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白い部屋  作者: いちこ
慎翔
3/17

3

 どれくらいここで過ごしたんだろうか。

 ずっと1人なんで、喋る事が無くなった。

 最初の頃はわざと声を出したり、歌ったりしてみたけど、独り言もだんだん虚しくなってきてやめてしまった。


 今が朝なのか、夜なのかも分からないし、白以外の色は自分の肌と髪だけしかない。

  姿見で見ると気がついた。


「なんか肌とか髪とか白っぽくなってる。」


 このまま全部真っ白に染まるのかもしれないけど、出ることもできなさそうだし、最近は諦めてきたのかもしれない。







 そんなある日、ふと足元にいつもと違うものがあった。


「?」


 1mくらいの円の中に、なんか変な模様が色々刻まれてる。

手でゴシゴシしても消えない。


「魔法陣的な?」


 あまり深く考えずに円の真ん中に立ってみる。


……………何も起きない。


 何だよ。期待させんなよ。


 期待した分、落胆も大きい。


 しかし、こんな風に魔法陣みたいなのがあるってことは、やっぱり異世界ファンタジー的な?

 聖女とか勇者とか思ってたのとは違うけど。


 この出来事は、自分の諦めかけてた心を動かすことになった。


 外の世界はどんなんなんだろう。


 知るためにはやっぱり本でしょ。


「本出てこーい。」


 ちゃんと出てきたわ。真っ白い本が。

 前に何か書き残せないかと思ったけど、インクも白で見えなかったので諦めた。本も真っ白で読めないかと思ったけど、白い紙に白い文字が浮かび上がって陰影で読めるなんてどんな不思議仕様だ。

 まあ読めるんならありがたい。







 ここはタメリア国っていう国らしい。だって本の題名が


  [タメリア国の歩き方]


 って海外旅行か!


 とりあえず読み進めると、ここが剣と魔法の世界だという事が分かった。


 ただ此処が何処でどういった所かは本では分からなかった。


 首都はシントっていうらしい。

 王都じゃないって事は王政では無いって事かな?

とか言われてもだいたい政治のことなんか分からないし、なんか貴族とか出てきそうかなって。めんどくさい。


 読み進めると冒険者ギルドの文字がある。

 やっぱりあるんだ!せっかく異世界に来たっぽいなら、ギルドに登録して冒険者になるのは鉄板でしょ。




 さらに読むと簡単に魔法使えますとか書いてて、属性とか使える魔法とか、うおおお、異世界テンプレだ!


 他にも、貨幣の種類とか色々。


 外の世界に俄然興味が湧いてきた。


 とりあえず魔法だ。本には[イメージです。]って書いてある。


 手のひらを上に向けて差し出して、水が湧き出すイメージ。


 出た!水出たよ!


 次は人差し指を立ててライターのイメージ。これも難なく出来た。ただ炎は白かった。


 結果、火、水、風、土といった基本的なのは全部使えた。もしかしたら全属性使えんじゃない?

 チート来たーーー。って思ってたけど、案外この空間って魔法要らない。

 使い用がないんだよね。だって最初からそうゆう欲求全部無いもん。食べなくても生きていられるわけだし。汚れなんか全くないし。

  全部白だし。

 土魔法で地面ボコボコして畑作ったんだけど、種なんか植えた覚えないのに、何かの芽が出てきて驚いた。短時間でスクスク大きくなって、花が咲いた。チューリップみたいな形。

 ただ全部白いけど。何か野菜とか作れるかもしれない。白いのさえ我慢すれば。


  身体能力も爆上がりだった!

 だってイメージの部屋だもん。バック転からのバック宙とかしたことないような動きが出来るし。

 もしかして、もしかしたら外に出られるかもしれないって、前向きに考えて、魔法練習したり、身体動かしたりして。


 魔法はまだまだ奥が深い。転移も使えた!

 部屋の外に転移って跳ぼうとしたけど、それは無反応だった。ちっ。


 風魔法を纏わせて空を飛んだり、いしつぶて飛ばしたり、身体動かして毎日過ごした。


 あとは異世界テンプレのアイテムボックスは標準装備でした。


 イメージで出した服とか、本とか、何でもかんでもどんどん入れちゃえ!


 これだけ色んな事が出来てもここから出ることだけ出来ない。

でも諦めたわけじゃないから。


 色んなイメージで物を出しては、アイテムボックスに入れてく。


 空間拡張テントとか出せた。

真っ白いけど。


 いつか出られる日がくると信じてるからなー!




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