表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dick Quality Saga  作者: 葛葉龍玄


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/22

決着

 その姿が異形へと進化する。

 確実にシリコンでできた体ではない。

「こうなっては我自身も体の制御はできんぞ。世界を焼き尽くすまで、暴れ回るのみよ!」

 繰り出される爪を盾で受け止める。

 伝説の盾でなければ、肉体ごと切り裂かれていたであろう。

 カウンター気味にその手に剣を突き立てるが、硬い。

 引けた腰では痛痒にもならないだろう。

 しかし、こちらも守勢でばかりいられない。足の下をスライディングするように潜ると、その脚の腱に切り付ける。

 弱点でもこの硬さか!

 手が痺れるが、それでもダメージは通っている。

「ぐぬぅ!」

 多少の手傷は負わせたが、同じ手は二度は通用しないだろう。

 激しい攻防が続く中、竜王は炎を吐く。

 激しい熱が襲いかかるが、こちらも炎で応戦する。

「ベギマラ!」

 炎と炎がぶつかりあい、対消滅する。

「我が炎を打ち消すとはやるな、勇者よ」

「そっちこそ」

 俺も竜王も笑を浮かべる。

 正直、楽しくなってきていた。

 爪をいなし、尾を避け、牙を受け止める。

 剣を防ぎ、魔法を無効化し、あらゆる攻撃をその身で受けながら致命傷を避ける。

 しかし、こちらのマラパワーも尽き掛け、魔法もあと何発打てるか。

 向こうも食道をやられ、すでに炎は吐けない。

 終わりの時間だ。

「名残惜しいな、勇者よ」

「奇遇だね。俺もそう思っていたところだ」

「思えば我はこのような戦いを望んでいたのかもしれぬ」

 強者ゆえの孤独。

 それはだれにもわからないものなのかもしれない。

 しかし、決着はつけないといけない。

「これで最後だ」

「のぞむところよ、勇者よ!」

 最後の煌めき。

 爪は盾を切り裂き、左手に食い込むが、すでに力なく腕で受け止めることができた。

 対して俺の剣は、確実に竜王の心臓を捉えた。

「くくく。我の夢もここまで、か」

 そう言うと、竜王は倒れ込み動かなくなった。

 俺は申し訳ないと思いつつ、竜王の首を切り落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ