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3章7話 一方的な狩り?

今週もお疲れ様でした。なんとか毎日投稿維持してます。

 そこからの『卵』への道のりは中々にハプニングだらけ、といったところだった。

 何故も何も、魔物の発生源に近いのだから当然見つかることが増え、迎撃に魔法を使えば更にその魔法で魔物が寄ってくる。言わばループのようなものだ。

 …キリがない。だから私は、提案する。


「ちょっと私一人で動いてきてもいいですか?」


 全力で反対してきたのはフィオナ、ナ―シャ。ミルラとベグには何言ってんだこいつって目をされた。リュイとアラキナは…仕方ないといった様子だ。アラキナは分かるけどなんでリュイまで?


「…えぇと、ですね。私…過去に一度魔物と戦ったことがありまして…その際…魔物は魔力を追って獲物を認識していました。」


「そうだね。基本的な奴は大体そうだ。」


 リュイが肯定する。現役の冒険者が言うならかなりの説得力があるだろう。


「なので、魔力が少ない私であるなら…恐らく、卵まで近付けると…思います。」


「だとしても…危険…です。もし仮に見つかれば…」


「はい。なので皆さんは皆さんで…今と同じよう派手に進んできてください。そうすれば私に気づく魔物は限りなくゼロになるでしょう。」


 つまりは陽動。…無論、どちらにも危険がある。


「それなら僕は構わない。」


「俺も。」


「私も。」


 冒険者達は問題ないらしいが…やはり、フィオナとナーシャが迷っているようだ。

 ならばと私は更なる提案を重ねる。


「…少しでも危ないと判断したら私はあの一本木まで撤退します。私を、信じていただけないでしょうか?」


 その言葉が聞いたようで明らかに動揺している。…まぁ、ずるいよね、これは。


「わ、わっ…分かりました…」


「うぅ…リン様お願いですから無理だけはしないでくださいね…」


 ナーシャが名残惜しそうに私にしがみついて居るが…これぐらいで単独行動を許してくれるのなら今は幾らでも受け入れよう。


「…無事を祈ります。」


 私は一礼、祈りを捧げた後皆と別れて『卵』を目指した。


 -----------------


『卵』目前まで辿り着いた。『卵』は本当に卵のような球体であるが大きく違うのは禍々しい黒色と、放たれている圧力だ。その圧力に吸い寄せられているのか大量の魔物がそこらをウロウロしている。


 …ここ………今。今なら大丈夫。あ…魔法の音。魔物が…離れていく。


「警戒が…外れましたね。」


 完全に。魔物も馬鹿では無い。魔力で主に索敵しているのは間違いないがその両目も遺憾無く使い獲物を探している。

 しかし優先順位を考える知能までは発達していないらしく分かりやすい魔法による魔力反応を追いかけて次々に『卵』付近から去っていく。


「…勝負は一瞬。本当に効果があるかは…微妙。」


 私の推理が正しければ…この一手で異常発生は終わる。

 物陰から駆け出し…その、魔石を『卵』目掛けて投げつける。

 飛来した魔石に反応するように『卵』は魔力を放ち打ち落とそうとする。その魔力が触れたことで空中で魔法が空打ちされていくが私には特段影響が無い。寧ろ隙となり…私は一直線に『卵』に接近する。『卵』の魔力を放つ攻撃もどうやら魔力に反応してのことのようで私を狙った攻撃は飛んでこない。

 そして…


「これで…どう!」


 直接、魔石を叩きつける。瞬間…魔石の魔法印が『卵』の魔力に呼応し、発動する。


「『中断魔法』!」


 起動されしその魔法は強制的に現時点で発動している魔法を一定範囲内で解除する。

 一見何が起こったか分からないその魔法が…『卵』の、闇を払った。


 -----------------


 私は『卵』というものを誤解していたのかもしれない。てっきり、形が本当にまんま卵だから『卵』と呼ばれているのだと…そう思い込んでいた。

 球体だから『卵』なのではなく…幼体が孵化するためのものだから『卵』なのだ。つまり、つまりだ…何が言いたいかと言うと…


「っ……」


 闇という名の掛けられていた魔法が解かれた『卵』は最後の抵抗を始めた。異常なまでの、生存意欲。それらが私を殺そうと襲いかかってくる。


 鳥型…蛇…狼……足元注意!…というか、魔物が出現する度に『卵』小さくなってる?

 仮にこの現象に何らかのエネルギーが必要であるなら…


「いつかは限界が来るのでしょう。そして…」


 ここまでの私という一個人を殺すための過剰なまでの防御行動。これらが示すに…


「本体は脆いんですね。」


 よほど狙われたくないと、そう見た。なら私のすべきことは決まった。…撤退しようかとも思ったが…この程度なら、問題は無い。


『…魔物の数、15体補足内2体のみ私に気付いている。2体の処理優先度…高。』


 襲いかかってくるのは狼の魔物。どちらも体躯は牛ほどのデカさ。その体格によって凄まじい膂力が見られるがその分デメリットも見えてくる。


『…視野が狭い。その上小回りも効きにくい。』


 飛びかかってきた狼の下をするりとくぐり抜け、背後を取った。すぐさま振り返り反撃しようとするが…


「ギャッ!?」


 私の針がそれを許さない。的確に投擲された4本の針。それらは瞬く間に狼2匹の視界を奪った。


「私…狩りはした事ないんですが…なんとなく、分かるんですよ。」


 こうなった場合の『生き物』共通の本能。

 それは…


「生きるために、醜くあがくしかないんですよ。ほら、こっちです。」


 先程よりも凶暴に…そして単純に、狼達は唯一残された外部の情報を得る手段、聴力に頼って私へと襲いかかる。…が


「あら…魔力の探知は出来なくなるんですね?」


 ひゅるりとかわせば、狼達の目先にあるのは魔力を放ち続ける球体、『卵』であった。


「…!」


 卵は狼達に気付いたようで魔力の鞭で迎撃を試みる。しかし視覚と聴覚を奪われた狼は別の敵と判断しより必死に抗い続ける。


『魔物2匹…無力化成功。現時点で『卵』の注意も引けている…なら』


 後は同じように…罠にかけていくだけである。


 -----------------


「15…」


「…!!」


 口にした数は?無論…卵が生み出した魔物達を再びその腹へ戻してやった回数だ。

『卵』は今もなおなんとか魔物達をいなしているがやはりどうも力が足りないらしい。…だから、『卵』なのかもしれないが…


「……そういえば……アラキナ…リュイさんに付与されてた魔法に気付いたんだよね…?だったら…」


 誰にでも出来る技術なのかは魔法の使えない私には分からない。ただ……あの卵は証拠になりうる…のかもしれない。

 ならばどうか、今は丁度『卵』も魔力による威圧が大分減った頃合いで…なんなら…今、魔物が…


「ちょっと考えすぎた!」


 余裕が出来たからって流石に思考しすぎである。

 魔物達に加減は無い。目も視覚も潰されればそれはもう必死に暴れる。その牙や爪が…『卵』へと集まっていく。全ては…魔力を追って。


『数は4…恐らく同士討ちと卵による攻撃で疲弊している。速度は……多分間に合う。タイミングは…口を開いた、今!』


 私の手から放られる糸は自在に動き、魔物の口を取っ掛かりとして…無理やり動きを止める。ただ尋常じゃない力で引っ張られるため私も長くは持たない。糸の束を括ったナイフを地面に突き刺すと私はすぐさま空中に跳ねた魔物の下をくぐっていき…


「もう、逃がさないからね…!」


 がっちりと、その卵を捕まえた。卵からはもう反撃も何もない。ただの弱弱しい球体である。

 ただ少し無理をしたため私は体制を崩してしまい…抑えられていた魔物達が『卵』の纏っていた魔力の残滓へと寄ってきて…


「まず…」


 …久しい感覚。失敗したという、久々の。少し成果を欲張りすぎた。

 判断が悪かったのだろうか。それとも…運がよくない?せっかくもう一回人生を始められて…

 思い出すのはこの世界にきて優しくしてもらったことばかり……ダメ…死にたくない!


「もう…どうにでもなれ!」


 卵を投げつける。瞬間にパリンという何かが割れる音がしたが気にしない。十分な隙は出来た。今のうちに…


「グルゥウアァァ!!!!!!!」


 と…私が再び動き出そうとした瞬間…それは『孵った』。

 それは、おとぎ話の存在。精霊などと同じような伝説の。

 それは、白の鱗と水色の三白眼、さらには角と大きな翼が生えている。

 そしてそれは……巨大で、圧倒的、全てを『凌駕』する存在であった。

 それを分類するとすれば正しく…


「…『竜』?」


 ファンタジーそのものを体現したような存在が、目の前に現れた。







『竜』はかつてこの世界の頂点にあった。しかし世界は朽ち、魔力の減少により数を減らして行った。

『竜』は魔物では無い。知能が高く人の言葉を喋る個体も存在する。


とまぁ、初めてまともに人外を書いた訳ですがこれも十中八九ヴィンセント絡みです。あいつが全部悪い!!

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