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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第四章 確かに僕は
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少しは認めてあげるわ

 それから僕と冴島さんは神社へと戻った後、お互い口も聞かずに日にちが変わる。皆で新年開けましておめでとうございますと言い合った後、僕達はその祭の関係者同伴で帰路につく……まぁ、僕等高校生だからね。


 それからというもの冬休みは皆で会ったのは年末年始だけの2日間だけ。休み明けまで僕は家で過ごす。

 以前は一人で気楽だなとか思ってたけど、皆に会えないのが少し寂しいなと思っている。特に奏さんに会えないのが……。


 どうしてそんな事を思っているのか訳が分からないまま僕は冬休み明けの登校日を迎える。


 僕は美紗ねえの立ち上げた青春部について学校の廊下を歩きながら考える。

 青春部の活動は結局あの募金活動だけしかしていない。一体これからどんな活動をする事になるやら……。


「……おはよう」


「あぁおはよう……って」


 僕は驚いて声を掛けられた方へ顔を向ける。だってその声は僕がいつも聞き慣れてる無機質な声の持ち主……冴島凛だったのだから。


「……何よ。鳩が豆鉄砲食らったような顔をして」


 彼女の無表情な顔が少し顰めたものになる。……これは不機嫌って意味なのかな? 微妙すぎる変化で全く分からない。


「いやあの……、どうしたんですか急に?」


 僕は畏まった口調で尋ねる。


「あの後、奏と話したのよ……」


「奏さんと?」


 あの後って言うと……、家に帰ってからも話してたってことか。少し羨ましいな。というか、冬休みの間もずっと会っていたのではっ!?


「奏の気持ちを聞いて、納得できる所が多々あった……。それに奏を私の知ってる自分の思った事を相手に真正面から言う幼い頃の奏にしたのは黒崎……、貴方よ」


 悔しそうな顔を浮かべて冴島さんは言う。だけど、大晦日の時に見せた顔とは違っていた。悔しいけど認めざるを得ない……そういう空気が流れていた。


「でも僕は……」


 奏さんに何もしてあげれてない。どちらかといえば僕は彼女を傷付け泣かせてばかり。そんな僕が彼女を変えさせることなんて出来ないと思う。


「うるさいわね。私が認めているのだからそれで良いのよ」


 無機質な声で冴島さんはまくし立てる。さっきまで感情が伴った表情、声をしていたから急に無機質な声に変わって戸惑う。


「それに少しは考えてみたらどうなの?」


「……え、何を?」


 僕が問いかけると無表情の口角が少し持ち上がる。


「貴方がどれだけの人間に影響を与えているのか……をよ?」


 そう言い終えると彼女は僕の横を素通りしていく。


「……あ」と言って冴島さんは立ち止まると僕の方へと振り返る。


「奏の事を傷付けたり泣かしたりしたら許さないから」


 無表情でそう言い放つと彼女は再び振り返り、去っていく。


 彼女の後ろ姿を眺めながらさっきの言葉の意味を考える。

 僕が他人に影響を与えている? 冴島さんは何を言ってるんだろう……? 僕みたいな人間が他の人間に影響を与えられるとは思えない。何か彼女は誤解してるんじゃないか?


「うーん」


 僕が頭を抱え真剣に悩んでいると


「集・君っ」


「シュ〜ウッ」


 後ろから抱きつかれる……それも二人の女の子にだ。

 右腕に奏さんが抱きつき、左腕に万丈が抱きついている。二人とも、髪から良い香りがする。女の子ってこういう所がずるいよな〜って思いながら二人を交互に見た後、奏さんに視線が止まる。


『奏の事を傷付けたり泣かしたりしたら許さないから』


 あの言葉の意味もよく分からないけど、これからも奏さんの親友として大事にしていこうと心に誓った――。


 

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