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12 乃地side


カフェでのバイト初日。

りんがなぜか緊張しながら、朝ごはんを用意してくれ、食べてる時も俺を和ませようとしてるのか、初日だから、まずお店の雰囲気に慣れることを目標にしようか、とか面倒な人もいるけど、どこにでも会わない人がいるからとか。

俺がキレてやめてしまうのを心配してるんだろう。

同時に、他の人に手を出すかもしれないとか。

今までの俺からすれば、まぁ当然の心配だな。

大丈夫だ、昔のようなことはしないと言っても信じてはもらえないだろうから、ひとまず『わかった頑張るよ』とだけ言っておいた。


行く時も部屋を出て、下のエントランスホールの出口までついてきてくれ、何か言いたそうにしてたけどつぐんで、『いってらっしゃい』とだけ言って見送ってくれた。


「頑張るから·····りん」


これからの俺はりんの信用を取り戻し、もう一度【乃地】を好きになってもらうために、一緒に過ごすために生きていく。

他のことは大した問題じゃない。

りんといるために必要なことを選んでやっていく。

初めての仕事、カフェの東条オーナーに紹介され、同僚に挨拶する。

人付き合いの入門みたいなのを、スマホで調べて勉強した。その時は、普通に受け入れてもらえていたはずなんだけど。

記憶がない部分があるということを、みんなに説明して、フォローしてあげてほしいと言ってくれ、周りも受け入れてくれていたはず·····でも、徐々に男子達が俺を疎んじ始めた。


始めはなぜかわからなかったが、同じホールの1人の女子が、俺が聞いても無視した男子バイトに文句を言って気づいた。


『なんでそんなに冷たくしたり、意地悪するの⁉️ヤキモチ焼いてるの?澤井くんが女子に人気があるから!そんなんじゃ、もっとモテないわよ』

『うるせえよ!こいつほとんどできないくせに、ちやほやされやがって!俺らがフォローしてやってんのに当たり前みたいな態度とりやがって!おかしいだろ?』

『あーやだやだ、かっこ悪い。そんな器の小さい男だからモテないの』


他の女子のバイト二人も同調して、何か始まったみたいだ。

正直構ってくれとか頼んでない。男子バイトにも女子バイトたちにも·····

俺一人で失敗して学んで、次からは絶対できる自信がある。

でも·····ただ、りんがみんなと仲良くできるように頑張ってって言ったから·····

『急に仲良くできなくても、ありがとうって言葉は人の心を柔らかくしてくれるから、魔法の言葉よ』と·····


「ありがとう·····」

「「「えっ⁉️」」」


言い合ってたみんなが俺を見る。

·····なんだよ、礼ぐらい言えるよ。

りんに言われたし。


「教えてくれて·····ありがとう。·····なるべく早くこなせるようになるから。·····君も庇ってくれてありがとう。気持ちは嬉しいけど俺のせいで、いい店の雰囲気壊してほしくないんだ」


頑張って口角を上げて言ってみる。


「あ、うん·····わかった·····」

「おっ、おー、初めは誰でも記憶あるなし関係なく、戸惑ったりミスったりはあるし·····」

「お前ももうちょい表情出せよ。顔が整ってる分、見下されるように感じるんだよ。ちゃんと言葉でもそうやって言ってけば、俺らも分かり合えるんだろうし」

「ああ、それにお前覚えめっちゃ早いから、一回聞いてほとんど覚えてるしな」


その通り、ドリンクの作り方とか操作の方法とか、一回で覚えてる。まぁこれぐらい余裕だ。


「まぁ確かにいがみ合ってたら、お店の雰囲気に出てしまうわよね」


·····ほんとだ。りんの言う通り魔法の言葉だ。

笑顔でいたら得するとも言ってた。

やっぱり、りんは女神か。

でも確かにありがとうとか嬉しいとか、りんに言われてすごい嬉しかった。もっと喜ばせたいとも思ったり。 りんだからだけど。

気持ち良い関係でいる方が、何事もうまく運ぶし、お互い気分がいいのは確かだ。

こんな当たり前のこと気づかなかったのか?

卑屈にばかりなってないで、こういう事に気づいて心地いい時間を、いっぱい作ってればよかったんだ。·····今更だけど。


でも【今】の乃地の俺ならできる。やってみせる。

もう一度りんに好きになってもらうために。

実を言うと、俺は再生の道を歩んでる今、わからないことが多くても、すぐ覚えられるからあんまり不便だとは思わない。

でも、りんが心配してくれ構ってくれるから、ちょっとできないふりとかしてる。

どれくらい分かるようにしとこうとか、学び中でまだ無理という感じにして、りんに構ってもらうか考えてたら、落ち込んでるように見えるらしく、やっぱり構ってくれる。

目がくりくりして、俺のを覗き込んでくれるその姿は、本当に可愛い。

抱きしめたくなるけど、いつもやってたら警戒されたり、やっぱり出てくとか言われても嫌だから、我慢する。·····ぽちの待てみたいなもんだ。ただ、この待ては、マジ辛い。


どうしたら好きになってもらえる?

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