1-15-1 デート?
「えっと、今来たよ?」
駅前にやってくると、既に法木さんが待っていた。
「遅いよ惣藏君。一時間も待ったんだから!」
「マジかよ、普通9時とかだろ」
「ふふん、楽しみにしてたんだから」
「じゃあ、時間ぐらい言っておいて!?」
「ふふーん。トラーップ」
「何の意味があんのそれ!?」
そのせいで一時間待ってたんだよねぇ!?
法木さんは楽しそうに笑っていた。
こうやって見てる分には……。
「可愛い?」
「な、何の事かな?」
思考を読まれたかと思って焦ってしまう。
「ふふん。この服、新しいの下したんだ」
「何だ、服の事か」
「何だと思ったの?」
「ふ、服の話だよ」
何故か法木さんには、素直に可愛いとは言えない。
ゲム子にだったら、いくらでも言えるのに。
「ふふん。そういう事にしておくわね」
「お願いします……」
言われて法木さんの服を見てみる。
今風のオシャレな着こなしに感心した。
とても奇抜な服を作っていた人とは思えない。
「センスいいですね」
「ありがと。だから自信あったんだよねぇ」
自信を持つのにも理由があるんだな。
「今後に期待という事で、それで何処に行くんですか?」
「何処行きたい?」
「ノープラン!?」
「ふふん。まぁ嘘だけどね」
「からかうのが好きですねぇ」
「惣藏君は弄りがいがあるからねぇ」
「3割ぐらいイジメですよ……」
「じゃあ、5割を目指そう!」
「割合ダメージ!!?」
「ふふーん。そのツッコミは30点ねー」
ツッコミが3割だった。
「じゃあ、行こうか。付いてきて」
そう言って先を歩く法木さん。
大人しく後を追う事にした。
したんだけど……。
後ろから付いてくる集団が、バレバレだった……。
「ひょえー、惣藏めー。今度一緒に殴ろうね、ゲム子ちゃん?」
「……(コクコク)」
筒梨ちゃんとゲム子が、闘志をメラメラと燃やしている。
「あの馬鹿にあんな可愛い子がね。貴女もそう思う?」
「……」
鈴ちゃんとケー子がコーヒーを啜りながら、物見遊山といった体で後を追う。
「あいつ等を押し付けた恨み! 晴らす!!」
「……!」
田屋さんと本子が、謎の憎しみを抱いていた。
「……?」
首を傾げながら付いてくるルビ子。
一人だけ話に付いていけて無さそうなんだけど!?
とまぁ、何か声も聞こえるし。
あの大所帯だと流石に気付いてしまった訳だが。
前を歩く法木さんは、鼻歌何かを歌って全く気付いてなさそうだった。
「手、繋ごうか?」
「は、はい!?」
不意の提案に変な声が出た。
「ふふーん。折角だから、ね?」
「べ、別に良いけど……」
法木さんは、俺の手を掴む。
「ちょっと、恥ずかしい。かも」
「はは……」
何にも言えねぇ。
マジで惚れそうだ、助けてくれ!?
「……!!!!」
ゲム子が指をツノに見立てて、頭を振っていた。
どういう意味があるのかは良く分からない。
「思ったよりも、マジっぽい奴ね」
「惣藏さんも満更でも無さそうですね。私にはあんな事をしておいて……」
鈴ちゃんの言葉に田屋さんが答えた。
「あ奴が何をしたんさー?」
「私の純情を弄んだんですよ」
筒梨ちゃんが訊くと、田屋さんは暗い笑みを見せた。
「修羅場の気配!?」
誤解が広がっていた。
俺はそんなに悪くないと思うんだけどな。
「……!」
「本子ちゃんも怒ってるー。何があったんだろうねー?」
「……ちっ」
「あら、貴女も何か言いたそうね」
ケー子に声を掛ける鈴ちゃん。
「……」
「そう、愚痴ぐらいなら聞くわよ」
何やら意思疎通が出来てる様だった。
「…………」
ルビ子は空を見上げたまま歩いていた。
あいつだけ別の意味で心配だ。
「ふふーん。ここ」
「服屋か」
街では一際大きくて、目立つ建物だった。
「これから寒くなるだろうし、何着か欲しいなぁと思って」
「別に一人でも来れただろ」
「あら、その台詞は0点ですよ」
法木さんはそういうと薄く笑った。
「加算方式だから大丈夫だ!!」
「私は、減点方式ですけどねぇ」
「じゃあ既に終わってるよな!?」
マイナスが始まるんですかね?
「ふふん。冗談だよ」
「冗談に聞こえないタイプ何だけど……」
「ふふーん。そう?」
またも笑みを見せる法木さん。
やばい、惚れそうだ。
「いや、俺が悪かったな。折角誘ってくれたのに」
「素直に謝れるのはポイント高いですよ」
それはありがたいが、ポイント貯めると何が起こるのだろうか。
ジュースの引換券辺りかなー、はははー。
「とにかく入ってみるか」
そう言った所で、近くに止まっていた車のドアが開いた。
「乗りたまえ」
聞き覚えのある声がした。
忘れている方の為に、人物紹介をば!
法木さん ファッション部の部長。作る服は奇抜!
筒梨ちゃん ゲー研の紅一点! 惣藏君のソウルメイト。
鈴ちゃん 調理部のツッコミ番長。クール気取ってます。
田屋さん アニ研のメインヒロイン。眼鏡っ娘。
おっさん
ちなみに現在、惣藏君がテンパっててギャグのキレが悪いです。
僕の腕の問題では無いのです、本当です。
わしを、信じて……




