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無口系女子達との騒々しい日常 レティセンス・ガールズ【21/8/4完結】  作者: 過去の憧憬
一章 レティセンスガールズとチャラくないチャラ男
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29/184

1-11-2 狼さん

「ソフ部に入部してください!」



 俺とチャラくない男は土下座した。



「無理ー無理ですー無理無理ー無ー理ー」



 全力で拒否られた。

 美術部とは思えないリズミカルな人だった。



「流石に美術部からの移籍は難しいか」



 取り合えず近くの文化部に来たが、結果は芳しくない。

 RGも、先程の失言のせいか付いてきてくれなかった。




 ◇




「すみません、一緒に土下座までしてもらって」


「いいよ。何者でもない俺の土下座なんて安い安い」



 悲しくなる事を言ってしまう癖があった。



「まぁ、チャラくない男がチャラくなかったから手伝ってるだけだ」


「チャラくない男!?」


「名前知らんし」


「あぁ、確かにそうですね。鶴井ペダルって言います」


「カッコイイ名前でムカつくなぁ。ツルペタで良いか」


「酷過ぎる!?」


「見た目も女の子みたいだし、ピッタリじゃないか」


「それってハラスメントですよ!?」


「理不尽には慣れておいた方が、都合が良いぞ」


「ソウシさんの都合ですよね!?」


「あれ? ソウシって……。そういや野球部の兄貴に聞いたんだっけ?」



 惣藏詩位を略してソウシと呼ぶのは、野球部の兄貴だけだった。



「はい。一個上のアニキが居まして」


「ふーん……。一個上?」


「そうですが?」


「鶴井は一年だよな?」



 そういや鶴井って苗字に聞き覚えがあるぞ。



「髪の毛をふわっとさせて、僕イケメンとか言わない?」


「いや言いませんよ!? ただ、見た目は爽やかかも?」


「もしかして野球部の兄貴ってアイツ?」



 野球部の爽やかな男を思い出す。

 ゲム子にちょっかいを出して来た、あの男だ。



「あのチャラ男かぁあああ!?!?」


「ど、どうしたんですかソウシさん!?」


「あのクソ爽やかイケメン」


「どうしてそんな敵意を」


「どうして、だと……!? どうして……。どうし……? ……?」



 ゲム子にちょっかいを出そうとする所、それ以外は特にない。

 いやまぁ、それが影響してる部分は大きいか……。



「トラウマみたいなもんだ。チャラそうな奴を見ると頭がおかしくなるんだ」


「びょ、病気では?」


「大丈夫だ。おかしい事をしてれば治る」


「それ周りが困りますよねぇ!?」


「気にするな。やかましいだけだ。あ、騒々しいだけだ」


「言い直す必要ありましたか!?」


「俺にだって自制の心はある。見せるべき時が来たら見せるさ」


「良いのかなー!?」



 良くないと思うよ。







 その後も俺達は、次々と土下座を続けた。



『ふふーん。例の約束もまだなんだけどぉ』


『ちょっと惣藏笑っちゃうからー』


『あらあら』


『馬鹿じゃないの!?』


『……』 『……』 『……』 『……』



 レティセンスガールズにまで土下座してしまった。



「という訳で。今日の活動は終了!!」



 待機部の部室で、俺達は跪いていた。



「……クスクス」



 本子が笑っていた、少しは許して貰えた様だ。

 ケー子もルビ子も同じで、手を軽く振って先に帰っていった。



「ボクも今日は帰りますね」


「すまんな」



 鶴井は会釈をすると、部室を出て行った。

 割と良い奴だと思う。


 見た目も可愛いしな!!


 鶴井とはまた後日、土下座周りをする約束をした。

 後に残ったのは、本子と彼女に抱き着いたままのゲム子だった。



「うん。二人はまだ帰らないのか?」


「……」



 本子はゲム子を見て、困ったような笑みを見せた。



「さっきからずっと本子に抱き着いてるなぁ。まさか、生き別れの娘!?」


「……!?」



 本子がプクーっと膨れて怒った。

 どんな顔をしても可愛いなコイツ。



「ゲム子の機嫌が悪いって事で良いのか?」


「……コクコク」



 頷く声が聞こえる様だった。



「俺のせいなの?」


「……コクコク」



 確かに聞こえるんだけど!?



「何かやったっけかー」



 本子は少し思案して椅子を指さす。



「この椅子が? んー、あぁ先生が座ってた」


「……コクコク」


「俺が先生にした事って言えば……」



 ツッコミ?



「まさかツッコミのキレが悪くて!!?」


「……!!!」



 本子が『ふざけんな』って言っていた。



「待てよ、思い出す」



 そういやあの時……。



 ――――俺は葉月先生一筋ですよ!!



 何て事を言ったな。

 その後、冗談だって茶化すタイミングも無かった気がする。


 うーん、でもその発想だと……。



「ゲム子が俺に気があるみたいになるからなぁ」


「……!!?」


「そんな事ある訳ないしな」


「……!!!」


「でもゲム子に求婚した後だから、感じ悪いかもな」


「……!!?!?!」


「ん? どうした、本子?」



 本子は急にテンパっていた。



「とにかくすまん! 先生とも遊びなんだ!!」


「……!!!!?!?!?!」



 本子が顔を赤くして、フラフラしていた。



「……」



 ゲム子はのっそりと本子から離れると、こっちを見た。



「……ホント?」



 ゲム子が口を開く。


 彼女達が口を開くときは、とても大切な瞬間だ。

 だからその時だけは、茶化さない様にしようと思う。



「本当だ。あれは先生のチョロさを検証しているのだ」



 哀れな先生だった。

 心の中で謝っておこう。



「……フフッ」



 ゲム子が笑った。

 それだけで嬉しくなった。


 ゲム子は立ち上がるとホワイトボードに近づく。



「なんだ、なんだ?」



 見ていると小さな、小さな文字でそれを書いた。


 バーカ



「誰が馬鹿じゃい!?」


「……ヒヒッ」



 ゲム子は、はしゃぐ様に部室から飛び出していった。



「やれやれ。俺も帰るか。本子はまだ残るのか?」


「……」



 ショートした様に項垂れる本子。



「大丈夫かよ」



 近寄ってみると、バッと反応する本子。



「ど、どうした?」


「……狼、さん」


「は、はい?」



 本子は其れだけを言うと部室を飛び出していった。



「一体何が……」



 女心は本当に分からないな……。

 ミステリアス、それもまた女子力……?





 ◇





「一本踏んどく?」


「親踏みを日課にするのは止めなさい」



 妹に踏まれている親父。

 流石に居たたまれない。



「あぁ、其処効くー」



 マッサージだったの!?


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