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無口系女子達との騒々しい日常 レティセンス・ガールズ【21/8/4完結】  作者: 市み
一章 レティセンスガールズとチャラくないチャラ男
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1-3-1 未来型ロボット

「よぉーし、待機部三日目だぞ!?」



 誰も居ない部室で叫んでみた。

 むなしくなった。


 仕方ない、聞き込みにでも行ってくるかな。

 其処へケー子がやってきた。



「おっすー」


「……」



 めっちゃスルーされた!

 ギャルのノリに合わせたのに!?



「くっ、もっとオラオラしないとコミュ取れないのか!?」


「……」


「オラオラ!!」


「……!!」



 オラオラしたら反応してくれた。

 イライラしてる様だったが。



「自分で言っちゃ何だが、俺は面倒くさい男だぜ!!」



 最悪の決め台詞だった。



「はぅっ?!」



 普通に平手打ちをされた。

 痛いんですけど!?



「畜生め! またケータイばっかり弄るつもりか!」


「……」


「それは流石に勿体ないぞ!」


「……?」


「青春は待ってくれないんだぜ! ぶぺっ」



 決め顔で言ったら、拳が飛んできた。



「お、俺は暴力には屈しないぞ!」



 ケー子は、再び腕を振りかぶっていた。



「ひぃ、殺される!?」



 あっさり屈していた。

 其処へ、都合良くゲム子がやってくる。



「ゲムえもん!!」



 慌ててゲム子の後ろに隠れた。



「?!?!」


「やってしまえ! ゲムえもん!」



 未来型ロボットの力を見せてやれ!!


 ゲム子が驚いて、変な動きを始めた。

 両手でオーラを貯めながら、左右に振ってる様な。


 本当に変な動きをしていた。

 何か和む。



「……」



 それを見て落ち着いたのか、ケー子は拳を下した。

 人の心は残っていたみたいだ。



「もう、殴らない? 大丈夫?」


「……はっ」



 ケー子は呆れた様に鼻で笑うと、席へと歩いていく。

 危機は去った。


 ありがとう、ゲムえもん!



「……」


「あ、ゲム子すまん」



 肩に手を置いていたのを忘れていた。



「……」



 解放されたゲム子は小さく頷く。

 そしてトボトボと歩いていき、席に座った。


 お婆ちゃんみたいだ……。









「そうだ。早速で悪いが、一緒に聞き込みに行かないか?」


「……?」



 ゲム子は、こっちを見て首を傾げる。



「ほら、依頼をこなしたから写真部と新聞部しか残ってないし」



 ほとんど身売りするようなものだ。



「行こうぜ、ゲム子!」



 グイっと親指を立てて誘う。

 ゲム子は少し考えてから……。


 ゲームを始めた。



「遊んでるし!?」



 ゲム子は、プイっとそっぽを向いた。



「くぅう、こっちは既に友人の体で居るのに」


「……」



 チラッチラッとこっちを見るゲム子。



「お、考え直してくれたか!」


「……」



 またプイっとそっぽを向いた。



「どっちなの!?」


「……」



 その後もゲム子は、メタルのスライム的な挙動で様子を見てくる。


 埒があかないな。

 こうなったら、最後の手段を使うしかない。



「一生のお願いだから!!」



 芸が無かった。


 しかしそれが良かったのか、ゲム子が反応する。

 口元をモゾモゾ動かし、そして……。


 ニチヤァと笑った。



「どっちなんだよ!?」



 ゲム子は『やれやれ』と言った仕草で席から立った。



「うぉおおお!」



 俺は雄たけびを上げる!

 ゲム子はトテテテーッと近づいてきた。



「感謝するぜゲム子」



 もう、親友みたいなものだな。



「頭撫でてやろうかゲム子?」


「?!?!」



 慌ててケー子の後ろに隠れた。


 スマホを机に置くケー子。

 そして拳を握りしめた……。


 素直に怖い!



「冗談だから、行こうぜ」


「……」



 ゲム子が頷くと、俺達は部活巡りに出発した!






 ◇






「文化系は前回行ったから、運動部方面行くぞー」


「……?!」



 ゲム子は逃げ出した。



「分かりやすすぎぃー!?」



 廊下を駆けるゲム子を追う。



「走ると危ないぞー」


「……!!」



 早速、廊下の角でぶつかっていた。



「おいおい、大丈夫かよ?」


「……」



 その相手は本子だった。


 ゲム子は慌ててオロオロしてる。

 本子も体を震わせながら、身だしなみを整えていた。



「え? どうなるんだ、この場合……」



 喋るのかこいつら!?


 暫く見ていると、互いの動きが止まった。

 だが、二人とも喋らない。



「……」


「……」


「……」


「……」


「……」


「……」



 沈黙が続く。

 段々こっちが苦しくなってきた。



「……ごめん。ゲム子を煽てすぎたよ」



 空気に耐えきれず、俺が切り出した。



「……!?」



 本子が『大丈夫ですよー』みたいな手の動きをする。

 本子は、髪の毛を直す様な仕草を繰り返していた。


 ゲム子にも謝って欲しいが、ちょっと難しいか。

 非が無い訳ではないが、俺が指摘する様な事ではないし。



「ゲム子はどうしたい?」


「……」



 ゲム子はこっちを向いた。


 俺は、出来るだけ穏やかな顔をして、返事を待つ。

 喋らない彼女の、その言葉を。


 するとゲム子は本子に向き直り、ゆっくりと口を開いた。



「……ゴメン、ネ」



 そう言って頭を下げた。


 本子は、ゲム子の手を取って、笑顔を見せる。

 ゲム子も釣られる様に笑みを見せた。


 !?!?!?

 シャベッタアアァアア!?


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