俺が見える「悪霊」 あいつが見える「悪魔」
俺は昔から「悪霊」が見える
そのせいでいろんな霊的事件に巻き込まれたり
しなくていい恐怖を味わったり
お祓い的なサムシングをやる羽目になったり
俺は寺育ちでもTさんでもないのに
そんな中、引っ越してきたアイツ
イケメンなアイツ
うちの学校の女の話題をかっさらい
毎日キャーキャー言われてる
なのにオカルト研究会に入りやがった
近寄らんとこ、って思ってたのに
オカルト研究会で大騒ぎ起こしやがった
『悪魔をほんとに呼び出してるとか何やってんだ!!』
あれから数ヶ月
修学旅行で京都巡りの中
同じグループになったアイツが声をかけてくる
『君も不思議なものが見えるのかい?』
不意に声をかけられた
……まぁ、いるな
「そうだな……」
『そうか……まぁ、随分と小さいが』
……ちいさい?
俺は寺を囲ってる巨大な蛇を見上げる
神聖な感じがするから、悪さはしないだろうけど
「どう見ても、巨大だろ」
そう言いながらあいつの顔を見ると
寺の方ではなく、右の川の方に目を向けている
『あそこにいるのは小物だが……後で退治しておくか』
「いやいや、こんな神聖なデカブツ。祓えるわけねぇよ」
寺を指差す
アイツはキョトンとしてる
寺を見上げて、首を傾げる
『神聖なデカブツ??何を言ってるんだ?』
あれ?もしかして
見えてるものが違う??