1
こんにちは。初めまして。
2作目よろしくお願いします
今年の初めから書き始めてましたが、前作同様かなりの肩凝り持ちの為、わずかずつしか作業できず、またもや1年近くかかりました。
29話完結です
拙いですが、読んでいただけると嬉しいです!
毎日3~4話更新したいと思います
よろしくお願いします
「ぽちごめんね、あなたはここにいてね。彼のそばにいてあげて?寂しがり屋なの·····乃地は」
そう泣きながら、イタリアングレーハウンドのぽちに最後のお話をしている。
私は2年暮らしていたアパートを出ることにした。
乃地と暮らしていたこの部屋を出る。·····別れるから。
「クーン」
悲しそうに泣くぽちを、最後にぎゅっと抱きしめ、頭にキスをして床に下ろす。それでも私の足元にすり寄って、ぺろぺろと舐めてきてくれる。
頑張って振り切って、玄関まで小走りをする。
戸口の前で乃地が立っている。私に早く出ていけと言わんばかりに扉の方をじっと見て。
澤井乃地……好きだった人。
2歳年上で細身の長身で、切れ長目の整った顔。冷たい感じに見えるけど優しい。髪は少し伸ばした感じの猫っ毛。触りたくなるけど、撫でられるのは嫌。
2年半前、同じバイト先で出会って付き合うようになって、半年後に一緒に住もうと言ってくれて。
……うまく行っててはずだった。
「ありがとう、乃地。·····自分を追い込まないでね、乃地は乃地のままで充分だから。·····ちゃんとご飯も食べてね」
「·····わかってる。·····もうすぐバイト行くから」
行くから、早く出て行ってくれってこと·····
最後くらい笑ってさよならしたかった。ここ1年ぐらいは、笑い合う二人は無かったから。
これ以上何も言ってはいけないんだと悟った私は、
開けられた戸をゆっくり歩み出た。
終わりの一歩でもあり、始まりの一歩でもある。
「りん」
もう聞けないと思ってた、私の名前を呼ぶ声。
嬉しくて、すぐ振り向いた。
「もう来るなよ」
·····そんなことを言うために?私にとどめを刺すために?
少し喜びかけた心が一気に落ちる。
「·····大丈夫、もう来ないから。バイバイ」
少し微笑んで見せるも乃地は、私の顔からすぐ目をそらし扉を閉めた。
その後ろでは、ぽちがワンワンと、何か訴えているような鳴き声を発していて。
·····もう会えない····会わないと決めたから
恋に終わりを告げると決めたから
·····決めたはずだった。
「いっちまったな」
扉を背に呟く。
さっきまで泣いていたやつが足元に来る
「いいんだ。これが一番いいんだ、お前もそう思うだろう?」
俺みたいな男のとこにいたら、幸せになれない·····俺じゃ幸せにできないとわかったなら、振り返ることなく行かせた方がいい。
どうしようもない、こんな男のそばにいるより·····
初めてバイトで入って来たりんは、小さくてチョコチョコ動いて小動物みたいだった。でも、一生懸命やってて客にも笑顔を振りまいて、文句言われても優しく対応して……目が離せなくて、いつの間にか、あのクリクリの目をした童顔が頭から離れなくなってた。
優しく笑うあの顔が。
本当は鍵を置いていけと言おうと思ったけど、言えなかった。
りんが扉を開けて戻ってきてくれたらと願ったから。
ピンポーン
インターホンが鳴る
あいつが戻ってきた?やっぱり俺のそばに·····




