張型竜王
ーー竜王の間。
瘴気がましていく。
いままでに感じたことのない威圧感が肌を伝わり、足をすくませる。
これが竜王……。
「って、どこにいるんだ?ここにいるのは確かなんだけど……」
「ここじゃ!」
足元で何かが喚いてる。
「……」
それはディルドーだった。
女性の夜のおもちゃ。
それなりの大きさではあるが、どう見てもラスボスとは思えない。
「デカすぎると女性の中に入れんじゃろ!」
言いたいことはなるほど、よくわかった。
が。
「いやぁ、俺、ドラゴンのモノを咥え込んで快楽得られる変態知ってるしなぁ」
誰とは言わないが、どこぞの王女様だ。
「そんな人間いてたまるか!」
「ほんとなんだって!俺もビビったけどいるんだって!」
そんなことを話に来たわけではない。
「とりあえず、世界征服なんてやめて、仲良くしようぜ」
「なぜだ!?我が王になれば人類の半分は幸せになれると言うのに」
「人類の半分?」
「もちろん女どもだ。確実に幸せになれるほどの快楽を与えてくれるわ!」
男でも気持ちよくなれるやついるけど、と思わなくもない。
「どうだ、我の仲間にならぬか?世界の半分を貴様にくれてやろう」
「馬鹿野郎。もう一度言うが馬鹿野郎!お前が女気持ちよくしたら俺の手元に残るの男だけじゃねぇか!」
そんな手に引っかかるほど馬鹿ではない。
とりあえず話し合いではらちがあかないことがわかった。
ここからは戦ってわからせるしかない。
「交渉は決裂だ。いくぞ!」
「仕方あるまい。来るが良い、勇者よ!」
剣と亀頭がぶつかり合い、火花を散らす。
かと思いきや。
「ぐわっあ!やられたぁ!」
「え?」
「こちとらシリコンでできてるんじゃ!刃物に勝てるわけなかろう!」
言われてみればそうである。
伝説の剣より硬いディルドーなんて痛くて高いものにならない。
こいつは張型竜王なのだ。
いくらかっこよくても女性を喜ばせるアイテムでしかない。
「しかし、ここからはたたの竜王として戦わせてもらおう」




