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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第一章 モノクロの日々
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山岸さんに謝りに行こう

 あれから1週間……つまり、山岸奏さんが僕に初めて話しかけてきた時から2週間が経った。僕が山岸さんを泣かせたその次の日から彼女は僕に話しかけて来なくなった。 


 今日も彼女は朝に声も掛けてくることなく、1限が始まってしまった。僕は、窓から覗く今の僕の心境を表したかのような曇り空を眺め、思考を巡らす。


 ついにいつもの日常に戻れた訳だ……まぁ、この前以上に明確な敵意の籠もった視線が増えているんだけど。


 どうやら、山岸さんを泣かせてしまった件で僕は完璧にこのクラスの全員から敵と認識されてしまったらしい。

 相変わらず、金髪君こと天道君は僕の事を凄い形相で睨み付けてくる。今にも掴みかかってきそうだ……おぉ、怖っっ!!



 かと言って表立って何かをしようという事は一切なく僕を睨みつけるだけで、今の所はその程度で済んでいる。


 きっと先生達に見つかったり、チクられたりするのが怖いんだろうな。


 誰だって、自分が不利になるようなことはしたがらない。

 ましてや、僕に暴力や嫌がらせをしても百害あって一理なしというものだ。


 と、そんな事はどうでもいい。問題は……これから先僕がどうしたいかだ。これでようやく僕は誰とも関わらない、いつもの日常を取り戻した。


 それなのに、僕は1週間前から感じている心の靄が一向に晴れるどころか1週間前以上に深くなった感覚だ。


 原因はやはり、山岸さんの事なんだろうな……。


 いつも、話し掛けてくれた彼女……僕は心のどこかで嬉しいと感じてたんじゃないだろうか?


 僕は山岸さんの事を人に合わせてばかりの人と認識している。


 だけど、それは本当の彼女ではないんだろう。少なからず、僕に話しかけてる時の山岸さんは僕と仲良くしたいと思ってくれていたんじゃないか?


 だからこそあの時、彼女は泣いていたんじゃないのか? そこまで考えが回り、僕の中でとある決意が固まる。


 ――ちゃんと、山岸さんに謝ろう。


 また、山岸さんに話しかけてほしいとかじゃなく僕が悪いことをしたんだ……だから僕が謝るのが筋だろう。


 多分、この胸の靄はそういう事なんだと思う。彼女を泣かせたのに、謝りもせずにズルズルと今日まで過ごしてきたから。


 そこに許してほしいとか、そういう打算は存在しない。ただ僕がそうしたいからそうするのだ。


 そうと決まれば、今日の放課後――彼女、山岸さんに謝りに行こう。

続きが気になった方ブックマーク並びに感想ご指摘など宜しくお願いします^_^

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