3.ダメ女神
『』は過去のセリフor周りには聞こえない主人公だけが聞こえる声です。
()は神様も聞こえてない、主人公の心の声です。
ってことを思い出しました。
只今、3歳の澪猫ことミオリア・ヴェルネイルです。
いや、まあ、赤ちゃんから前世の記憶を覚えていたら地獄だから助かるけど。
「ミア!大丈夫かい?」
と声をかけてくるのは私の兄であり、このヴェルネイル帝国の皇太子である、カーライル・ヴェルネイルだ。
家族で私の誕生日パティーをしていて、いわゆる誕生日席に座っていた私は急に頭に流れ込んできた記憶に混乱して椅子から転げ落ちたのだ。
地味に、というかめちゃ頭が痛い。
神様、タイミングもうちょっと後でもよくなかったか?
いや、無理か、だってあの駄女神だもん。
しょうがない、とはならない。
まじ痛い、ふざけんな駄女神。
『そ、そんなに言わなくてもいいじゃないですかぁ〜』
と、泣いているのが簡単に想像できるイリアの声が頭の中に響く。
が、私は同時に二つのことを考えたりすることは無理なので、とりあえず聞こえなかったことにする。
「だいじょーぶ、泣かないで、かーらいるにーさま」
と言いながら、屈むどころか床に膝をついているお兄様。
皇太子だろ、おい。
そして、私の周りに集まってる家族たち。
末皇子で黒髪青目のアドリアン、第三皇子で金髪青目のユリウス、第二皇子で金髪黒目ヴァルター、第一皇子であり皇太子で皇族の象徴である黒の髪に黒の瞳を持つカーライル。
そして、美の女神と呼ばれるセレーネと同じ金髪青目を持つ母、セレネ。
皇室の象徴の色を受け継ぎ日本人ですら珍しいほどの綺麗な黒髪黒目の父、カリオン。
『あっ、ちなみに初代皇帝は転移者ですぅ、みおさんの母親のセレナさんはセレーネちゃんの末裔ですよぉ、セレーネは生きてますけど』
うっさい、黙れ、今じゃないよ。
『うぅ、みおさんが冷たいですぅ』
、、、、、、、、、、、、、、、
疲れた、疲れたよ、マジで。
あの後、心配する家族を宥めてパティーを続けた。
そして、今日受けるはずだった洗礼は後日することになった。
お父様によって。
職権濫用だが、私的にはありがたい。
「って、ことで、なんでイリアのこえがきこえるわけ?」
『えっと、その、友達、ですし、ダメ、でしたか?』
「も〜、しょうがないな〜」
「皇女殿下?何かありましたでしょうか」
と、急に部屋の外から声がする。
メイドのミレーだろう。
やべっ、今の私って一人で喋ってるやばいやつじゃんと気づく。
「だいじょうぶ〜!ありがとうみれー」
というと、足音遠ざかっていく。
「ふぅ〜」
『あ、頭の中で会話できますぅ』
「へ?」
『え、えっと強く私に喋りたいって思いながら考えればこっちに声が届くようになっているのでぇ』
『早く言え』
『ご、ごめんなさいぃ』
『で?お母様がなんだって?』
『セレネさんは美の女神のセレーネちゃんの恩恵を受けている家系で、ほら、ヴァリスってセレーネの苗字?みたいなものなんですよ』
『どゆこと?』
『美の女神の本名?はセレーネ・ヴァリスなんです、セレネさんの実家?ってヴァリス公爵家でしょう?』
『いや、知らん』
『えっと、ヴァリス公爵家なんです、ヴァリス公爵家の家紋って白百合が描かれているんです、複数の』
『ふぇ〜、ちな、なんで複数?』
『白百合は一本だけだと、死を意味するんです。複数だと純潔、無垢っていう花言葉があります』
『ふーん、なる』
『きょ、興味なさすぎじゃないですかぁ』
『うん、正直、もうどうでもいい』
『興味なくなるの早すぎますぅ』
『まっ、しょうがないしょうがない!』
『軽いですぅ!後、気になることはありますか?』
『ねぇ!聖獣が欲しい!』
『ふえ?!』
『聖獣だよ!聖獣!』
『ど、どうして突然』
『いや〜、なんか知識としてさ、この国って守護聖獣がいるんでしょ?』
『い、いますけど』
『欲しいなぁって』
『えぇ〜、で、でも、な、なんでですか?』
『もふもふが!欲しい!!!!』
『ぅわっ!こ、声がでかいですぅ』
『欲しい!』
『こ、これ以上は流石にぃ〜』
『ね!お願いお願い!』
『え、で、ですが、流石にこれ以上は』
『?誰と喋ってるの?』
『わ、わかりました、で、ですが、いいんですか?』
『?』
『じょ、条件付き、なるほど』
『??』
『おっけーが出ましたぁ、条件付きですけどぉ、いいですか?』
『ん〜、条件を聞くのが先かな』
『まず、今後、起きるであろう以上事態に我々神の使徒として対処してもらいたいです』
『そこ、詳しく』
『神の間でも問題になっている。魔力暴走についてです。人間が、特に貴族がです。』
『どうしろと?』
『近親婚による遺伝性疾患はこちらで対処するしかないので私が対処を頑張ります』
『どうするの?』
『そこは、まあ、神のパワー的なやつで』
『つまり、よくわかんないやつでどうにかすると』
『はい、で、こちらが対処できないのはすでに生まれてしまっている人たちの魔力暴走についてです』
『どうすればいいの?』
『魔力暴走について説明しますね。魔力暴走というのは特に子供の頃に起きやすいと言われています。実際、魔力暴走は子供に起こりやすいんです』
『なぜ?』
『魔力そして魔法というのは感情と結びついているんです。魔法はイメージだという話はしましたよね?』
『うん、そう言ってた』
『魔法はイメージと魔力は感情と強く結びついているんです』
『ふむ』
『なので感情を制御できない幼子ほど、暴走のリスクがあるんです』
『で、どうしろと?』
『魔力暴走は感情の爆発によって、器から魔力が溢れてしまう現象を指します』
『器に魔力が満たされていると起きちゃうってこと?』
『はい、そうですね、魔法を教わるのは基本的に6、7歳になる頃に始めます』
『それくらいになると魔力が少し落ち着くと』
『そうなんです、でも、魔力量が生まれつき少ない平民は早い段階で魔法を習います。親からですね、簡単な生活魔法と呼ばれるものを教わります』
『生活魔法?』
『飲み水や洗濯のための水を出したり、小さい火をつけたり、服を乾かしたりする風を起こしたり、ですね』
『ん〜、複数属性持ってるの?』
『はい、平民は多属性の方が多いです、なんなら光属性と闇属性以外は全部持ってる人もいますよ、意外と』
『光と闇は珍しい?』
『はい、光属性は珍しくて、光に特化してる国はないんです』
『闇は?』
『闇は一時期、魔族の属性だみたいな感じで迫害されていた時期があって減ってしまっているので、珍しいですね』
『今は迫害とかない?』
『はい、魔族は光属性が使えない代わりに魔力量が基本的に多い種族なんですけど、魔族は光以外なら使えることを人間が知ったことで迫害は無くなりました、まあ、一部の排他的な地域では今も残っているみたいですけど』
『ん〜、で、魔力暴走の対処法は?』
『魔法を使わせることですね、簡単な魔法でいいんです、指先から水を出すとか』
『呪文的なのは?』
『イメージさえできればいいんですけど、強いていうなら、水よ出ろ、みたいな感じで言えばできると思います。もっと上手くやるなら、水よ指先から少しずつ出よ、って言うとやりやすいと思います』
『詳しく言葉に出した方がイメージしやすいから?』
『はい』
『他は?』
『魔物暴走の対処についてです』
『うえぇ〜』
『こっちは大きいやつだけ対処するのでもいいです』
『でかいの?』
『はい、せっかく作った世界が壊れると困るので』
『つまり、神様が困るからであって、私たち人間のためじゃないわけだ』
『?はい、そうですけど?』
『あっそう(やっぱ、イリアは駄女神だけど、やっぱ、神なんだよね)』
『魔物を狩ってくれてばいいので』
『殲滅する必要はある?あと、魔物暴走の兆候とかある?』
『殲滅は必要ないですね、暴走の兆候ですか?えっと、魔力が膨らみます、しかも気持ちの悪い魔力なのですぐにわかると思います』
『遠すぎるとわかんないと思うけど』
『聖獣は魔力に敏感なので大丈夫だと思います』
『もふもふに聞けばいいと』
『はい』
『ん〜、魔力暴走の対処で命の危険とかは?』
『ない、と思います』
『保証は?』
『あれっっっっっっっっっだけチートもらっといて死ぬとは思えないので』
『そんなにもらったつもりはないんだけどなぁ』
『あれで、そんなに???』
『うん?よくあるチートをとりあえずもらっといたの』
『そ、そう、ですかぁ』
まとめ
人物紹介
母
→セレネ、金髪青眼、実家の家系は美の女神セレーネの加護を受けている
父
→カリオン、黒髪黒眼、皇帝
皇太子
→カーライル、金髪黒眼
第二皇子
→ヴァルター、金髪黒眼
第三皇子
→ユリウス、黒髪青眼
末皇子
→アドリアン、黒髪青眼
美の女神
→セレーネ・ヴァリス
創造主
→イリア、正確にはもっと名前が長いらしい、ポンコツ
上?
→創造主であるイリアより上の存在、よくわかっていない、澪猫のことを気に入っている
主人公が手に入れたチート
→前世の記憶、この世界の知識(細かいことはなし)、神と会話する力(神託)




