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第5話。新しい朝に、ただいま(最終話)

このお話は、私が幼い頃疑問に思った

『朝日はのぼる。夕日は沈む…じゃあ、その朝日どこへ行ったの?夕日は、どこから登るの?』とお母さんに聞いていた幼い頃疑問に思ったことをテーマに、Aiに文章を作ってもらった共同制作の作品です。


私自身がゴビの調整や行間の演出など、こころを込めて編集しています。


幼い疑問への物語

読者の私と一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです

第5話。新しい朝に、ただいま(最終話)


まばゆい光のトンネルを駆け抜け、アサヒが次に目を覚ましたとき、そこは元の現実世界――夕暮れの高台の公園だった。

空はすっかり茜色から群青色へと移り変わり、街にぽつぽつと明かりが灯り始めている。

ポケットの中の懐中時計を取り出すと、ネジは巻かれていないはずなのに、「チクタク、チクタク」と、静かに、でも力強く、現在の時間を刻み続けていた。

アサヒは公園のベンチに座り、静かに夜空を見上げた。


「お母さん……」


ぽつりと言葉をこぼしたとき、いつもなら胸を締め付けていたあの


「どうして私を置いて逝っちゃったの?」


という鋭い痛みが、不思議と消えていることに気づいた。

これまでは、お母さんが病気になった過去を、神様がくれた理不尽な不幸だと思って憎んでいた。お母さんを失った瞬間の世界を、ずっと許せなかった。でも、時間を旅して、若い頃のお母さんに抱きしめられて、アサヒは気づいたのだ。


(お母さんは、自分の人生を『何一つ後悔していない』って笑ってくれた。だったら、残された私がいつまでも過去を恨んでいたら、お母さんが生きてくれた時間まで悲しいものになっちゃう)


病気になった過去も。早くに別れが来てしまった過去も。寂しくて泣き明かした夜も。それらすべてがあったからこそ、今、お母さんの愛の深さをこんなにも知ることができた。


「……そっか。あれで良かったんだね」


アサヒは静かに微笑んだ。

起きてしまった過去を、自分の運命を、アサヒは初めて心から「許す」ことができた。

あの悲しい過去も含めて、すべてが愛おしい私の人生なのだ、と。

その瞬間、目の前の暗い夜空の向こう、東の地平線が、じわじわと黄金色に染まり始めた。夜が明けようとしていた。時間はちゃんと前に進んでいる。


「あ……」


眩しい光の中から、一人の女性が歩いてくるのが見えた。洗練された大人の服を着て、穏やかな笑みを浮かべた女性――それは、10年後の未来から来た、34歳のアサヒ自身だった。


前に会ったときの彼女は、過去を呪い、ボロボロの姿で泣いていた。けれど、今目の前にいる「未来の自分」は、まるで別人のように生き生きとして、幸福そうなオーラをまとっている。34歳のアサヒは、24歳のアサヒの前に立つと、優しく微笑んで言った。


「ありがとう、アサヒ。あなたが過去を許して、今を大切に生きると決めてくれたから。私の未来も、こんなに輝くものに変わったよ」


「私……これから、幸せになれる?」


アサヒが訊ねると、未来の自分は力強くうなずいた。


「なれるよ。だって、自分の未来を変えられるのは、今を生きているあなただけだから。さあ、行きましょう。新しい朝が始まるわ」


未来の自分は、朝日の光に溶けるようにして、すっと消えていった。


気がつくと、公園全体が生まれたての眩しい朝日に包まれていた。


アサヒは大きく深呼吸をした。


過去は変わらない。けれど、私の心が変わった。だから、これから続く未来はどこまでも眩しい。


アサヒは懐中時計をしっかりとポケットにしまうと、昇ってくる太陽に向かって、満面の笑みで言った。


「よし。――ただいま、私の新しい明日!」



一歩、また一歩と、アサヒは輝く光の中へ、力強く歩き出した。(おわり)

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