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無口系女子達との騒々しい日常 レティセンス・ガールズ【21/8/4完結】  作者: 過去の憧憬
一章 レティセンスガールズとチャラくないチャラ男
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1-1-2 変な名前。

「それで、ここは何の部活なんすか?」


「言ってなかったか、待機部だよ」


「待機部?」


「他の部活の助っ人みたいな感じかな」


「へぇ、それは面白そうだ」



 漫画とかでありそう。



「ってのは表向きで、ウチの学校は部活全員参加だろ? でも部活入りたくないって奴が少なからず居るもんだ。そういうのを引き取ってる訳」


「なるほど、実質帰宅部ってことすね」


「簡単に言えば、な」



 体裁は保たれているってことか。

 緩いのか緩くないのか、分からない学校だな。



「ここで、1、2時間を潰したら帰って良いぞ」


「ういっす、まぁそうっすよね」


「……?」


「助っ人何てできそうな奴らに見えないし」


「……!」



 俺が煽るように言うと、4人の少女達がこちらを見た。

 何人か不服そうな顔をしている。



「やれやれ何も怖くねぇぞ! 喋らない時点で一方的に殴り放題だぜ!?」


「!!」 「!?」 「?!」 「??」



 誤解を招きそうな発言だった。


 本子とゲム子はこっちを見て怯えているし、ケー子は怒ったようだ。

 だが、ルービックさんのパズルをしていた女子だけは違う。


 ツインテールのお下げを、左右でくっ付けて遊んでいた。

 ルビ子(命名)は、眠たそうにそっぽ向いた。


 興味ぐらいは持ってほしい……。












「あまり虐めてくれるなよ。うら若き乙女達なんだから」


「勿論ですよ。先生を含めて皆お美しいので、緊張してしまいます」



 俺は邪悪な笑みを乙女達に振りまいた。

 本子とゲム子が再び抱き合って震えている、ちょっと尊い。



「お、お世辞言っても何も出ないからな!」



 そんな様子に気付かなかった先生は照れ臭そうに笑った。

 何か押しに弱そうな先生だな。



「私は用事があるからもう行くな」


「行ってきますのキスは?」


「!?」 「?!」


「や、止めろよ。皆居るから……」



 居なかったら良いのか!?


 先生は、はにかんだ笑みを見せると部室から出て行った。

 やっぱりチョロそうだ。



「よし! これで俺を止められる奴は、誰も居ないぜ!!」


「!!」 「!?」 「?!」 「??」



 乙女達がこっちに注目する。

 段々と、ヘイトを稼げてきたみたいだ。


 ケー子が拳を握り始める。

 やめてね!?



「俺は1時間もボーっと出来るほど器用じゃねぇんだよ」



 備え付けのホワイトボードに、文字を書いていく。

 まずは挨拶からだ。



「俺の名前な、宜しく!」



 惣藏詩位(そうぞうしい)という俺の名前だ。



「……ブフッ!?」



 ゲム子が急に噴き出した。



「ど、どうしたゲム子!?」


「……?!」



 ゲム子は、自分のあだ名にショックを受けていた。

 直ぐに正気を取り戻すと、本子に耳打ちする。



「ちょっと、喋れるじゃん」


「……ぼふっ!?」



 今度は本子が噴き出した。



「本子まで! 何がおかしいんだ!?」


「……!?」



 本子も自分のあだ名にショックを受けていた。


 二人は無言のまま笑い合う。

 ゲム子は相変わらず引きつった笑顔だったけど。



「まさか俺の名前が」



 変ってことか……?



「……」 「……」



 無言で見つめてくる二人に察する。

 だが、そんなことは認めたくはない。


 狼狽しているとゲム子が近づいてきた。



「どうしたゲム子?」


「……?!」



 あだ名に慣れていないようだった。

 ゲム子は、ホワイトボードに文字を書く。



「えっと……、騒々しい?」



 そして、俺の名前に向けて=を伸ばす。



「惣藏詩位=騒々しいってことか! うるさいわ!?」


「……くふふっ!!」



 今度はケー子が噴き出す、そして3人して笑い出した。



「人の名前を馬鹿にしてんじゃねー!?」



 だが、ルビ子以外の3人はクスクス笑っている。

 無口女子達でも、3人寄ればかしましいと言うのか!?







「ぐぬぬぅ……、こいつらぁ……」



 何とかして反撃したい、何でもいい。



「ムカつくからグループ名を付けてやる!」



 ヘンテコな名前を付けて馬鹿にしてやる!!

 この手を汚す覚悟だった。



「何々、英語で無口な奴はレティセンスと呼ぶのか」



 スマホで見た事を、一々声高に呟く。



「なら、レティセンスガールズだな。略してRGだ!」



 バンッとホワイトボードを叩いて発表する。



「どうだ!!」


「……」


「……」


「……」


「……」



 皆は『意外と悪くないな』って感じの顔をした後。

 手元に向き直った。



「な!? カッコ良すぎたか!?」



 当初の思惑は達成されていなかった。



「うん、俺の才能が発揮され過ぎたかも知れないな」



 しかし俺も、満更でもない感じで饒舌になる。



「どうも天才的で困るなぁ。困っちゃうなぁ」



 自惚れたいお年頃なのだ。

 するとゲム子が、ホワイトボードに文字を書きだした。


 ボケて



「進行中ですけど!?」


「……フフ」



 ぎこちなく笑うゲム子。

 落第を告げられていた。

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