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3章2話 ヴィンセント・アルカナ

毎日寝る前に予約投稿するので起きた時すごい不安になるんですよね。

 最初は……侮っていた。小娘だと。違和感はあったが。

 2度目、試験に来た日……驚いた。私は触れたから分かった。あの娘に魔力は無かった。なのに……生きている。そして、私の知らない、あれはかなり前の時代の医術だ。実に興味深いが……私の嫌いな下民ということでもあった。シルヴァーナの圧力もあるため合格にはしたが、アルカナリスへと閉じ込めようと考えた。あの地には治癒士は少なく激務になるだろう。その上孤児院も見てこいと命令し、少なくとも2、3年は会わないと思っていた。

 ……そして、つい先程……3度目。実験に使っていた魔力の供給が少なくなったため、アラキナに行かせた後、何の連絡もなく仕掛けていた魔法の反応が消えた。死んだか、何か事故にでもあったのかと考え何か知っているかもしれない小娘を呼び戻した。ついでに孤児院再建についてや、魔物の異常発生について話そうと思っていたのだ。だが……


「ふざけるなよ……」


 あの小娘は、アラキナを連れ……私の元を訪れた。それが何を意味するか等誰の目にも明らかである。


賢人(けんにん)である私に挑むということがどういうことか……身をもって教えてやる。」


 怒りのまま、言葉を吐き散らす。

 あの小娘……それとアラキナ。シルヴァーナごときの後ろ盾がいつまでも持つと思うなよ?


 -----------------


「って、キレてると思うな。あの人、結構感情的なタイプだから。」


 馬車に揺られる中、軽い口調で言う。今は暇つぶしにヴィンセントが私達が消えたあとどんなはんのうしたかを予想中なのだ。


「解像度高……」


「でしょ。伊達に3年もあの人の元で働いてないからね。」


「……辛かったね、これから分からせようね…」


「変に同情されるとちょっとやりにくいんだけど!?」


 大分アラキナの扱いが分かってきたと思う。

 こうやってイジるのも……なんか、私…人との会話上手くなってる?


「これが成長…!」


「10歳にしては……いいんじゃない?身長も高めだと思うし…その、発育も悪くないし。」


 そうでは無いが…それも嬉しい。ちょっと前、幼女扱いされていたのだ。良かった私は幼女じゃない。なんか精神性まで引っ張られそうになる時あるから怖いんだよね。


「そう言ってくれるのはアラキナだけだよ……」


「あぁ……そう。……いや、私は身体のことよりも精神年齢の高さが気になるけど…」


「…色々あったの。うん……」


 語ればあまりにも濃い、そんな日々である。何度吐きそうになったか……何度隠居したいと考えたか……言うまでもない。それでもこっちに来てからの日々は忘れたくない。絶対に。


「…まだ、何も返せてないから…」


「…?」


「ヒヒーン!!」


 馬が、突然鳴いた。それもまるで…悲鳴のようなもので…直後、馬車が揺れ出す。激しい揺れの中…一瞬、安定したかと思えば…今度は唐突に浮遊感が襲ってくる。


「なんかデジャブ…!」


「『ミル・アルカス』」


 私は咄嗟に馬車から飛び降りる。続いてアラキナがクッションになるように防御魔法を使った。


「上空に気を付けて!鳥型の魔物!」


 着地後、アラキナが短く言う。空を見上げてみれば確かに、カラスを大きくしたような鳥が鋭い足で馬車を掴んでいた。


「…多分、操られてる。膨大な魔力が…」


「っ…逃げましょう!」


 あーもう、やっぱりね。でも…この程度で私をどうこう出来ると思ってるなら…大間違い、だよ。


「クロウさん!お願い!」


「おうよ!」


 私が言った瞬間、私とアラキナを抱き抱える男が現れ…そして、一瞬にして姿が闇に消える。


「保険も無しに敵地に行くわけが無いってことですよ。」


 -----------------


 久々の転移の感覚を味わった後…私達はガルディスの館に戻っていた。


「リンちゃんの言う通りだったなぁ…手が出るのが早すぎんだろ。」


「はい。着いてきてくださって助かりました。クロウさん。」


「ま、マスターのお願いだしな。そりゃ聞くしかないわけよ。ははは。」


 そう言うと眠たそうに欠伸をしながらエレナの私室の方へ向かっていった。恐らくは報告だろう。私はガルディス様の方へと向かう。


「ただいま戻りました。」


「リン!」


 勢いよく部屋の扉が開かれ大男が私に抱きついてきた。


「えぇ!?」


「よく無事で…」


「あら、逃げるつもりですか…旦那様。」


「ひぃぃぃ…」


 …なんか、懐かしい光景があった。

 フィオナに鋭い眼光で睨まれながらそれに怯えるガルディス。ミレーヌに叱られていた時と一緒では無いか。

 …ということは…


「おかえりなさいませ。リン様。旦那様をお引渡し下さりますか?」


 全力でガルディス様が首振ってる…もしかして…


「何をやらかしたんでしょうか?」


「先日、冬の領主会議の会食にてどうにもお酒を飲んできたみたいで…えぇ、それもしっかり酔うほど。」


「どうぞ。」


「えぁ」


「ありがとうございます。お話は後程伺いますので、楽にしていてください。」


 ガルディスの首根っこを掴んでどこかへ去って行った。とても主とは思えない扱いである。

 …最近は健診して無かったからね…ありがちだとは思うけど…自分で気をつけて欲しいなぁ…


「…エレナ様の方に行きましょうか。あれはしばらくかかりますよ。」


「そうだね…」


 私は先程のものは見なかったことにして、アラキナを連れエレナの私室に向かうのだった。


 -----------------


「お洋服、助かりました。」


「とんでもないです!お役に立てたなら、良かったですわ。」


 エレナの部屋にて、ようやく着替えることが出来た。正直、借り物だから傷付けないように動くのが神経使うから疲れるんだよね。一安心である。


「…それで、クロウから聞きましたが…」


「はい……どうにも行動が早いですよねぇ…」


 まるでこちらの考えが読まれてるみたいで気持ちが悪い。まぁ、実際賢そうだし読んでいそうだが…


「…リン様には、まだお話していませんでしたね。ヴィンセント様が…いえ、ヴィンセント・アルカナという人物が一体どういう人物かを。」


 改めて向き直り、エレナが言う。確かに…なんか禁忌の魔法使って悪いことしてる!その上魔法至上主義を作り上げた張本人!みたいな曖昧な感じでしか認識してない。…それを知ることに、何か意味があるということだろうか。


「こちらに、クロウが調べた情報を纏めております。」


 ドサッと、机の上に紙の束が置かれる。それら、全てが…どうやらヴィンセントという人物の情報らしい。


「結構苦労して集めたんだよ…読んでくれ。というか読みな。」


「クロウ…」


 失礼です、とは言わない。それほどの、価値があるものらしい。


「分かりました。何から何まで、ありがとうございます。」


 礼を言い、部屋を出る。そして…自分に与えられた部屋に、およそ2ヶ月ぶりに帰る。

 私が居ない間も掃除はされているらしく埃を被っているとか、そういったことも無い。快適なままだ。


「…では…読みましょう。アラキナも。」


「えっ…と?」


 困惑している。きっと…まだ新入りの私が見てもいいのか?ということだろう。それなら問題は無い。約束もあるし…何より


「貴方から見たヴィンセントの情報も欲しいですし、この量を一人で見ろと、貴方は言うんですか?」


 その量…というのが、多分軽い辞書レベルじゃなかろうか。

 いくらクロウが潜入向きでもこの量を集めるのにはかなりの労力と時間が掛かるのは分かるし、読んで覚えるにはその倍は時間が掛かるだろう。


「まずは敵を知ることです。貴方は共犯者でしょう?」


「…分かった。でも、本当に見てもいいの?」


「別に秘密の情報ってわけでも無いと思うよ…特に、アラキナからしたら。」


 ちらっと見たが…多分、ヴィンセントの実験体だったなら知っている情報も多くあったはずだ。確信を持つためにもぜひとも読んで頂きたい。


「そう、なんだ…じゃあ…」


 ちょこん、と私の隣に座り、書類の一つを手に取る。…楽しい読書会の始まりである。


 -----------------


 表に出ている情報


 ヴィンセント・アルカナ(30)

 生まれはアルカナ領アルカナ伯爵家。

 適正属性は炎、光。貴族院に通っていた頃から首席の才能を持っていた。

 魔法騎兵団の団長を務めていたが隣国との戦争の負傷を機にアルカナリスで治癒士に転職。

 その経緯からか貴族達からの信頼が厚い。

 10年前、魔法教育について論文を発表。その結果が認められたことでその後の教育の主導者として賢人(けんにん)に任命される。

 国会、審議会等にて結果を出す中治癒士としても躍進し、ルナリスにて治癒院院長となる。


 -----------------


「まさに成功者…って感じですね。」


「うん…大体こんな感じだったと思う。多分一般人からの評価も似たようなものだと思う。」


「…では、こちらが本命ということでしょう。」


 こちら…「世に出回っていない情報」である。


 -----------------


 世に出回っていない情報


 …見る前に。読んだ後ちゃんとマスターに礼を言えよ?こればかりは貸1だ。苦労したんだぜ?


 

 貴族院にて、魔物の研究から魔物を操る魔法を秘密裏に開発。

 隣国との戦争時、魔物を操る魔法にて両軍に被害を及ぼす。これは魔力を集めるために行った可能性が高い。

 治癒士としての活動中、アルカナリス孤児院の利権を譲渡され孤児達の魔力を密かに集めだした。

 魔物を操る魔法をより強くした古代魔法であり禁忌とされている人体操作魔法の研究のためである。

 また、アーカナ領領主とは裏で繋がっており次期王として見据えるべく「人体操作魔法」の研究を早めていると推測される。


 現時点での魔法の完成度は7割程。

 必要な魔力量は孤児100人分。一般的な人だと20人程?

 魔法の研究はアルカナ領にて行っていると考えられる。アルカナ領で行方不明になる事象が起きていると噂されているため。


 性格は表で出ているものとは全くもって逆で狡猾で、執念深いとされている。使えるものは何でも使い敵となったものには容赦しない。


 これも噂程度に聞いたことだが何やら貴族間で禁忌の魔法についての法を見定める審議が行われるかもしれないという話があるらしい。もしかしたら…そこで、なにか動くかもしれない。


明日の投稿無いかもです!書き溜が…あんなにあった書き溜…どこ?

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