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第百六話 パワードスーツが呼ぶ謎

 一週間後。


 俺は有事に備えて組んでおいた臨時パーティのメンバーを「アンリのスープ屋」へ呼び、個室を借りて食事会を開くことにした。


 皆を集めた理由は、未知な点は多いものの、今のところはケーリッジ先生が再び現役時代のように戦うことを許しているパワードスーツ。

 それが発見されたことにより、この世界における錬金術をはじめとした技術や、逆に失われた古代文明などについても話をしておかなければならないと思ったのだ。


 あのパワードスーツは、前世までの世界でいうところの中世後期レベルの技術、つまりこの世界における現在の技術力で作ることができるとは思えない。


 錬金術が廃れた今、手がかりは自力で探すしか無いわけだが……おそらく世に出なかった技術か何かがあるのだろう。

 そしてそれは、この時代において公に知られている技術をはるかに上回っていた……のかも、知れない。


 また、現在とは違う文明の遺物という線も捨てきれないだろう。

 少なくとも公になっている技術からしてみれば、ロストテクノロジーによるものであるということしか分かっていないのだ。


 このまま何も分からなければ、パワードスーツを装着していなければ、現役時代のパフォーマンスを発揮できないと言うケーリッジ先生には申し訳ないが、パワードスーツは悪い意味で「切り札」という使い方をするしか無い。


 そうならないために、この時代の技術では訳が分からない程に高度な技術の出所を可能な限り知っておくべきだということで、これから俺達は調査の実行を前提とした作戦会議をすると、そういうことである。


「しかし……そう簡単に見つかるものですかな。フィオレリアの国土は粗方、遥か昔の冒険者達が開拓した後でありましょう」


「比較的人の手が行き届いていない部分となると、王都からは馬車でも二日以上はかかる距離で……かつ、街道から外れた場所?」


「寒さの問題も考えたらぁ、北の方が多いんじゃないかしらン?細かい村までは分からないケド、街道も町も、特に北東の方なんて少ないワよ」


 地図を開いて確認してみると、「未開拓地」や「ダンジョン」、更には「禁域」という文字が書いてある場所もある。


 普通の冒険者や探検家なら、「危ない場所」として避けるのだろう。

 しかし、あえて俺達は、そのような場所へ行こうとしている訳だ。


 その先に待つものが何かは分からないが、少しでも、パワードスーツ周りのヒントが見つかれば良いものだ。

 あわよくば、新しい遺物や利用できそうな道具を発見できれば尚良しである。


「そうと決まれば、経路と持ち物も決めておきましょうか。私とジィンは、いつもの装備と……家から食料とお金も送ってもらおうかしら」


「村は多く経由して行った方が良さそうだと思います」


「マーズお姉ちゃんは、おいらがお迎えに行っておく。そろそろ治ってきたと思う」


「分かったわ。じゃあ、マーズが治り次第出発で良いかしら」


「大丈夫ヨ!装備の修理なら、特別価格として、材料費だけで請け負ってあげるって、そのマーズちゃんってコに言っておいて!」


「では、私も剣の腕を磨いておきますぞ」


「パワードスーツの慣らしは……」


「「ダメです」」


「ダメよね」


 こうして俺達は、各々の準備について情報を共有し、その通りに進めていくのであった。


 数日後、ケーリッジ先生がこっそりとパワードスーツを使おうとしていたが、ガラテヤ様に静止されたらしい。


 それからというもの、パワードスーツは何故か俺の部屋で扱われることになった。


 ……何で?

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