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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第五章 僕の過去
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また同じクラスだねっ

 季節は春……、僕は今日二年生になった。

 新年が開けてから気づけばもう3ヶ月が経ち4月……。僕はこれと言って何か大きな変化があったという訳でもない。


「今年は少しだけ……期待してたんだけどな」


 僕は期待をしてた。何をって? 

 それは一年で一回女の子からチョコレートを貰えるバレンタインをさっ!!


 今回は奏さんや万丈がいるから貰えるかなって期待してたのにどちらもチョコレートをくれなかった。

 やばい、振り返るとなんだか泣けてきた……。


 桜が咲き誇る中僕は学校に向けて歩みを進める。

 なんだろう、学校が始まるのがこんなにも嬉しいと感じるのは。


 学校に着くと、学校入り口の上部分に垂れ幕が掛かっていた。

 そこに書かれていたのは『祝 新学期!!』という文字。


 小学中学とこの文字を見ても特に何も感じなかったけど、今年は違った。今は進級した喜びが身体に満ち溢れている。


 僕は学校に入ると体育館に向かう。そこで新クラスの内訳が記されているのでそれを見に行くためだ。


「お、集じゃねぇかっ」


 そう言って僕に抱きついてきたのは特徴的な銀髪を持つ万丈。


「全く……。もうクラスは見てきたの?」


 万丈は僕の問いかけに固まる。え、何その反応?


「いやその実はオレ……留年する事になったんだよ」


「は?」


 いやいや、聞いてないってっ!?


「出席日数がギリギリ足りてなかったんだ。まぁ留年したからって学校やめる気ねぇから心配すんなっ」


 そうか。

 でも同じクラスどころか同じ学年ですらないなんて……。少し寂しいな。


「ま、留年はオレだけじゃなく涼と紗季もなんだけどな」


 その言葉を聞いて僕は安心する。そうか、全く知らない人達の所に放り込まれる訳じゃないのか。


「去年は同じクラスじゃなかったから、クラス分けが楽しみだぜ」


 楽しそうに笑う万丈。


「じゃそろそろ行くからっ。また昼になっ!!」


 そう言って万丈が去っていく。

 僕は万丈の後ろ姿を眺める。もう今年はあまり会う機会も少ないかも知れないな。


「集君おはようっ」


「おはよう、黒崎」


 背後から声がして振り向くと、こちらへ駆け寄ってくる奏さんとその後をとぼとぼと付いている冴島さん。


「おはよう二人とも」


 僕達は軽く挨拶を済ましたあと体育館へと向かう。

 体育館に入ると奥の方で人溜まりが出来ていた。


「また皆同じクラスだといいね」


「それは無理だと思うよ……。万丈留年したみたいだから」


「そうなのっ!?」  


 目を丸くして奏さんが問いかけてくる。


「うん、僕も今日聞いたばかりだけど。赤城さん達も留年するみたい」


「そう……。それなら完全に孤立する訳じゃないのね」


 奏さんは安堵の溜息を吐く。


「二人とも、早く掲示板を見に行くわよ」


 僕と奏さんが話し込んでいる所を強引に打ち切らせるように冴島さんが言う。

 確かにこんな所で油売るくらいなら早く目的を済ませたほうが良い……んだけど、あの中に割って入る度胸は僕にはない。


「何してるの? 行くわよ」


 冴島さんの無機質な声に促され、仕方なく僕は行くことにする。

 そして掲示板をそこにいた沢山の人にもみくちゃにされながら確認する。2年4組の欄に僕の名前が書かれていた。


「集君っ、私達また同じクラスだねっ」


 笑顔で告げる奏さんの言葉に僕は再度掲示板に目を向ける。

 有った……。2年4組の欄に確かに山岸奏の文字が記されている。


「ちなみに私も同じだけどね」


 奏さんの奥から冴島さんがこちらへ近づきながら言う。

 そうか。天道と本城さんは……まぁ、どうせすぐ分かるだろうから良いか。


「集君、これから一年間宜しくねっ」


 これから新しいクラスを迎えての一年が始まる。

 だけど今までの学校生活とはだいぶ違う。


「うん、これから……一年間、宜しく」


 だって僕にはかけがえのない友達と同じクラスになれたのだから――。

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