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早起きは三文の得? 厩務員は森に見た! -欧州・馬術学校ものがたり-  作者: 雀のお宿


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征け風の如く・少年と金の馬

皆を驚かせる黄金の毛並みの、このアハルテケなる馬。


その姿、果たしてこの世のものなのかとさえ思えるのです。


で、実のところは、この珍しい馬、都合4頭が聖母教会に引き渡されておるそうです。


しかし、1頭は…。


(オクタヴィアとジョヴァンニがイタリア教和国…そして罰姦管内の漫遊に使用しております。あの子も修行が必要な部類…ルクレツィアとマリアヴェッラが申し渡したのですよ…)


で、オクタヴィアというお方ですが、この方の罰姦聖母教会における地位、わしと同じで枢機卿なのです。


加えて今回の教皇選挙である通称・根比べにおいて、新教皇カルロス2世に任じられたカルロくん…ルイーサ副教皇猊下のお子様ですね。


このカルロくんと根比べ開催時の最有力対抗馬であり、かつカルロくんの遠めの親戚とも言うべきジョヴァンニという息子さんを産まれた御仁です…オクタヴィア枢機卿。


Octaviana de' Medici オクタヴィア Thousand Suction.(Limited million) 千人卒 (限定百万卒) Slut Visual. 痴女外観 Red Rosy knights. 赤薔薇騎士団 Italy Branch, Imperial of Temptress. 痴女皇国イタリア支部 Curia Vaticana, cardinale incaricato del Mar Mediterraneo. 罰姦教皇庁地中海担当枢機卿


で、オクタヴィア枢機卿。


メディチ家の出身…ということになっていますが、実際には父親は先代罰姦教皇のカエサル1世こと、チェーザレ・ボルジア猊下です。


そして実の母親は、カテリーナ・スフォルツァというお方。


しかしながらカテリーナ夫人に再婚話が持ち上がったために、オクタヴィアーナ嬢はメディチ家の養女とされ、表向きにはボルジア家と無関係の人となったのです。


ただ…今回の根比べではご本人も、息子さんを是非に教皇にとかなり強引な工作を仕掛けていたようでして…そしてメディチ家も相当に強い後押しを入れておられたのですよ。


ですが、惜敗した結果、ジョヴァンニくんはオクタヴィア枢機卿付の専属特任助祭として任じられ、次期教皇選を目指して努力せよ、という聖母訓示が与えられました。


そして、メディチ家の財力と政治力を利用して地位を獲得しようとするだけではなく、自らも自分の未来について努力してみなさいという話となったのです。


そこで、ベラ子陛下から提案が出たのは、南米行政局は淫化帝国のクシ帝とコイリュル皇后陛下の結婚当時のひそみにならい、管内に顔を売ってみてはどうかという件。


当時のコイリュル皇妃殿下は、南洋行政局から贈られた恋の縁起物という但し書きのついた、側車付きケッタマシンに跨り、クシ帝を側車に乗せて淫化の領内を1年かけて巡り、町や村を訪ね歩かれたのです。


(あの深窓の令嬢というよりは、淫化のあいどるゆう感じの…)


ええ、コイリュル皇后陛下は時折り、痴女宮本宮の定期支部長会議など南米行政局の副局長代行の立場で出席されるので、私とは面識があります。


あるのは良いのですが。


もともとコイリュル様、深窓の令嬢・淫化版とでも言うべきお方。


ベラ子陛下や連邦世界のジャポン…ニホンのお方に言わせれば、清純派あいどる路線。


(それがですねぇ…最近は肉体派になろうとしてまして…コイちゃん、頼むからお願いだから、大人しく…クシも言ってあげてよ!)


(エマネ副局長、それよりおたくの行政局の局長、ええ加減正式に決めたほうが…)


ええ、南米行政局はこの時でも局長が正式に決まっていません。


そして実質的な局長がリュネ魔族出身者のアスタロッテ局長という青い肌のお方なのですが、その方と元々は戦って来たリュネ族という「魔族よりは人に近い見た目」の姿の種族の王女様が、プランセス…いえ、レーヌ・エマネ。


ただ、フランス王家やイスパニア王家同様、痴女皇国の立場としては公式的には各国王家を公認しない立場。


リュネ王国であれば、リュネ世界からの移住者による国民同窓会の会長、なる立場として認めておるようなのです。


(というか淫化ならラクダとかロバに該当する家畜の扱いの方が先なんでは…)


(それがですねぇ、有全珍も尻出国も淫化の範囲に入ったでしょう…パタゴニア地域も含めて…ですから、ラクダやリャマには苦手な場所の開拓や生活のためにもと、馬の導入が始まってるんですよ…)


(アスタロッテだが…その馬という生き物に似た四足獣、リュネの奥の西方四国と言われる地域には若干が住んでいて、こちらの馬のようにも使われていてな…で、魔毒に対応させると淫化の高地でも動けるのだよ、馬…ただし餌の問題があるから、往来させる地域を限るようだが)


ええ、南米大陸の西の半分を占める険しい山地である暗死山脈に主要拠点が存在する淫化帝国では、普通の人間だと息切れするような高地で人も獣も暮らしているという、とんでもない事になっておるのです。


なんでも南米の西の海、南極という氷の河と雪に覆われて年中凍てついておる大地の周りを巡る海流が流れて来る関係で、海岸沿いの平地であればあるほど雨が絶望的なまでに降らない特異特殊な気候。


よって、水と草木を求めるならば空気が薄く寒い山の上に上がるしかないという、人の想像を超えた場所。


しかし、今の淫化帝国の山地であれば敢えて魔毒汚染地域にしている関係で、そこに生きる生き物に魔毒への耐性を植え付けておるのは存じています。


で、この措置の副産物として…高地や砂漠でも、馬がある程度は使い物になるんですよ…餌や水はそれなりに必要ですが。


(で、リャマよりも速く力強い馬の活用も視野に入っていてな…だからコイリュルが乗馬を覚えると言って聞かない件も、承認せざるを得なかったんだよ…多分、年内にはそっちに留学するか講師を要請する事になるから、よろしく頼む…)


だ、そうです。


まぁ、英国も馬術については熱心に入れ込もうとしておる件、現地の草から伝わっておりますし、先手を打つためにもこうした留学生の受け入れには熱心になるべきかも知れませんね…。


----


で。


ムッシュ・チアキいわく。


この黄金の馬は他の競走馬より若干ながら小柄に育つことも多いので、可能ならば単純に走りの速さを競わせるのではなく、障害物競争の要素のある馬術競技に用いられることが多いのだそうです。


なるほど…。


で、実際にその動きを実演することになりまして、マリアリーゼ陛下がどこかから引き寄せて来られた小さめの牧草ロール、草地の上に置かれます。


そしてムッシュ・智秋が黄金の馬の一頭に跨ると、遠くから走って来てその牧草を巻いた筒の上をぽん、と飛び越えさせるのです。


その時の、くだんの金色の馬。


その毛並みの動きが、およそ馬のようで馬でない…とてつもなく不思議な見世物だったのです…。


いわば、金色の水か何かが、揺らぐかのように。


なるほど…この動きを見せるためにも、障害を飛び越えて走らせる方が良いということですか。


(あと、西竹一少年…もし、僕の想像に間違いがないならば、障害物競走の才能があるはずです。彼の馬で試しに同じこと、やらせてみましょうか)


で、ムッシュ・智秋とマリアリーゼ陛下が西少年の元に近寄って、エリニュス号で同じように飛んでみないかと持ちかけられます。


「ええかエリニュス…決して派手に飛ぶじゃなかぞ…飛び降りた先が平地であれば良かどん、岩や凹みで足を痛むっこともあっど…まずは充分に飛び越えらるっ程度で済ますっとじゃ…」


つまり、跳ねる高さを見せつけて誇ることなく、堅実に飛ぶように指導しているのですよ、タケイチ。


そして、タケイチの言葉通りに、その巻いた牧草のぎりぎりを飛び越える紅毛の悍馬。


と思うと、そのまま走り去ると見せかけて反転し、同じようにもう一度飛んでしまうではありませんか。


「んにゃ、親父からも戦場でん馬あしれを多少ながら教わっちょりましたもんで…」


なるほど、騎士馬術ですか。


実戦騎馬の馬術が果たしてこれからの世に役立つかどうかは不明ですが、単純に馬体の大きさと速力だけで勝敗が決まるわけでもない競技も、併せて流行らせることが良いようには思えます。


ただ…あんなの僕たちにできるかなぁと、罰姦関係者の男児が少々、引き気味なのです。


(何を言うておるのですか…私たちはそちらのような平地を進むばかりが道のりではない場所に今、おりますよ…そうそうフラメンシア殿下、オクタヴィアですが…うちのジョヴァンニもその競技馬術とやら、ちょっと眺めさせたく。マリアリーゼ陛下、わたくしとジョヴァンニ、ちょいとばかりパリに戻して頂く訳には参りませんでしょうか?)


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ふらこ「視察の途中では…」


おくた「うちのジョヴァンニだけをハミゴとやらにする集まり、聞き捨てなりません」


ふらこ「で、どこにいてはるんですか…」


おくた「内緒ですわよ、ほほほ」


マリア「まぁ、視察旅行を一時中断するのは別に構わないけど…」


えまね「結構とんでもない場所ですね」


ふらこ「まさか淫化の俗地…」


マリア「いや、そこじゃないけど割と似てて大変な場所だな…うん」


おくた「毒もちの虫やら何やらが割と多いのです。毒の扱いは叔母や父に任せたいのですが」


じょばんに「水の便利も悪いんだよね…罰姦の管轄にここが入るのかってところで…」


まるは「なんか、わしかメフラウ・オリューレの縄張りいう気も…そして欧州よりは痴女島の方が近い気もしなくもなく」


ふらこ(どこにおられるかは次回、次回に公表だそうなのです…)

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