フィアドーネの花びら 1枚目
むかしむかし、ある村にひとりの女の子が産まれました。
その女の子を見た村の人たちは、女の子が強い魔力を持っていると感じました。
村の人たちはとても喜び、こう言いました。
「この村でこんなに強い魔力の子どもが産まれるなんて!」
「きっとこの子は、この力でこの国を救う神からの授かりものだ!」
それから、その女の子は大切に育てられ、年月が経つと外で友達と遊びまわる、元気な子に成長しました。
やがて、魔法が安定して使える歳になると、魔法が使える大人に教わります。
魔法を使えるほどの魔力を持つ子どもたちは、他の子どもたちに自慢します。
しかし、その中で期待されていた女の子は魔法がうまく使えませんでした。
魔法は発動するのに、それが他の子どもに比べてとても小さいのです。
魔力の大きさに対して小さい魔法に、大人たちは困り果てます。
きっと何か別の原因があるのだと、村人たちは判断しました。
魔法の練習を始めて何日か経ったある日のこと、魔法を使える子どものうちの一人が魔法の発動を失敗させ、暴発してしまいました。
暴発した魔法は、近くにあった大きな木へ飛んでいき、木を倒してしまいました。
このままでは、木の周りにいた人たちがつぶされてしまう、そんなとき―――
女の子が魔法を使い、木を破壊し、けがをするはずだった人たちを助けました。
女の子は、魔法が使えたことに大喜びします。
村の人たちも大喜びし、女の子をほめたたえました。
女の子は、その日から魔法の練習にもっと励むようになりました。
褒めらたことを伸ばすように。
もっと大きなものを壊せるように。
ものを壊してもっと褒められるように…。