5話「準備期間」
意見や修正点があればジャンジャン言ってください。
零人と別れた俺は買い出しを済ませた後、報酬をもらう為に天玲神社へと向かう。
(昨日は朝早くて分からなかったけど、練馬区って思ったより静かなんだな。てっきり渋谷ぐらい人がいるかと思ってたわ)
そんなことを考えながら練馬区の路地を歩いていると、不意にどこからともなく叫び声が響いた。
(何だ?事件か?)
咄嗟に俺は辺りを見渡す。その次に胸ポケットに入れていたスマホを確認する。
時間は13時25分、報酬受け取りまであと20分はある。
(この距離なら天玲神社まではそんなに掛からない…行くか!)
俺は声が聞こえた方向へと走り出す。
2分程走った後、ある裏路地にたどり着いた。そこには左腕が血まみれになり、その腕を抑えながら倒れている男性がいた。
そしてその目の前にはナイフを持った大柄な男が立っていた。
ナイフを持った男が振り返り、俺に言葉を掛ける。
「おいテメェ、見やがったな?お前も殺してやるよ」
そう言いながら、大柄の男が醜悪な笑顔で血の付着したナイフを舐める。
「うっせぇよハゲ。あなた、止血できますか?それと警察に通報を」
「は、はい!」
俺は倒れている男性に声を掛けながら、ゆっくりと拳を構える。
「そうかい、じゃあ死ねぇ!」
「うお!危ねぇ!」
すると大男は何も無い空間から雷を発現させ、それを俺に向けて放ったがギリギリで避けた。
「おいおい、能力持ちかよ!何でゲートに入らなかった!?」
「うるせえ!俺はこの力で好きな様に生きんだ!」
ここで言う能力とは、氣力を自在に操れる者にしか発現しない後天的なものである。
更に、発現するときの感情によって能力の性質が大きく変わることもある。
稀に氣力を操れない者でも発現するときがあるが、大抵の場合殆どの人がうまく使えない。理由としては、能力の操作は氣力と同じような操作を求められる為、氣力の操作の仕方が分からなければ十分な性能が発揮できないからである。
更に2撃目、3撃目と追撃の雷が迫る。
マズイな、この狭い裏路地での戦いじゃいずれあの雷に当たる。
「オラァ!くたばれ!」
「危ねッ!」
しかも攻撃しようと近づけばナイフによる斬撃。早いとこ勝負を付けねぇといずれ俺がやられる。
ん?
不意に、俺の視界に鉄パイプが映った。
これだ。
俺は鉄パイプに向かって走り出す。
「ヒャッハァ!背中がガラ空きだぜぇ!」
「危ない!」
大男が最大火力の電撃を俺に向けて放つ。
しかし大男が放ったその雷は、上へと軌道を逸らしていく。
「何ッ!?」
「ヨッシャ!作戦通り!」
そう、俺は落ちている鉄パイプを上に向かって投げ避雷針の様にコイツの雷を誘導して逸らした。
「クソが!」
迫ってくる俺に対して追撃のナイフを振るが、テメェのナイフの軌道はもう完全に読めてんだよ。
右の拳を握り大男の鳩尾に目掛けて放つと、拳がジャストで鳩尾を捉えたのでありったけの力で右拳を振り抜きブッ飛ばした。
「グオオオ!」
そのまま大男は裏路地からはじき出される様にして表通りに倒れこんだ。
「うお!コイツか!」
「総員確保!」
そこに、丁度駆け付けた警察達がその大男を抑える。
やべ、これもしかして事情聴取されんじゃね?
咄嗟に俺は裏路地の奥へと消えるように去ろうとしたが男性から、
「すみません!お名前は!?」
と、聞かれたが報酬を受け取る約束があるのと、討伐屋であることを知られたくないのでそのまま全力で去ってしまった。
「ヤベェ!時間は!?」
胸ポケットからスマホを取り出すと、時間は13時40分。
「クソォオ!間に合え!」
俺は荒い息を出しながら、全速力で天玲神社へと向かう。
時間は13時43分、なんとか天玲神社の階段前まで来た。荒い息を落ち着かせて、俺は階段を登り始める。
階段を登りきったら、目の前には巫女姿の玲奈さんが立っていた。
「こんにちは、来人さん」
「こんにちは玲奈さん」
軽い挨拶を済ませると、玲奈さんが着物の中から白い封筒を取り出した。
「これ、昨日の報酬です」
「ありがとうございます。お聞きしたいんですが、昨日払った賠償金は足りたでしょうか?もし足りなかったらこの報酬を返したいんですが…」
すると玲奈さんは驚いた表情で喋った。
「いえいえ!むしろ余ったくらいですよ。その余った分も封筒に入れています」
「本当ですか?」
けど、このまま受け取るのもなんかあれなので、封筒から10万円程取り出して玲奈さんに渡した。
「え?大丈夫ですよ?」
「いえ、これは私の気持ちと寄付金だと思って受け取ってください」
玲奈さんは少し考え込んだ後、10万円を受け取ってくれた。
「それでは、私は次の依頼に向けての準備があるのでこの辺で、さようなら」
そう言い残し、後ろに振り返り歩みを進めた。
「あ、あの!」
階段の手前まで来たが、玲奈さんに呼び止められた。
「次の依頼も、頑張ってください!」
「…はい!ありがとうございます」
礼をした後、また後ろに振り返り階段を下った。
初めて頑張ってくださいって言われたわ…




