思い、僕は足を早めて歩き出しました。


よくよく見てみると、人影は三つありました。

そのうちの二つは自転車で、一つは僕と同じく徒歩かつ女性のようです。


ただ前者はともかく、後者は大丈夫だろうか。

これからもっと暗くなるだろうし、家が近いのなら良いけど。


なんてことを考えながらも、僕は人々を避けるため車道側である道の左端に寄りました。


またその際、自転車のライトを眩しく感じたので、視線は正面よりもやや左上の空に合わせて。


そして数秒後、一つ目の人影が僕の横を通過しました。


何やら楽しげな声と、横目ですが大きなチャイルドシートが見えたので恐らく親子だったのでしょう。


それからまたすぐに、僕の側を二つ目の自転車が通り抜けて行きました。


ただ理由は分かりませんが、こちらの自転車に乗った方は気が急いていたのでしょうか。


なかなかのスピードを出していたので過ぎ去る直前の風と共に、それを少々恐怖に感じたことをよく覚えています。


またそのせいか、三人目かつ最後の一人である女性の歩行者も、こちらと同じようにして僕の逆側。


つまり欄干の方へと移動したのが、視界の隅にちらりと見えました。恐らく、その人も今の自転車を怖いと思ったのでしょう。


まあ何はともあれ、これで自転車は全て通過しました。漸く安心してこの橋を渡り切ることが出来ます。


さあ、それでは最後に三人目を避けて──


そう考えた僕が視線を正面に戻した時。

橋の上。いえ、それどころか見渡せる範囲にいる者は。



僕ただ一人、ただそれだけでした。



おかしい、そんなはずはないのに。


あまりよく見ていなかったとは言え、『人がいるかどうか』を間違えるだなんて、流石に有り得ないだろう。


半ばパニックにも近いような状態だったのでしょう。

事態を知った直後の僕はそのように混乱し切っていて、一歩たりとも動けませんでした。


ですが、そうしていても何かあるということは無く。次第に冷静さを取り戻していった僕は数分後、もやもやとしつつもまた歩き出します。


そして、三人目がいたであろう辺りに差し掛かった瞬間。再び僕の足は枷がはめられたようにして動かなくなってしまいました。


丁度その場所にあった花束を目にしたからです。




その花束は間違いなく供物として捧げられ、そこに存在していました。事実、その場所には花束の他にも、幾つか飲料の缶や菓子が置かれていましたから。


ですから、つまり。

僕の見た女性とは、〝そういうもの〟だったのでしょう。


とはいえ、どれだけ調べても『その橋で女性が〜』などの情報は見つからず。またそのように、何もかもが曖昧なものの存在を断言することは出来ないのですが。


ただ少なくとも、そこで身投げがあったことだけは確かなようです。

お読みいただきありがとうございます✨

また別の自作でもお会いできたら嬉しいです( ^∀^)マタネ

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