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15 乃地side

りんがアップルパイの生クリームの量の違いに気づいた!

嬉しそうにしてる。生クリームが好きだからな。

そして、徐々に表情がとても柔らかくなり、ほんのり憂いを帯びた目を伏せがちにして、微笑む姿にドキッとした。女だと強く感じた。抱きしめて、誰にも見て欲しくないという邪な気持ちを悟られてはと思い、慌ててキッチンの方に戻った。


·····そして、あいつだ。

間違いなく、あいつ·····昔、喧嘩売ってきたあいつ。

りんを飲み会に行かせたものの、男もいるから落ち着かず、少し前痴漢が出たと近隣情報が入ってきたから、迎えに行くと嘘の言い訳をして、りんのいる店まで行った。

ちょうどりんが出てきて、その後に仲間も一緒だった。あの男、牧野っていうやつも。

りんは恥ずかしそうにしながらも、紹介してくれた。 涼子って女は親友で、以前も何度か会ったことがあったけど、男達は初めてだ。

名前は聞いていた。

牧野、津山、村瀬という男が席が隣になった縁で、いつの間にか仲良くなって、一緒に勉強したり食べたり遊びに行くこともあったと。

付き合いだしてからは、男と一緒に行くなと言われ、遊びには行っていないようだったが、学校では行動を共にしていたことも多かったみたいだ。


·····向こうもこっちを知っていた。当然かもな。急に遊びに行かなくなったんだから。

飲み会で迎えに行った時、お互い会釈だけだった。それだけの間柄で終わると思ってた。


『あ!傘忘れてた!』

『もう!だから、いらないって言ったのにーほら、ついて行ってあげるから。じゃあ、みんなお疲れねー─』

『ごめん、乃地すぐ戻ってくる』

『ああ』

『おーまたなー』

『相変わらずだなぁ、葉山。牧野、俺達も帰ろうか』

『·····ああ·····。犬、飼う余裕あるんですね』


俺の横を通り過ぎる時、真横でそう言ってきた。

散歩がてら連られてたから一緒にいた。


『どういう意味だ』

『高校中退して運送会社でバイトしてるんすよね。葉山から聞きました。·····苦労してるって。しんどそうでしたからね、あんたに言えないみたいだけど。

バイトだから安い給料でちゃんとデートもしてもらえないし、プレゼントもない。

もっと恋人らしくしたいって。·····別れたいけど、言うきっかけがつかめない、ともね』


『····何言ってんだ』

『ちょっ、牧野!そんなこと!』

『しー、葉山が言えないから、ちょっときっかけ作ってあげてるんだ。葉山が正社員なって働らくの待ってんですか?養ってもらうつもり?解放してあげてほしいんですけど』

『お前っ!』


バカにされてるのがありありとわかる。何だこの腐ったやつ。りんがそんなこと言うわけない!

いつもりんと一緒にいるからわかる。

そんな子じゃない。ちゃんと好きでいてくれてる。


『あいつが·····』


分かってるはずなのに出た言葉に、がく然とした。


『お待たせー。乃地ごめんね。あれ、みんなまだ帰ってなかった?待っててくれたの?ごめんね』

『いや、大丈夫。じゃあ、明日な葉山。行こう津山、村瀬』

『バイバイ、乃地?』


どうして信じる?

わかってるはずなのに·····りんはそんな女じゃないって。


この日から二人の関係は終わりへと向かって行った。

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