表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

154/174

第百四十四話 ロディアの一撃

 ロディアは一瞬、その数十秒にも感じる一瞬を硬直し、そして口を開く。


「……へぇ。そういえば……そうだったね。僕が何か言っても、信じてもらえないのか。僕が神の価値観を話に出した時点で、僕の言葉には完全にトドメが刺された訳だね」


 ロディアは短くため息をつき、巨体のまま、右手でポリポリと頭を掻いた。


「ああ、その通りだ、ロディア。何を勘違いしてたのか知らねーが、お前も人間じゃない。ずっと魔術師ロディアでいれば、俺達だって、人間としてお前と接することかできていたのに……いや、まあ無理か。分かってるけどさ」


「悪魔差別かい?全く、前世で何を学んできたのかな」


「被害者ぶるな!」


「実際に被害者だよ、君達が神に流されるがまま動いていたら、僕の餌場が無くなるんだから。冷静に会話しようよ、会話」


「じゃあまず、その指先に溜めている魔力を何とかしてくれよ」


「それもそうだね。じゃ、発射っと」


 ロディアは口を閉じると同時に、高く飛び上がって指先をこちらへ向け、闇の魔力から生成した弾丸を撃ち出してくる。


「不意打ちのつもりか?どこまで行っても裏切り者らしいな」


 俺はその弾丸を斬り捨て、右肩に風の魔力を溜めながら懐へ。


「ちぇっ、バレちゃった。……って、それすら警戒できないほどバカだったら、ここまで来れてないか」


「一々うるさいな、ホントに!」


 しかし、その魔力を纏ったタックルが当たる事は無く、ロディアはちょうど身体一つ分、後ろへ下がっていた。


「でも、ここまでだよ」


 タックルを外した俺の頭上を、闇の魔力が覆う。


「【駆ける風】!」


 俺はロディアの左腕の側へ回り込む事で回避するが、そこにはロディアの左手。


「甘いよ!」


「ぐべぇぁっ!」


 そのまま顔面に拳を受けてしまった。


「ジィン!大丈夫!?」


「な、何とか……!」


 岩に背中を打ちつけられたまま、俺は親指を立てる。


「しばらく下がっていなさい、ジィン。皆の拘束は解いた。正直、この人数でも勝てるかどうか分からないけど……少し休むくらいは出来るハズよ」


「お、お願いします……」


「……という訳だから。行きますわよ、皆さん」


「任せろッ!はぁぁぁぁぁ!」


 先陣を切るは、マーズ・バーン・ロックスティラ。


「やぁやぁ、マーズ。君も出会った時と比べると、かなり強くなったね。昔は技も魔法も無かったのに」


「そうだな!お前と歩んできた道は、だから私は、今も臆せずお前に立ち向かえる!」


「へぇ。確かにパワーも剣の扱いも、短期間で歴戦の戦士並みになってるからねぇ。ちょっと僕も怖がらなきゃいけないかな」


「あまりナメてもらっては困るな。喰らえ、絶技……【怒羅剣(ドラッケン)】!!!」


「うわっ、ぐォォォォォッ!?」


 完全に油断していたのか、ロディアはマーズさんの必殺技とも言える『怒羅剣(どらっけん)』を避けることができず、左脇腹を抉られた。


「ふぅ、ふぅー……。どう、だ、ロディア!」


「ぐ、ぐググぐグググぐ……ハァ!いヤぁ、危なイとコロだったよ。ちょっと、まともに喋れなくなるところだった。この身体を取り込んだばかりの時を思い出すね」


「くっ……思ったより効いていない、ようだな」


「まあね。でも、ちゃんと身は削られたよ。今は闇の魔力で覆ってるけど、回復まではちょっと時間がかかるかな。大きいカサブタみたいなものだよ」


「仕方あるまい。ならば、もう一撃叩き込めば良いだけの話だな……!」


 マーズさんは前方へ大きく踏み込みながら、軌道を予測しづらいように、構えを変えながらロディアへ接近。


 そのままもう一度、大きく息を吸い込んで予備動作へ入った。


「いやいや。相手は悪魔だよ?しかも、結構有名な。同じ轍は踏まないって、分からないかい?」


「なっ……」


 ロディアはそれを見るなり、マーズさんの背後へ回り込む。


「【デモンセスタス】」


「ぐ、ぁ」


 そして闇の魔力から生成した巨大な手を用いて、マーズさんの剣と右肩を粉砕したのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ