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無口系女子達との騒々しい日常 レティセンス・ガールズ【21/8/4完結】  作者: 市み
一章 レティセンスガールズとチャラくないチャラ男
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1-1-3 依頼を探そう。

「じゃあ、レティセンスガールズの活動内容を決めるなぁ」



 乙女達は、怪訝そうな顔を向けた。



「表向きは助っ人をする部活だろ? 貴重な高校生という青春時代に、毎日数時間を無駄にしちゃ勿体無いよな?」


「……!」



 その言葉に、本子が興味を持った様だ。



「皆で青春を謳歌しちゃおうぜぇ!!」



 反応はほぼ無い。

 本子だけが、小さく手を挙げてた。



「まずは各部を回って、困って無いか聞いてくるか」



 依頼を探しに行こうって事だ。



「行くぞー! おー!」



 勢いに任せて、部室から飛び出した。

 だが、誰も付いて来なかった!









「ちょっと誰も付いてきてないけどぉ!?」



 恥ずかしい感じになったじゃん!?



「仕方ない。……本子!」



 本子がビクッと体を震わせた。



「お前ならきっとできる!」


「……!?」



 本子は、助けを求める視線をゲム子に送る。



「……」



 ゲム子は見えない振りをした。




「……!?」



 本子はショックを受けた!

 お前ら、仲良いなぁ。


 諦めた様子の本子は、オドオドした様子で立ち上がる。



「ありがとう、助かるよ」


「……」



 素直に感謝すると、本子は照れ臭そうに視線を外した。







 ◇







「ちわーっす、待機部ですー。何か困ってねぇーっすか?」



 隣の漫画研究会を訪ねた。



「あらーっ、待機部活動してるの初めてみた」


「すよね。大人しい子ばかりだから」


「ふふ。うーん、今は大丈夫かな」


「了解っす」


「締め切りが近くなったら頼むかも!」


「待ってまーす」



 漫研を後にする。



「じゃあ、次行くか」


「……」



 本子が頷くと、更に隣の部室へと入った。







 ◇







「丁度良かった、この薬を飲んでくれるかしら」


「遠慮しときまーす」


「何でも良いって言ったのに!?」


「言ってないですけど!?」



 オカルト研究会とは名ばかりの、黒魔術研究会を後にした。



「二つ目にして、最大の危機が訪れるとは……」



 それからも俺達は、適当に部活を回った。







 ◇






「帰ってきたぞー!」


「……」


「……」


「……」


「……」



 相変わらずだった。

 俺は気にせずに、たたーっとホワイトボードに記述していく。



「たたーっ」



 写真部

 モデル募集中、”美少女”大歓迎!



 ボランティア部

 清掃の人数が足りてないので助けてー。



 新聞部

 ネタを寄越せ!



 ゲーム研究部

 俺より強い奴に会いたい。



「こんな感じですー」


「……」


「……」


「……」


「……」


「では、写真部の助っ人に行きますか!」


「!!」 「!?」 「?!」 「??」


「いやねぇ。客観的に見たら、お前ら美少女じゃん?」



 本子とゲム子が顔を見合わせて、互いに納得していた。

 お前ら本当に仲良いな。


 ケー子も満更ではない顔をしている。

 ルビ子は窓の外を見ていた。



「では、行きますか! 二階だぞー」



 軽いノリで、部室を飛び出した。

 だが、誰も付いてきてはいなかった!



「誰か来てー!?」









 スンっとしてる面々。



「くっ、褒め殺しでも動かないとは……」



 俺はもっと褒めてほしいぐらいなのに!



「ならばボランティア部は?」



 俺は改めて提案する。

 ハードルを上げてから、下げる作戦だ!



「清掃って言っても、簡単なゴミ拾いだから安心してくれ。ボラ部は既に始めてるし、半時間ぐらいだからさ」



 待機部の活動時間をオーバーしない最適な時間だ。



「よし、行くやつ挙手!」



 おずおずと本子が手を挙げた。



「はい、一名入りましたぁ!」


「!!」



 ケー子がちょっと反応した。

 こういうの好きなのか?



「ゲム子もどうだ?」


「?!」


「本子と仲が良い君なら、来てくれるよな?」



 ゲム子は所在なさそうに、右往左往している。



「一生のお願いだから!?」



 これから散々使う事になる、一生のお願いが発動した。



「…………」



 ゲム子は、諦めた様に手を挙げた。



「はい、二人目入りましたぁ!」


「……」



 ケー子に、冷たい目で睨まれた。

 何故だ……。



「ちなみにルビ子はどうだ?」


「……?」


「聞いてなかった感じ!?」



 ルビ子は、プイっと背を向けた。

 この子は手強そうだ。



「まぁ、二人居たら上等だろう」



 ケー子は普通に無理だった。

 怖くて。



「行くぞー!」



 俺達は、部室を飛び出した。

 すると自然と笑みが浮かぶ。


 それはまるで、『野球やろうぜ』と友達を呼びに来た。

 少年の様な笑みだった。






 ◇






「ボラ部の皆さん! 待機部が助っ人に来ましたよ!!」


「あ、もう一通り終了したんですよ」



 ……。



「解散!!」


「!?」 「?!」



 本子とゲム子は驚いた後、少しして笑っていた。






 ◇





 部室に戻ると荷物をまとめる。



「……?」



 こちらを訝しげに覗くケー子。



「お先失礼しゃーす」



 満面の笑みで帰宅する事にした。

 遅れて二人が戻ると、薄っすらと笑い声が響いてきた。


 あいつら無口じゃねぇのかよ……。

 こんな感じで転校初日は、終了したのだった。







 ◇







「にいやん、学校どうだった?」



 家に帰ると、妹が声を掛けてきた。



「お、おぅ。バリバリよ」


「そうなんだ! 来年同じ学校に行くんだから、早く〆ておいてね!」


「お、おぅよ!」



 どうしてこうなった……。


 妹は、何故か俺をバリバリのヤンキーだと思っている。

 てか、〆るって何だよ!?


 妹の闇は深い。



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― 新着の感想 ―
[良い点] ゆるーい感じの世界が良いですね…! 無口すぎて本名すら教えてくれない状況に少しクスリと来ました! [一言] 本子、ゲム子、ケー子、ルビ子…… 四人との進展はあるのか…それとも騒々しいとうっ…
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