5.沢山の視線
頭が痛くて目を開けると、私はベットにいた。
…なんで?
とりあえず、落ちる前の記憶を探ぐ…
『だ、大丈夫ですか〜?』
…思い出す前に邪魔が入る。
『大丈夫じゃない、えっと、何があったんだっけ?』
『ミオさんは神殿で祝福を受けた後、おにーさんに抱きついて泣き出してそのまま寝落ちしたので、おにーさんが連れて帰って来ました』
『おk』
『そ、それと、額に神紋が』
『神紋?』
『は、はい、祝福を受けると、体のどこかに紋章が現れます。血筋の祝福は左手、一代限りの祝福は右手、加護の場合は額に現れます、偽ることはできません』
『ふーん、それで?』
『額と左手、紋様ありますよ』
『え゛?』
と驚きながら左手を見ると、百合の花束らしき紋章が浮かんでいた。
そして、ベットから降り鏡の前に立ち前髪を上げると、そこには三日月の紋章が浮かんでいた。
『それが加護です』
『わーお、あれ?三日月?』
『はい、私の神紋は月なんですけど、ミオさんはまだ、完全に開花してないので』
『開花?』
『ミオさんはまだ子供なので力に体が耐えられないので5分の1の力だけです』
『成長したら勝手に開花する?』
『はい』
『そっ、ならいいや』
と言いながらベットにダイブする。
『あっ、そうだ、ミオじゃなくて、ミアって呼んでね』
『はい、わかりました』
『あと丁寧語やめて』
『えっと』
『や め て』
『む、無理ですよぉ〜』
『なんで?』
『普段からこの口調ですしぃ』
『自分より下の神様にもそんな感じなの?』
『はい』
『まあ、ならいいや』
と喋っているとコンコンとドアを叩く音がする。
「だーれ?」
と聞くと
「兄様だよ、入っていい?」
とカーライル兄様の声がする。
「うん、い〜よ」
返事すると、扉を開けてカーライル兄様が入ってくる。
『話しかけないでね』
とイリアに言う。
「大丈夫?」
と心配そうな表情で聞いてくる。
「うん、だいじょーぶ、ありがとー、かーらいるにーさま」
と返す。
舌足らずなせいで上手く喋れないのがもどかしい。
「うん、よかった」
「かーらいるにーさま、ピカーってなったやつなーに?」
イリアから色々すでに聞いているが、一応、まだ習ってないので聞いてみる。
すると、一瞬ビクッとなって固まる。
そして
「えっとね、うーん…ミアの髪色は銀色でしょ?」
「うん」
「その色はね創造神、えっと、とっても偉い神様とおんなじ色なの」
「うん」
「水晶が、あっえっと、あの、まあるい綺麗な玉、あれが光ったのはそのとっても偉い神様にミアが好かれてる、神様がミアのことが好きだよってことなの」
「ミアのことがすき」
「そう、好きってことなんだ」
「じゃあ、これはなーに?」
と聞きながら前髪を手であげて額の神紋を見せて言う。
「それは、多分、神紋だね」
「しんもん?」
知っているが、聞く。
「えっと、えらーい神様の印なんだ、ミアが好きだよって言う印」
「そーなんだ!ミアのことすきなんだ!」
無邪気な子供のふりって結構、こう、精神的に、グサグサくる。
なーにも考えないようにしなきゃいけないの、意外と大変だ。
『が、頑張ってください』
…なんか応援された。
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カーライル兄様に抱き抱えられたまま部屋を出る。
…あれ?人が多い気がする。
いつも私が会うのは専属メイドのミレーと乳母、それから母や兄たちの専属メイドだけだ。
めっちゃ視線が刺さる。
嫌悪などの負の視線ではなく、物珍しさ、好奇心、畏怖、尊敬、崇拝。
…崇拝!?、あっ、銀髪だからか。
そっか、今まで人に会うことがなかったのは私が銀髪だったから。
神子だったから。
あれ?銀髪なだけで、神子なだけで崇拝されるって、ヤバくね?
まとめ
人物紹介
母
→セレネ、金髪青眼、実家の家系は美の女神セレーネの加護を受けている
父
→カリオン、黒髪黒眼、皇帝
皇太子
→カーライル、黒髪黒眼
第二皇子
→ヴァルター、金髪黒目
第三皇子
→ユリウス、金髪青眼
末皇子
→アドリアン、黒髪青目
美の女神
→セレーネ・ヴァリス
創造主、創造神
→イリア、正確にはもっと名前が長いらしい、ポンコツ
上?
→創造主(創造神)であるイリアより上の存在、よくわかっていない、澪猫のことを気に入っている
主人公が手に入れたチート
→前世の記憶、この世界の知識(細かいことはなし)、神と会話する力(神託)、(New!)どんな視線かわかる
第一皇女
→ミオリア、主人公、神子、銀髪赤青のオッドアイ、創造神の紋章(神紋)を持つ




