(勉強の)鬼でも哭く街 カルチェ・ラタン!
「確かに鬼畜な人間でも泣かせて来た監獄、パリにありますけど…」
「獄卒にその日の気分で処刑をする人はいないわよね…サンソンは医者の本業に戻ったって聞いたけど…」
ええと、処刑人のサンソンですが、その本業の医療に関する技術、この当時としては卓越していたことは特筆すべきでしょう。
しかし…聖母教会網がフランス王国内に広まったせいで、せっかくの高い技能と技術や知識を備えたサンソンですが、あえなく失職しかけていたのです。
(女官だと即死以外の傷病、指一本触れずに治せるのよね…)
(なんか死んでも時間経ってなかったら生き返らせられるゆうのも。ただ、女官になってもらう必要はあるとお聞きしましたが)
(それと、テレーズちゃんのお父様のように、こっちが起こすまでひたすら眠り続けてるような状態になってる人もいるからね…)
ええ、そんなことが出来るのであれば、どんな名医でも失職してしまうでしょう。
実際に、我がイスパニアでもそうなりかけましたから。
しかし、聖母教会では健康な身体に復元すること…つまり治療はできても、人体の構造それ自体を知ることはなかなかに困難です。
ましてや、病理の原因を探ったり、諸器官の働きを研究することについては、連邦世界の医学情報頼りということが問題視されてもいたのです。
そこで、フランスの場合はサンソンを医学の専門家として抜擢した上で医学者としての教育を施し、カルチェ・ラタンの一端に設立した医療学校の長に就任してもろうた経緯がございます。
まぁともかく、マダム・田中雅美を中心として行われました勉強会。
実は、遠隔参加していた人物がおったのです。
それは、他ならぬ…イスパニアともフランスとも、利害が一致しない相手である大英帝国の首魁である英国女王です。
「私の元来の出生時空である連邦世界では、中世大学と言い習わされている大学分類が存在します。フランスではパリ・トゥールーズ・オルレアン・モンペリエ・グルノーブル・ボルドー・ナント・ブールジュ・アンジェ…そしてアラゴン王国の経緯でスペイン支部が担当して来たとされるペルピニャンが該当するわね」
(数はうちとあんま変わらんな。うちはマドリードのコンプルテンセを筆頭にバルセロナにバレンシアにサラマンカにバリャドリードにムルシアにリェイダにジローナにサラゴサにシグエサに…ただ、マヨルカのパルマについては聖院学院教育部分校にしたし、いけるようやったらペルピニャンの大学、てれこの方で持って欲しいねんけどな、管理)
(まぁ、しゃあないわのぅ…今やあそこ、うちの管轄やし…)
ええ、フランス南部も南部、ほとんどスペイン国境となるのですが、私どもの方で制作した映画「幸せの黄色い電車」の舞台の一つとなった町がございます。
あそこ、時期によってはアウグスティーナ・スペイン婦人騎士団長の出た一族…そしてチェーザレ・ボルジア前・教皇陛下の血縁でもあるアラゴン王国が統治していた時期があるそうでしてね。
「まぁ、中世大学が一番多いのはイタリアになるかしらね。こっちの分類だと69校のうち17校をイタリアが占めてるわよ…」
えええええ。
「あそこは小さい貴族領がそのまま国家を名乗ってたところも多いからよ。ベラちゃんのお母さんや叔父さんの出たフィレンツェの近所にもボローニャでしょ、ピサでしょ、で、デステさんの出身地のフェラーラでしょ…そして教皇領内だけどローマなどに数校、旧・救世主教の管轄してた大学もあったからね…で、英国だけど」
どうなんでしょうね、あそこの国の教育制度。
結構、うるさくて口やかましそうな人間をぼすぼすと輩出しそうな教育、やってそうなのですが。
「そして英国での中世大学はオックスフォード・ケンブリッジ・セントアンドリュース・ノーサンプトン・グラスゴー・アバディーンが該当します」
ちょっと少ないですね…はっはーん。
これを増やしたい、とゆうことなのでしょうか。
「うーん、ちょっと違うのよね…あ、そうか、フラメンシアちゃんは即成栽培チャンバープラントで生まれた子でしょう。あれで生まれる子は、ほぼほぼ必然的に女官または偽女種として生まれてくる必要があるのよ。1分くらいしか経過してないように見せかけてるだけで、あの機械の筒の中では母体も子供も14年なら14年を過ごした状態で出てくるわけなの…それだけの期間を、ほぼ精気だけで生き延びてもらう必要があるから、母体も子供も痴女種または亜種でないとダメなの…」
(一応産んだ後で子供だけ急速成長かける方法もあるよ。ただ、精気バカ食いすんのと女官種の子供でないとだめ。これ実はあたしが黒マリと白マリに分離する前にやった方法まんまなんだけどね)
と、ここでマリアリーゼ陛下から注釈が。
(それとマリアちゃん、女官については重要事項があるわよ…フラメンシアちゃんとソフィーちゃん、それからシャルルくんとジョセフくんがこの場だと該当するかしらね。テレーズちゃんも大人化できるし、一部該当するか…うん)
何のことなのでしょうか。
(ええとね、女官種または痴女種として生まれた子供は親の記憶や知識を引き継げるでしょう。つまり、親に施された教育内容をまんま、自分のものにできるんだよ。そして聖院女官の頃から、記憶や知識は他人と共有ができる。ただし、IFFステータスで明示的になるようにしたけど、痴女種も女官種も親以外は位階が同じか下の者としかこの思考・意識・記憶共有はかからないようになっているのに注意して欲しい。ただ、あたしはなるべくオープンにしてるけどな)
(お読みの方もお気付きだと思うんですけど、あたしやマリアちゃんが時々他人の心話会話に乱入してるのはこの辺の能力…他の女官の頭の中身だけじゃなくて視覚聴覚といった身体感覚すら知り得てしまえるからなんですよ。いわば、女官の間で隠し事をしたり嘘がつけないのもこの能力あってなんです)
と、お読みの方に説明をなさるマダム田中。
(で、あたしも雅美さんも痴女種としての位階は駆け出し女官のはるか上だし分体をいくつも出せるけどさ、そもそも女官種の時代からさ、基本的な脳の性能は普通の人の脳を大きく上回ってるんだよ、当時の下級女官でも)
(この能力のメリットなんだけど、知識の本棚を女官で共有できるってことが大きいわよね)
(ええとね、クレーゼ母様が聖院金衣だった時以前から聖院第一公用語はラテン語と定められてたんだけどさ、かーさんたちが呼ばれて行った時点で女官には日本語が通じたんだよ…種を明かすと、クレーゼ母様経由で日本語の諸々が吸い上げられてさ、こりゃ語彙も多いし便利だから聖院第二公用語として使おうよってなって、あっという間に女官に広められたんだけど…)
(たださぁマリアちゃん、あたしも痴女種女官化されてわかったけどね、図書館の書架に閲覧許可を出すのと、そこから本を引っ張り出して読んでくれる行為はまた別物よね…)
(そりゃそうだよ…だからあたしらといえど、最低限の女官研修は絶対に必要なんだよねぇ…)
ですが、この知識共有。
ものすごく効果を発揮する局面があるっちゅうの、わしはスペインが南欧支部から南欧行政支局ときて現在の南欧行政局にまで格上げ成長しとる過程で、嫌と言うほど経験したのです。
厳密に言えば、そこまで組織や国家が育つための増員を行う段階で、ですね。
(ま、これはオリューレさん…オリューレ南洋行政局長が茸島を担当する前から現地の男の子たちに対して私的に行なっていた教育を反映させたもんだよ…そして、聖院修学宮はもちろん、本宮女官であっても女官寮入寮までには絶対に行なっていたことだしね…)
(そそ。読み書きと四則演算…ある程度の簡単な計算は女官に必須の知識だし、それを旧・南洋王国管内に拡大して統治を容易にしたのはオリューレさんの取り組みが評価されたからなんだけど…)
ええ。
聖院第二公用語と母国語それぞれで、自分の名前を読み書きするのと計算ができるのは、聖母教会や慈母寺の経営する荘園や工場で働く男女…もちろん、痴女宮本宮に付属する罪人寮という巨大な監獄に起居して労働に従事している罪人男性の全てに義務とされています。
(女性は罪人扱いの罪人女官ってカテゴリーに放り込まれて売春させるから、罪人寮に入れる必要はないんだよね)
(その代わり、刑務騎士勤務のシフトに入ったら罪人の作業指導は仕事内容に加わるわよ)
そう…我が生国のイスパニアはもちろん、フランスでも初等教育を受けた聖母教会に関わる者と、それ以外の格差が拡大しておるのです。
むろん、スペイン支部もフランス支部も、支部管内の文盲者を0にすることには熱心です。
というか、文盲だと聖環が扱えません。
南洋行政局管内はもちろん、南北米大陸に暗黒大陸といった場所では「金の計算を省く代わりに生活に必要なものを聖母教会や慈母寺が支給する」形態の荘園を運営しているところもありますが、なるべく労働の対価を教える方向で日用品を「買わせる」形態に移行するのが推奨されております。
では、聖母教会の庇護下にない者はどうなるのか。
実際にイスパニアでもフランスでも…そしてイタリアでも貧民の文盲程度の高さは問題となっておりました。
そして「百姓に読み書きなど不要」という考えの成人もまた、多数だったのです。
(特筆すべきは学問の重要性をさ、学習の福利や恩典を受けられるはずの農民など被支配階級自らが否定する傾向があるんだけどね…)
(まさにフラメンシアちゃんの言う通りでね…日本でもそれがものすっごく問題になったことがあってね…しかも教育に熱心な地域とそうでない地域の格差が生じたり云々で、最終的に連邦世界では近代化の時代以降は国民への教育を義務化する国が圧倒的多数になった経緯があるのよ)
(マリアリーゼ陛下、そして雅美さん…愚民を愚民のままで使役すると、困るのは統治側であると申しておきませんと…人を使い捨てて良い時代は終焉を告げるでしょう…)
この乳上の発言に対して、反応を示したお方が。
…ええ、他ならぬ英国女王です。
(しかしマリアリーゼ卿にイシュトバーン公…お言葉ですが、庶民に教えて良いことと悪いことがありはしませんの?)
え。
(ありますよ陛下。ただ、それは学校の制度を新規に採用してもらうか、さもなきゃフランスで今、進めてるような義務教育と組み合わせた進級制度ですね、これを英国でも施行頂ければ、陛下の懸念はかなり解消できるとあたしゃ思ってますんで、どうかご安心を)
(その安心要素というものをお聞かせ下さいな)
(そうですねぇ…フラメンシアちゃん、今のフランス王国での教育課程、どうなってるか教えてくれるかな)
あ、これは指向性心話やくぁんたむリンクとかいう、内緒ばなしもーどで囁かれなくともわかりました。
この質問、いわゆる「聞かせ」ってやつです。
マリアリーゼ陛下が、うちらの教育制度、知らんはずがないのです。
しかし、そういうことを英国女王にいちいち告げずともよし。
この場で本当に、わしが説明すべき相手、他ならぬ英国女王なのです。
(へいっマリアリーゼ陛下っ…えー、女王陛下、これはスペイン支部・フランス支部と足並みを揃える形で実施しとるんですけどな、連邦世界のイスパニアもフランスを参考として定めた幼少一貫課程と申しまして、3歳から15歳までに教えるべきことを初等学校または地方聖母教会で運営しておる代用学校にて習わせております。イスパニアではプリマリアと称しておりますが、ともかくも幼年学校が存在して、全国民にこの幼年学校又は聖母教会で実施しておる同等課程の履修修了を義務付けておるとお考え下さいな)
(ふむ…となりますと、僻地や人の少ない場所ではどうしておられるのかしら? 我が国をご存知であれば、北辺の寒村もあり西方の岬の近くありで、町に出るだけでも馬や驢馬を使うてすら1日2日とかかる場所がありますわね…)
(んふふふふふ、女王陛下、それこそが痴女皇国本国から推進されとる家畜活用計画の恩恵に預かれる話ではありませんか…それにですよ、フランスでは一般家庭による通常の年月の児童教育も行なっておりますけど、このフラメンシアの生国イスパニアでは農夫のみならず平民のほとんどは聖母教会の運営する荘園または作業場に勤務しております。つまり…このフラメンシアがまさにそうなのですけどね、普通の人間よりも圧倒的な速度で教育履修を終えて成人に準じた扱いとされている者が今や、国民の半数以上を占めておる実情、まずはご理解頂きたいのです…)
(ふむ…全くもって興味深い話。しかし、その件はサリアンやエマからも聞いておりましたわね…聖母教会の尼僧の能力で、人に知識を詰め込むことは可能と。私も確か、マリアリーゼ卿より一部のことどもについて、授かったものごとがございますから理解は可能。何よりプリンセス・フラメンシア。貴女と聖院第二公用語にてお話させて頂いておりますわね)
う。
やっぱりカマしよるなぁ、このおばはん。
(挑発が趣味みたいなもんだから、流して流して)
(へい陛下…まぁ、マリアリーゼ陛下と話しておりますと、その辺の呼吸はなんとなく理解の範囲でございます)
(その調子で頼むよ…死亡扱いで冬眠させてるあたしのジジイなんて、この女王陛下よりももっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと嫌味と皮肉の塊だからね…)
そんなにもえげつない人物なのでしょうか、その…ヘンリー・ワーズワースという御仁。
(いちいち人の神経逆撫でしてくる。そしてもっとえげつないのはだね、そういう喧嘩を売る相手かどうか見てから正面切って喧嘩を売ってくるか、あるいはぶぶ漬け食わせるか切り替えてくることにあるんだ…)
(マリア。ちょっと訂正。父はあの昔のボサボサ頭の首相顔負けに嫌味の天才だったの知ってるでしょ…紅茶を勧める天才なんだよね)
(あら聖父様…いかがなさいました)
(あ、フラメンシア殿下。少しだけお話の場所を借りますよ…女王陛下、国民の全てが農民なら教育水準は低くてもあまり支障はないと思いますよ。しかし…僕の聞いている話ですと、痴女皇国世界のフランスやスペインはもちろん、英国でも金属製船舶の単純組み立てだけでなく、設計までもを現地で行える人材育成を目指しているというのが娘や姪…マリアリーゼやマリアヴェッラから聞いている説明です)
(ふむ…聖父殿、では聖父殿の娘御、そうした者たちを我が英国のどこから連れて来られるおつもりなのかしら)
(それこそが正に、フランス王国が進めていると聞く計画を参考にすべきだと思います。ええと、マリアとフラメンシア殿下、エコール・ポリテクニークって痴女皇国世界のフランス王国でも開校するんだよね?)
(だよ父さん…高等技専教育機関や特別高等教育機関の一校としてエコールポリテクを開設するつもりだし、その資料を雅美さんが今、パリに持ってきてくれてるはずなんだ)
(クリスくん、フランスのユニヴェルシテとグランゼコールの違いも女王陛下に申し上げておくべきかしら…)
(ですねマサミさん。女王陛下、連邦世界のフランス共和国の大学、入学試験を必要とする学校とそうでない学校が分類されているのですよ。で、入学試験が必要な学校は、理系や工業系の専門分野を教える学校が大半です。これが母国英国や母国の制度に準じているNBですと、かなり早くから寄宿校に入校するなど大学受験に備えた学業課程に入ることが強く推奨されていますけどね…)
この、入学試験がない大学という話にどよめく声、多数。
(ええと、入学に門戸が広いだけで、卒業試験は厳しいから結局は同じなんですよ…それとMr.クリスのお話に付記しますとフランスの大学って、そもそも高校の時点で英国の全寮制寄宿制度、特にザ・ナインズに近い厳しい卒業&大学予備試験があるのも陛下に申し上げておきますよ…)
(マサミさん、それ、バカロレアのことだよね…NBに移住したフランス系住民からはそっちの制度がいいっていう声も出てたんだけど、英国の制度と噛み合わないからって沙汰止みになったのは父から前に聞いたことがあるね…)
(そうそう。で、フランス共和国の義務教育前後の制度だと、日本の小学校から中学校2年生くらいまでと、それ以降で学校が変わるのよ…それが中後期高等学校で、卒業認証試験までの教育を担当するの。で、そこからややっこしいことにグランゼコールに入校を希望する卒業生が入学する予備大学みたいなのがあるのよ…ううう、それがclasses préparatoires aux grandes écoles略してCPGEっていう準備学級なの。これがナインズに近い役目を担ってて、グランゼコール入学のための公営お受験予備校の役目を果たすんだけど、大学扱いになってんのよね…)
ええと。
なにかこう、試験も受けとらんのに聞いてるだけで頭が痛いのですが。
(で、こんな変態的な制度を導入した理由だけど、フランス革命が成功したあとのフランス共和国では、結局はナポレオンが皇帝に即位して政権を握りました。そして、周辺国と戦争を始めたんだけど、当時のフランスでは大砲や銃の運用が軍隊でも一般化してて、砲弾や銃弾、そして火薬を運搬するための馬車や船を必要としましたし、砲撃のための陣地構築や要塞の建設など、建設や工業に長けた技術者がいくらいても足りない状態だったのよ)
(つまりは、戦争するために技術者や職人を要したと)
(そして、技師や技術者でも従軍する者に高い教育を施すのはもちろん、文系の官僚や高級軍人に民間人にも旧来の貴族の位に代わる新しい地位の位置付けの仕切りを設定しようとしたの。で、その地位を決める作業を学歴と試験に求めたわけなのよ…)
しかし、それでは妙に特定の分野に知能を発揮するもんばかりがでかい顔をすることになるんでは。
この、わしの疑問に答えるマサミさんですが、その答えがまた強烈だったのです…。
(で、技術系理系じゃない若者で学歴でハクをつけたい場合はさ、さっき話が出てた文系の大学に行くわけなのよ…そして、そういう連中が溜まってた学生街、こっちのフランス王国でもある程度は形成されてると思うんだけどね、カルチェ・ラタンという地区がまさにそれなのよ…文系理系体育会系で分類すると、文系の学生が圧倒的多数な地域なの…)
ええと、それ、何か弊害でも。
学生がたむろしてて、下宿屋も集まってたりしてるのはお聞きしましたが。
(雅美さん、あたしが言う。日本でもそういう傾向あるけど、理系の試験に受からなかった連中ばかりがそこに来るわけだから、学生の質はどうしても落ちるんだよ…で、学校にろくに行かずに遊んでたりする連中とか、エリート学生を偽って女をひっかけたりとかさ、問題も多いんだよね…)
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ふらこ「なーんとなくわかりみでございます」
てれこ「そして、体格や体力に優れている者、今のフランス王国では体育学校や馬術に畜産と、別の場所で活躍させてあげることができるわけで…」
そふぃー「その…かるちぇらたんって、いってしまうとふりょう学生のたまりばになるのでは」
まさみ「ある意味ではそうなりました。ただ、そこでフランスらしいっちゅうか、思想学者や哲学者やら、あるいは小説家などの言葉と屁理屈をこねくり回す者が大きな顔をできたのよね…」
ふらこ「つまり、脳筋とかいう部類はまだ、別の身の立て方があるとばかりにその、カルチェ・ラタンとは別のとこに行くしかなかったような…」
まさみ「フラメンシアちゃん正解。当時のフランス共和国では貴族を代替する存在に、高学歴者を選んだわけよ…そして、そういう筋肉より脳を使う連中を、官僚として集中的に育成して採用していったわけなのよ…」
ふらこ「しかしそれ、軍人と役人でけんかになりまへんか」
べろにく「なりました…それだけでなく、地方住民…特に農民と官僚の仲は基本的に悪いんですよ…時々パリでトラクターデモが起きるのって、ある意味ではこういう中央集権構造の官僚社会が問題なのです…」
まさみ「そーれーとー。フランス共和国は完全な民主主義じゃない社会主義国家です。学生のみなさんもここは覚えておいてね。わざわざデモの権利とか宗教を揶揄する権利を法律で認めてるってことは、裏を返せば市民を弾圧してた歴史もあったのよ…」
べろにく「国家憲兵隊が存在する時点で、何をかいわんやという話ですね…」
じょすりん「我が共和国は言論の自由を保証していますよ(にやり)」
りびえら「その自由を弾圧してる人が何かを言うている…」
べろにく「で、この言論の自由って実は痴女皇国世界だとちょっと風向きが変わるんですよ。連邦世界のフランス歴代王朝は宗教、わけてもカトリックと結託して言論弾圧を行なって来た歴史が存在します。これが、今のフランスの知識階級が言う「共和国旗の赤は流血の赤、実力で言論を勝ち取った」という主張の根拠でもあるのですけど…」
じょすりん「ですから私も国家憲兵隊の顔をするときは装甲車で暴徒のバリケードに突っ込むのはもちろん、最悪は陸軍の顔で戦車を繰り出してですね、ふふふ」
ふらこ(なんでコマンダンがベルサイユのガラージュにあのルクレールせんしゃを置いてるか、わかるやろ、てれこ…)
てれこ「しかもあれ、前に鉄板つけれるやないけ…」
じょすりん「もちろん、暴徒が何かを積み重ねたところに突っ込むとか、砲撃で破壊するために決まっております。実際に国家憲兵隊対外治安総局、海外領土では装甲車で暴徒と戦闘を繰り広げた実績がありますしね…」
べろにく「体制側かつ公務員の私やリヴィエラが言うのも何ですが、我が共和国でストがしょっちゅう起きたり時に暴動になっているのも、マドモアゼル・ジョスリーヌのような人がデモ集団をボコボコにしに来るのがわかっててもやる連中が主導権を握っているからなのです…」
じょすりん「それくらい命を賭けて権利を守るなら(ピー)し甲斐があるというもの…いえいえ、今は痴女皇国世界に拉致する程度で留めておりますよ(焦り)」
てれこ(ほんまに守ってるか怪しい…)
りびえら(絶対守ってない、確実に守ってない)
べろにく(いえ。ジョスリンが趣味的に◯人の仕事をするとママン・カルメン…つまりフランス初の女性大統領で私の母でリヴィエラとキュラシアの義母が絶対にジョスリンをエリゼ宮に呼びつけてセッカンします。または、マリアヴェッラ陛下が呼ばれます)
じょすりん(マドモアゼル・ヴェロニクの話はほんまです…マダム・カルメンは平然とあのパスタ女を呼んで小官をシバカせるのです…)
べらこ(これぞまさに、バカロレアじゃなくてシバカレロレア…いいですかセニョーラ・ヴェロニクにセニョーラ・リヴィエラ…権力を濫用する憲兵にはたまにお折檻しとくとちょうどええのです…)
じょすりん「パスタ女が獄卒のように小官を扱いやがる件について擁護の声、共和国で上げてくれる方はおらんのですか!(泣)」
べらこ(カエル女を少々手荒く扱っても別に問題がないって、みんな思ってるからに決まっとるでしょうがっ。今でもペルセちゃんが忙しい時は黒薔薇騎士団長代行で動くくらいの人間に慈悲は無用、みんなそう考えてるのです…)
まさみ「まぁ、ジョスリンなら少々のことをしても死なないって思ってるのは事実よね…」
あるて「ちなみに言っておきますと、見た目と全く違ってましてね…ジョスリンは私より強かったりします(きっぱり)」
他全員(そりゃ、乳上より強かったら同情票、集まらないよね…)
じょすりん「アンマリヤァアアアアアア!(泣)」




