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2章6話 診断と目覚める何か

なんか筆が乗って大量に書き溜め出来たのでしばらく毎日投稿続きます!

ブクマつけてくれてる人本当にありがとうございます!

「足怪我してて…いひゃい!何それ染みるっ!」


 先日足を怪我した(私がやった)のがケニー。栗色の髪に黄色の瞳が特徴的だった。

 特に異常なし。



「腹が未だに痛いんだよ。なんとかならねぇか?」


 お腹をさすっている。私の見立てだと多分骨にヒビ入ってるね。正しいこととは言えやりすぎだよナ―シャさん…

 そんな不遇1号なのがイグマ。金髪に青色の瞳、肌が白いから綺麗にすればめっちゃモテそう。

 肋骨にヒビあり。




「足捻ったのか動かす度にいてぇ…」


 診れば足が腫れていたため即刻大人しくしているように言い渡した。…原因多分私の落とし穴だけど黙っておくことにする。ちょうど用意していた氷水が役に立ったよ!やったね!

 そんな不遇2号はカルア。青髪に薄い金の瞳。他と比べてよく日に焼けている。聞いてみれば日中動くのが彼の役目なんだそう。



「何故か分からないが幼女に首を絞め落とされる夢を見たんだ…重症か?」


 重症ですねお薬だしておきまーす…幼女て、中身的には気にしちゃうんだけど。

 レイは黒い髪に藍の瞳だ。ナイフの腕が自慢らしく見せつけようとしたのでナ―シャが振り落とした。



「ニアが一緒じゃなきゃ、やだ。」


「フェナは一緒じゃないの?」


 と言ってきたため纏めて二人見ることになった。全く持って我儘…と言いたいところだが彼女たちからすればよく分からない人がよくわからないことをしていてそれに付き合ってやっている、という感覚だろうし仕方あるまい。


 ニアが軽い栄養失調。話によればご飯をルアンやフェナに分け与えていたそうであまりの境遇に私の内なる何かが目覚めた気がする。

 反対にフェナは健康も健康だがどうにも喋りが拙いのが気になる。要観察だろう。

 よく食べて清潔にしてしっかり遊んで寝れば元気になる…はず!



「俺が最後なのか?」


 最後はルアン。褐色の肌はいつ見ても彼が健康的に見える。どうやらスラムでニアやフェナに会う前は一人で色々していたらしい。あまり言いたそうでは無かったため深堀はしないが…

 ニアとフェナはやっぱり元は孤児院の孤児だったらしく彷徨ってスラムに来た二人に生きる方法を教えたらしい。

 健康体も健康体。多分珍しいんじゃないかな。こういう境遇の子だと。


 少々疲れたが……なんとか今のところの8人の子供の健診を終えた。


 -----------------


 健診は終わった。次は……孤児院を孤児院として機能させる必要がある。

 既に何日か勝手に居座らせてもらっているが正式な手続きはまだである。


「現状は治癒院が権限を持っているけどそれを放置している……と。土地関係の法には疎いからなぁ…」


 頂戴と言って貰えるなら苦労はないだろうがそうも行かないだろう。

 誰か土地の利権関係に詳しい人が居れば……


「大抵ここのように放置されたものどあれば申請すれば通りますよ」


 ナーシャが私の呟きに対して答えた。


「そうなんですか?」


「はい。但し、本当に放置されていたかの調査をしてから、その上で契約金を払ってですね。」


「……うーん……」


 私自身で管理しても良いが……何か引っかかる。


「何もそれ一択というわけでもありません。まずは治癒院に直接管理の権限を譲るように直談判するべきでしょう。」


「ですよね……分かりました。今から治癒院に向かいましょう。」


「かしこまりました。」


 一段落したと思えばまだまだ始まってすらいない。……先が思いやられるなぁ……


 -----------------


 孤児院からおよそ3時間ほど掛けてアルカナリス治癒院へと辿り着いた。

 馬車は嫌だったので歩きで向かったからか足の裏にタコが出来た気がする。

 そんなことはどうでもいい。私は今、扉の前にて覚悟を決めている。


「私は治癒士ですこれが資格です私は治癒士ですこれが資格です……」


 何度も何度も、繰り返しイメトレした。ナーシャが呆れてドアをノックするまで。


「……また其方か。何用である。」


 遡ること3日前に私を入れてくれなかったのと同じ真面目そうな神官が出てきた。


「あの!私治癒士です!資格がこれでひゅ!」


 めっちゃくちゃに噛んだ。……どうしようかこの空気。


「……む……まさかとは思ったが……そうか。私の不手際だ。入るといい。」


 ……思っていたよりも話は通じるらしい。少し安心しつつ私とナーシャは治癒院へと入る。

 治癒院の中はルナリスとは違い少し狭く、祈祷の場などは無さそうで本当に最低限、人が暮らし仕事ができるだけの机やら椅子やらがあるだけだ。


「この度は申し訳なかった。話には聞かされていたがまさかその噂の治癒士がうちに来ると思っていなくてな。君達が来た少し後にヴィンセントから連絡があったのだよ。ようやく一人追加でここに派遣されると。」


 向かい合うと早速彼は謝罪した。どうやら手違いがあったらしい。

 というか……なんかこの人、見るからに疲れてそうなんだけど……


「いえ……その件は大丈夫です。ただ……あの、顔色が悪いみたいですが他の治癒士の方はおられないのですか?」


 堪らず聞いてしまった。それほどに、状態が良くないように見える。


「む……あぁ、今日はまだ治癒魔法を掛けていなかったな……済まない少々待ってもらえるか。」


 そう言うと何か目を瞑りながら呟き、自身の手のひらを胸に当てた。


「『ミル・ヒール』」


 初級の治癒魔法。それによって眩い光が狭い空間に充満する。


「もう大丈夫だ……それで、わざわざ来たのだ。何か用があるのではないか?」


 察しがいい。喋り方から溢れていた賢さは本物のようだ。

 話が早くて助かる。


「あの……孤児院について、なんですけど。」


「…………あぁ、君に言ったな。」


「はい。その、ご存知か分かりませんが随分と前に孤児院は移転し、街の南の方へありました。そして……事実上の倒産となっています。」


 私の言葉に少し眉が動いた。多分動揺しているみたい。


「……聞いていないな。少なくとも私が引き継いだ際にはそのような話は無かったが……だが、確かヴィンセントは他のものに利権を渡しこちらからは必要な時だけ治癒士を派遣するようにと…」


 また、である。またその名前。私が、何かきな臭いと感じる理由。

 それは追々わかる事として、今は言わなければならないことがある。


「その、ですね……私に、孤児院の管理を任せていただけませんか?」


「む…?良いのか?南の方にある……それだけでこの辺りのものは大抵察するぞ。」


「構いません。」


「そうか。ならば任せる。」


「ありがとうございます。」


 礼を言い、対話は終わった。これにて正式に私の管理下となったのだが……トントン拍子過ぎて少し怖い。

 ……あ……教訓!?忘れてた!


「えっとぉ……あの、自己紹介がまだ、ですよね?」


「其方の名は知っている。シルヴァーナ伯爵専属治癒士のリンであろう?」


「はい……その、えっと……」


「私はグランツェ・アーカナである。これから、よろしく頼む。」


 やっぱり察しがいいなぁ。グランツェさん、だね。薄い赤髪に黄色い瞳。ちゃんと、覚えた……


 ……アーカナ?


 -----------------


「馬車を出そう。」


 そう言われたため仕方なく、私とナーシャは馬車に乗り再び孤児院へと戻った。

 何度も言うがほんとうにもう勘弁して欲しい。

 道中、シーアさんのお店に休憩がてら寄ってビルグレイさんの生存報告としばらく借りることを連絡した後、孤児院に帰った。

 帰る頃には既に日が沈んでおり孤児院の辺りは真っ暗だ。


「ただいま〜……」


「あっ、ねーちゃんおかえり!」


 完全に気分の悪さから元気の無い声で言うととても大きな声で返事が返ってきた。

 その声の主はポフっと音を立てて私に突撃し抱きついてくる。

 ……なんかすっごい元気湧いてきた。何これ。


「……どしたの?」


「あっ……えっと、ごめんなさい……」


 …………なんだ……ろう、この感覚……

 なんか、凄く……撫で回したい。


「驚いただけだから、大丈夫……ん?」


 玄関の奥を除けばニアとフェナも座っている。フェナの方が眠ってしまいそうだが。


「おい、ニア、フェナ!ねーちゃん帰ってきたぞ!」


「あっ、うん……おかえりなさい……フェナ、起きて〜」


「うゅ……」


 あまり歓迎している雰囲気では無いが出迎えてくれたことが嬉しかった。

 どんな変化があったんだろうか。不思議でならないが……


「……ルアンうるさい……一人で待つのが怖いからってこんなことに付き合わせないで……」


 起き上がったと思えばそれだけ言うとフェナは階段を上がって行った。ニアは申し訳なさそうに笑うと続いて行く。


「……別に怖かねーし!……ほんとだかんな!ねーちゃん!」


 強がっている。それが……年相応で、微笑ましい。もしかしてさっきのも……ちょっと怖くて勢い余ったのかもしれない。それなら納得である。



 私は、この子達のこの平和を、この日常を……守れるだろうか?



ルアンのねーちゃん呼びをひっそりと定着させていってます。いつかは自然な姉弟にしてやるぜ…

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