表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様と婚約したようですが、何故ですか? 〜溺愛してこられても困ります!〜  作者: 星月みら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/41

38 危険の訪れ



 レオン様は私のことが好き、だったなんて。

 全く分からなかったし、知らなかった。


 今思えばレオン様とデートする約束をしたあとのお兄様の笑いは、このことだったのかもしれない。

 お兄様はレオン様が私に、告白するのが分かってたのかも。


 お兄様って鈍感なのに、そういうとこだけ鈍感じゃないの、なんか都合よすぎ。


 そう思いながらも、私は聖女について調べるために、図書室に来ていたのを思い出す。


 国王陛下直々に頼まれたんだもの。どんなに難しくてもやらなきゃ。それが聖女の務めだから。


 物音一つ響かない図書室で、本のページをめくる音だけが図書室にこだまする。やがて、本がパタンと閉じられる音が響いた。


「何も……分からない!」


 やっぱり、過去に一度あっただけで、それも一部の人たちしか知らなかったっぽいから、そう簡単に本を開いただけで見つかるわけないよね。


 流石にもう本からの情報は得られないか……。


 聖女になってからというもの、たくさん本を読んで、魔術のことや聖女のこと、精霊のことなどを調べまくったが、あまり良い情報は得られていない。


 そもそもの話、それらについて書いてありそうな本を何百冊と読んだけど、全く載ってない!

 99%以上、そのことについて書いてない。


 もう、私はどうしていいのか分からないじゃない。昔の人、もっと残してくれててもよかったのに!


「レーア、そろそろ休んだらどうだ?」


 お兄様がやってきた。

 また私をいじめに来たのかと思ったら、心配してくれていたようだ。本当かどうかは知らないけど。


「いいえ。精霊の花畑に異変が見られた以上、文献にあった通り、精霊の花畑に危険が訪れるのは近いと思うのです」

「そうは言うけど、本当に危険が訪れるのかどうか分からないのに?」


 確かにお兄様の言う通り、本当に起こるという確信はない。ただ、文献を読んでみんながそう騒いでいるだけ。

 それだけ、だけど。


「だって、私は小さい頃から精霊の花畑が好きで、そんな大切で大好きな場所に危険が訪れて、なくなっちゃったら嫌だから」

「ふーん。なら、俺も協力してやるよ、レーアに。俺にとっても精霊の花畑は大切な場所だからな」

「ありがとうございます、お兄様」


 お兄様も椅子に座り、そこら辺にあった本を開き始めた。


 お兄様も手伝ってくれてるし、私も頑張らないと。



 そう思った時だった───。


『助けて』



 そう頭の中に直接話しかけられているかのような声がした。


「誰!?」


 私は驚きのあまり慌てて立ち上がり、そのため座っていた椅子はガタンッと倒れた。


「何があった、レーア!」


 近くにいたお兄様には聞こえていないように思えたため、声が聞こえたことを説明する。


「それって、精霊の声、じゃないのか!?」

「もしそうなら、精霊の花畑が……!!」


 ……危ない!!


 今すぐ私が行かないと!

 助けに向かわないと!


 私が何をしたら良いかわからない?

 そんなのはまず、精霊の花畑に行ってから言うことだ。


 まず私がすべきこと、それは精霊の花畑へ今すぐ急いで向かうこと!


 そして、私は図書室を飛び出した。

 すると、後ろから私を呼んでいる声がした。お兄様の声だ。


「レーア! 一人で行くんじゃない!」

「お兄様、だって急がないと」

「それなら尚更だ。いったん冷静になれ。そして、俺の手を握ってろ」


 よく分からないけど、今すぐ駆け出したい気持ちを抑えて、お兄様の手を握る。


「魔術陣展開!」


 お兄様が大きな声で言った。


 お兄様は一体何をするつもりなの……。

 すると、辺りに風が吹いた。


 お兄様の瞳の色は緑。緑は風属性の魔術に適性があるはずだ。

 つまり、この風はお兄様の魔術によるものだろう。


 でも、こんな時に魔術を使うってことは、何かあるはず。

 急がないといけないけど、お兄様がそれを分かっていないとは思っていない。


 今から一体何が起こるの?


 ……まさか!!


 一つだけこの状況で魔術を使う理由、それは目的の場所へ転移すること。

 でもそれは相当の魔力がいるし、お兄様の魔力量は知らないけど、でも無理なはず。


 お兄様が魔術師団の団長だからってそんなの出来やしない。

 そんな事が出来るのは、今まででもそれは一人しかいない……。


 今まで文献を読み漁ってきたから、転移という魔術があることや、それを使えた人物が一人いることを知っている。


 お兄様はそれを知っていたのだろう。

 お兄様って一体どれだけすごい人なんだろう。


 すると、私の視界が一瞬、真っ白になった。

 と思えば、さっきまでいた図書室ではない場所にいた。


「え? ここはどこ!?」

「精霊の花畑だ。魔術を使ったほうが早かっただろう?」


 何事もなかったようにお兄様は答えるが、これは大変なことだ。


「そ、それはそうですけど、そんな転移魔術なんて使えるのは『すずらんの聖女』しかいないはずで、お兄様が使えるはずは……」

「よく知ってるな。その通り、俺には使えない」


 お兄様には使えない?

 ならどうして転移できたの?


「レーアの力をちょっと借りさせてもらったんだ」

「わたしの力?」

「そう、レーアの、すずらんの聖女の力をな」


 転移はすずらんの聖女にしか使えない。

 つまり、すずらんの聖女の力があれば使える。お兄様はそう言いたいんだ。


 まだお兄様に問い詰めたいことは山ほどあるけど、まずは精霊を助けなければ!


 精霊の花畑に美しく咲いていたすずらんは枯れており、滝の水の色も禍々しい色をしていた。


 何が起こったのかは分からないが、これが『精霊の花畑に危険が訪れる』ということなのだろう。


 私の思い出がたくさん詰まったこの場所を、必ず守り抜いてみせる!

 精霊の花畑に訪れた危険なんて吹っ飛ばしてやる!


 魔術の練習もこの日のために頑張った。

 私だっていつまでも弱いままじゃないんだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ