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3話「弟、襲来ー」

豹型の怪物(ゼロレイ)討伐から一日後、俺は目が覚めると手元にある時計を確認する。

針は7時を指していた。ベッドから起き上がりカーテンを開けると部屋に心地よい日差しが差し込んだ。

1階へ降りて洗面所で顔を洗った後、歯ブラシに歯磨き粉をつけリビングへと向かう。

まだ少し眠いが、10時半に依頼の予定が来ているのでさっさと準備を済ませなければならない。それに依頼の後は買い出しに行かなければならないのと、昨日の依頼報酬も受け取らなければならないので今日はやることが多い。

今日の日程を考えながらテレビを点けると、昨日討伐した怪物についての報道がされていた。


「昨日午前5時頃、東京都練馬区の天玲神社で怪物による被害が起こりました。これにより神社の一部が破壊され、周りに生えている木々や竹林の一部を切られたり燃やされるなどの被害を受けました。しかし、ハイパーバスターズの隊員が現場に到着したときにはすでに討伐されており、これに対しハイパーバスターズは、討伐屋(アウトサイダー)の仕業とみて依然調査を続けています。」


燃やした犯人は俺なんだよなあ…

あの後、燃やした木の賠償金を神社に払ったけど、足りなかったら今日貰う報酬返すか。




―3時間半後


「よし、準備完了」


食事と着替えを済ませ、リビングも整理し綺麗な状態にした。後は依頼者が来るのを待つのみ。


「ピンポーン」


そんなことを考えていると丁度インターホンが鳴り、モニターを確認すると黒いパーカーを身に纏い、フードを被っている者がいた。


「はーい」


そう言いながら、俺はインターホンに出る。


「うーっす兄貴、久しb…」


ピッ。

良し、今日の依頼達成。今日の晩飯は久しぶりに肉じゃがにするか。

直後インターホンが連続で押された。


「おーい兄貴ー、天才の弟様が直々に来てやったんだぞーさっさと開けろ―。」

「ウルセー!」

「おっ、やっと口きいてくれた」


外にいられても迷惑なので仕方なくこいつを家に上げる。

そう、「仕方なく」。


「久しぶりに来るけど兄貴の家、やっぱ居心地良いな!」

「黙れ」


そう言いながらこいつはソファに寄りかかりリビングを見回す。


コイツは古賀零人(ふるがれいと)。俺の実の弟で俺より二つ下の20歳だ。

コイツは数々の有名なゲート隊員を出す「ハイパーバスターズ専門学校」を歴代でもトップクラスの成績で卒業。16歳という若さで氣力(スピリット)を発現させ、18歳でゲートに入隊し能力を5個以上発現させている。

加えてコイツは俳優顔負けの面を持ち合わせている。言いたくはないがマジモンの天才だ。

そんな零人を周りは羨望の意味を込め、「ザック」と呼んでいる。


それで俺は何故零人が嫌いなのかというと単純に、そう単純に、ウザい。

ガキの頃はいちいち突っかかってくるし、氣力を俺より早く発現させたからってマウント取ってくるし、家にある刀を何本か壊されたり等々…


色々言ったが俺が討伐屋をやっていることをゲートに隠してくれているのはありがたいと思っている。


「何か飲み物ない?」

「トイレの水でも飲んどけ」


それでもウザいのは変わらないがな。

すると、零人が仕事について聞いてきた。


「それで兄貴、最近仕事どうよ?」

「ん?ああ、今月入って20件以上は依頼こなしたし、昨日も依頼をこなして今日はその依頼者から報酬を貰う予定。で、お前はどうなんだよ?」

「相変わらず兄貴達討伐屋がいても、俺らの部隊は全ッ然依頼は減らねぇし、事務作業も大変。でもその分、給料は滅茶苦茶多いから悪くないんだよなあ」


こいつはゲートの創設者もとい、現トップの男が直々に創設した5つの超精鋭部隊、「地球外生命体殲滅特化部隊」通称「スピリットスレイヤーズ」の第2部隊副隊長を務めている。

更にゲートでスピードが一番速いのと、わずか4ヶ月と言う異例の早さで精鋭部隊の副隊長になったことから、「最速のルーキー」もしくは「最速の男」などと謳われている。


「さて、世間話はここまでにして。兄貴、頼みたいことがあるんだ」


すると、零人は前屈みになりいきなり真剣な表情になる。


「頼みたいこと?」

「ああ、兄貴にしか頼めないことだ」


より一層、零人の表情が険しくなる。

そもそも、一般人は討伐屋に依頼しても何もお咎めは無いが、ゲートの人間が討伐屋に頼むこと自体が法律に違反し、捕まる危険性もある。最悪の場合処刑されかねない。

そこまでの危険を犯してまで俺に頼むことって何だ?


「俺のダチを、助けて欲しいんだ…」

ちなみに、スピリットというのはその人の持つ生命力や精神力などがエネルギーとして具現化したものです。

一般人にも流れていますが、何年も厳しい訓練や修行をしないと自在に出したり操ることは出来ません。

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