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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第四章 確かに僕は
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どうしてここに?

 僕達は奏さんの家から徒歩10分……、とある神社に向かっていた。冴島神社という場所で毎年大晦日になると祭を開いているとの事。


 僕はその間奏さんから今の家族についての話を聞いた。さっきの男の人は呉島宗吾(くれしまそうご)……。


 僕はその名前を聞いて驚愕する。呉島といえば有名な財閥で新聞や雑誌なんかでも取り上げられている。そのトップである呉島宗吾は奏さんの父……、山岸壮二(やまぎしそうじ)の兄に当たるという話だ。


「じゃあ、奏さんのお父さんは婿養子なんだ」


「えぇ、馴れ初めとかは聞いてはいないんだけどね。いつも幸せそうにパパとママ……笑ってた」


 かつての思い出を愛おしんでいるのだろう。彼女の笑顔は朗らかだった。僕はその表情を見て悲しくなる。……僕と同じで大切だった人に会えないのだから。


「お、遅かったじゃねぇか?」


 目的地に着くとその場所にはいつもの面々がいた。


「皆も呼んでたの?」


 僕は奏さんを見る。彼女はニヤニヤしながら僕を見返す。


「そうだけど、なに〜? 私と二人っきりが良かったのかな?」


「……っ」

 

 奏さんの言葉に恥ずかしくなって僕は顔を俯かせる。


「ちょ、ちょっと……そこで黙られると、反応に困るんだけど」


 急に黙り込んだ僕に奏さんは照れているのか後半の言葉は尻すぼみになっていく。


「相変わらず仲が良いよね、二人共」


「そうだよね〜」


 その様子を見ていた天道と本城さんが茶々を入れる。その言葉に僕はさらに恥ずかしくなる。


「ちょっと〜っ、そういう茶々入れないでよっ。恥ずかしいんだからっ!!」


 僕は顔を上げて奏さんの顔を見る。彼女の顔は熟れたイチゴのように真っ赤だった。


「あはははっ……と、茶化すのはここまでにして今日の目的を果たすとしようか」


 ひとしきり笑った天道はその顔を真面目な物へと変える。


「そうそうっ、ここにオレ達集めて一体何をしようってんだ?」


 万丈が天道と奏さんを交互に見ながら問いかける。


「実はね……」


「奏っ!? ……と皆もどうしてここに?」


 声のした方へ目を向けると袴姿の冴島さんがいた。


「凛……貴方の手伝いをしに来たのよ」


 天道がその声に頷く。


「もう気づいてるかもだけど、この神社は凛の親が管理してるんだ」


 あぁやっぱり……。名前が一緒だって思ってたけど。というか、神社を管理してるってすごいな。


「今日は大晦日で毎年行われているお祭りが今日行われる。皆には其の手伝いをして欲しいの」


 奏さんが僕達を見回しながら言う。わ


「なんだ、そんなことかっ……オレは構わないぜ」


「敦から聞いてたからね〜。わたしも手伝う〜」


 どうやら僕以外の全員は手伝う事に賛成らしい。


「……集君は?」


 僕の前に来て身を屈め上目遣いに聞いてくる奏さん。皆が賛成してる中、僕だけ反対できる訳がない。


「やるよ……としか言えないと思うけど。……っ」


 僕がそう言うと後ろから背中をバシンッと勢いよく叩かれる。


「全く……。素直じゃないんだからな」


 後ろを振り向くと天道が笑顔で立っていた。


「な、なんだよ。いきなり」


「ちょっとは素直になった方が良いと思うぞ」


「うるさいな〜」


 僕は不貞腐れた態度を取る。……全く美紗ねえかっての。その光景を見て冴島さん以外の全員が笑う。


「さて、話も纏まった事だし……。冴島、段取りを頼む」


「…………」


 天道が冴島さんを呼ぶけど彼女は上の空といった感じで奏さんを見つめている。


「……冴島?」


 天道に呼ばれて冴島さんはハッとした顔を浮かべた後いつもの無表情に変わる。


「えぇ、これから説明するわ」


 冴島さんの説明を受けた後僕達は二人一組の3グループに別れることになった。一つは出店の売り子……これは奏さんと万丈が務めることになった。奏さんはともかく万丈にそんな事出来るのかと不安に思って万丈に聞いてみたら


「任せとけよ集っ!!」とガッツポーズで答えてきた。……うーん、不安だ。


 そして、町内を歩き回っての宣伝活動。これは天道と本城さんが担当している。今二人は町内を歩き回ってビラを配っている筈だ。僕もその役が良かった……。


 最後に僕が担当しているのは……。


「ここ、片付けて」


 冴島さんが僕にもう使われていない飲食スペースの椅子やテーブルの撤去を命じてくる。……そう、僕と冴島さんの役割はこれからのイベントに備えての椅子やテーブル、邪魔な物の撤去作業だ。

 

 とはいえ、全部冴島さんが指示したのを僕が片付けている……ようするに僕は彼女の雑用係になっている。


 こんな調子で夜まで扱き使われるのか……。

 僕は祭りで賑わう人々を眺めながらふとそんな事を思う――。

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