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第百三十一話 未来、或いは過去の力 その四

 石碑ゴーレムが倒れ、砕けると同時に、地面が微かに光ったような気がした。


「風が反応してんなァ……。この辺りから……?うおおッ!?」


 皆が視線を向けている辺りの地面は、徐々にモコモコと雪が膨れ上がる。

 そして、地中から雪を喰い破るように、石碑ビットが姿を現した。


「で、出たッ!私の足元からもだッ!確かに光っている所から、石碑が飛び出してきたぞッ!」


「マーズ!これは……霊脈から湧いているのかしら……?魔物みたいに、ロボットが……?」


「ううん。魔物とは、出てくる時の様子が違う。下に、霊脈とは別の……石碑を出すための倉庫みたいなのがある。どうする、ジィンお兄ちゃん?」


「そんなの決まってる!ビットが湧いてくる場所が分かったんだ。すぐに……」


「「「「すぐに……?」」」」


「ここを離れる!さあ逃げるんだ!俺がいいって言うまで、後ろに走り続けろッ!」


「「「「ええっ!?」」」」


 俺達は一斉に後方へ走り出す。

 追いかけてくる石碑ビットの攻撃を避けながら、ただただ霊脈から遠ざかるように逃げ続けた。


 石碑ビットの多くは再び石碑ゴーレムへと合体し直し、残りの合体に使われなかった石碑ビット達と一緒に、雪を崩しながらこちらへ走ってくる。

 しかし、逃げ続けること十分程度。


「……そろそろか」


「どうしたの、ジィン?」


「今に分かりますよ。……皆!そろそろ止まっても良いぞー!」


「お、そうなのか!?でも石碑が……あれ?」


「あ?あの石ころ共……突然動きを止めやがって……どうしたってんだァ?」


 突然、石碑ゴーレム達が移動を止め、こちらを見つめたまま動かなくなった。


「もしかして、ここ……霊脈から遠い?」


「ファーリちゃん、大正解!霊脈から俺達が離れたことで、あいつらが動きを止めて、そのまま攻撃もしてこなくなったってことは……ここはテリトリーの外とみて間違いない。そして霊脈が石碑の動力に関係してるってのも、ビットが霊脈の近くから湧いてきたってことも踏まえれば、多分そうだと思う。……つまり」


「つまり、何だよ?」


「ここは、少なくともさっきの場所よりかは俺達に有利ってこと。何なら、攻撃し放題な可能性もあるってことだッ!」


 俺は両手に風の弾丸を作り出し、放つ。

 それは石碑ゴーレムの胴体に命中し、石碑ゴーレムは思い出したかのようにこちらを再び攻撃しようと拳を振り上げるが、明らかに動きが鈍っていた。


 当然、今もオバケになったままの俺にその攻撃は効かない。

 すると、石碑ゴーレムは再び思い出したかのように、霊の魔力を両手に溜め始めた。


「そうはさせないわ。撃たれる前に、その腕……粉々にしてあげる」


 しかし、ビームにしてそれを放たれる前に、ガラテヤ様は高く飛び上がり、風を纏った右脚で石碑ゴーレムの左手を砕いた。


「ピギギギギギ、ギギギ、ギギ」


「隙アリだッ!」


 そして石碑ゴーレムがよろめいている間に、マーズさんが大剣を振るい、辺りの地面ごと石碑ゴーレムを再びビットへと分離させた。


「さあて、決めにかかろうぜェ……!」


 多くのビットが、しかしどれも力無く飛び回っている今、まさにその時は訪れる。


「……ピキュキュキュ、キュウウウン」


 バグラディが構えた斧を振り下ろすまでもなく、俺達の周りを確かに飛び回っていたハズの石碑ビット達は、一斉に動きを停止する。


「……ああ?……ンだよ、拍子抜けしちまうじゃアねェか」


 俺達が逃げている間に、ビームをばら撒きすぎたことが原因だろう。

 やはり石碑ビットにバッテリー的なものは積まれておらず、エネルギー供給源である霊脈から離れ過ぎてしまった奴らは、身体中に残っていた魔力を全て俺達への攻撃に割いてしまったばかりに、エネルギー切れを起こしてしまったのだ。


 俺達は武器を納め、拠点へと歩き出す。

 さほど距離は離れていない。

 

 方向は風で探ればすぐに分かるだろう。

 俺達は雪道へ足を踏み出し、そして数十分後。


「……あれ、どうしたんですか」


 俺達は、何故かこちらへ向かって歩く先生達に遭遇するのであった。

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