表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/49

4章5話 楽しい楽しい夢

 …夢を、見た。


 ここはルミエール村だ。私は色んな人に囲まれて、時たまに怪我した人を治療している。


「ありがとうねぇ」


 その言葉が、生きがいになった。でも慢心していると、ミレーヌに怒られちゃう…



 ここは、シルヴァーナ伯爵の屋敷。エレナやフィオナ、クロウにナ―シャ…皆、私を慕ってくれる。領主のガルディス様は本当の父親だと思ってくれていいと、言ってくれた。


「リン様!今日私、貴族院で…」


「リン様、一生着いていくので見捨てないでください!」


 …なんというか、個性的だけど、一番お世話になった人達だ。



 ここは、アルカナリス孤児院。私は皆の先生として、授業をしている。皆出会ったばかりの時はあまりいい関係とは言えなかったけど…皆いい子で、人を思いやれる優しい子達だ。


「ねーちゃん!」


 そう呼ばれると、心が弾んだ。本当に弟が出来たみたいで…嬉しかった。


「いつも助かっている。ありがとう。」


 仕事を手伝うと素直に礼を言ってくれるグランツェ。本当にお世話になっているのはこっちなのだ。寧ろ…もっといろいろやってあげたい。




 …ここは…夢の中。何もない、空白だった世界。


「リン、ありがとう。君のおかげで…僕は僕であれる。」


 白い髪、水色の瞳…彼女は、アラキナ。私が助けた、ヴィンセントからの刺客。

 でも彼女も被害者で…私はそんな彼女に同情して、助けようと本心から思った。…前兆はあったけど、今みたいに人の気持ちがはっきり理解できるようになったって自覚できたのはこのときだったと思う。

 何にせよアラキナにはお世話になったし、私も助けた。…所謂、相棒とも言える仲なんじゃなかろうか。



 この世界で起きたことは夢だったんだろうか。私が死ぬ間際に見た…そんな、夢…それはそれで…よかった、けど…


 夢じゃない方が、嬉しいなぁ…



 -----------------


「起きてください。リン様。」


「うん……?」


 どうやら机に突っ伏して寝ていたらしい。通りで少し身体が痛いわけだ。


「おはようございます。リン様。」


 瞼を開けば…薄紫色の髪が目に映る。どうやら今日は彼女、髪を結ってないようだ。


「おはようございます。ナーシャ。起こしてくれてありがとう…ございます…」


「いえ、それよりも寝足りないのでは?まだ3時間ほどしか経っていませんし、寝台で寝た方が…」


「いえ…今日はこれから孤児院の子達が遊びに来るんです。だから…その後…寝ます。」


 時刻はもう昼過ぎ。そろそろ…来るだろうし、起きておかなきゃ。


「あの、アラキナは…?」


「門が汚れていたみたいでついでに庭の掃除をしてくださってますよ。」


「そっか…」


 ゆっくりと椅子から立ち上がる。うわ…いたた……後でアラキナに治癒魔法掛けてもらおう…

 …これじゃあ私もグランツェさんのこと言えないね…


 時は…審議の頃から1年。私はアルカナリス治癒院の院長として、働いている。グランツェが新たにアーカナの領主にならざる負えなかったからだ。

 まぁ、これならば人に胸張って医者って名乗れるから悪い話ではなかった。職員が少ないこと以外はね。

 約束通り、ナーシャが正式に私の従者になって、アラキナは…私が望んで着いてきてもらった。彼女は治癒魔法を使えるので、実質的に治癒士として働いてもらっている。


「アラキナ!」


「あれ?リン…もう起きたの…?」


 アラキナは門の前に来た老人と話していた。どうやら…お客さんのようだ。


「いらっしゃいませ!アルカナリス治癒員に御用ですか?」


 さて…子供達が来る前のひと仕事としよう。


 -----------------


「…寝ちゃったね。案の定。」


「はい。全く、無理だけはなさらないで頂きたいですね。」


「楽しいんだと思うよ。今の生活が。」


 …かく言う私も…だが。きっと目の前でリンに毛布を掛けているナーシャも。


「それにしたって、子供達と遊んでいる途中に倒れられたらこっちも気が気じゃないですよ…はぁ…まぁ、リン様を管理するのが私の仕事…ですからね。」


「それはそうだね…あはは。私も言っておくよ。」


 昨日だって…集中力が高まってきたからって二日分以上先の書類仕事まで終わらせてて…本当に、自分の管理が下手な子である。


「さーて…僕も…そろそろ寝ようかな。」


「かしこまりました。何かあったらお呼びください。」


「分かった。」


 グッと伸びをして…自室へ向かう。そして…自室にて、本棚を睨む。


「今日はこれかな…」


 取り出したのはこの世界の基礎的な学習内容の本。


「…あと、2年。リンは2ヶ月で取ったらしいけど…私にはそれが妥当かな。僕が治癒士になれば…少しはリンも気を抜いてくれるでしょ。」


 机につき、カリカリと紙に書き記していく。


「僕は…あの日、君に救われてから…君のためになら何でもできる気がするんだ。」


 これはほんの一つの恩返しに過ぎない。

 まだまだ…恩は返したりないのだから。





これにて天才少女の異世界医療革命は終わりです。

リンちゃんがよく見ていた前世の夢が今の世界で巡り会った人達に染まっていく、そんな様子を書いて終わりたいと考えていたので想定通りにできて良かったと思います。

後はあとがきを投稿したら、本当に終わりです。1ヶ月ほどありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ