立ちはだかる巨人
──エナメルキド
未だに足を踏み入れたことのない大地。
この先にはどんなクエストが待ち受けているのか。
強くなる魔物を退け、俺は先へ進む。
未だに祖先が残した「トロトロの武具」は見つかっておらず、そろそろ手に入れたいところだが……。
目先の山間。そこに高い壁のような物が見えた。
大型の巨人でもいるのか?
俺の予想は大方当たっていた。
町の前には巨大な石でできた生命体「コンドーム」が聳え立っていた。
素早さこそないが、攻撃力とタフさならドラゴンを上回るだろう。
しかし、俺にはイラマの村で手に入れた「妖精の尺八」がある。
これを使えば岩の巨人、コンドームは眠りにつくはずだ。
力任せに巨大な手足を振り回すコンドームの隙を付き、「妖精の尺八」を口に咥え息を吐く。
「……!」
俺の耳には聞こえないが、音は出たのだろうか?
コンドームにしか聞こえない波長の音なのだろうか。
拳をかい潜り着地した俺に、コンドームの巨大な足が迫る。
「おい!効いてないじゃないか!?」
俺は慌てて説明書を読む。
『この妖精の尺八は、コンドームの股間に装着すべし。その途端、やつは岩の巨人から巨大な白濁液入りのゴムへとなり、その力を失うであろう』
股間?尺八?
……。
尺八ってそっちか!楽器じゃねぇのかよ!
慌てた俺は危うく痛恨の一撃を喰らうところだったが、なんとか懐に飛び込むと、コンドームの股間に「妖精の尺八」を取り付けた。
その途端に妖精が現れ、コンドームの股間に殺到する。
頬を赤らめて奇声を発しながらビクンビクン!と痙攣して、コンドームは倒れ込み、説明書通りに白濁液入りのゴムとなった。
妖精たちは最後に「そーろーね」などと言って去って行った。
小さい、と共に男が傷つく言葉だ。
俺もそうならないように訓練しなければ。




