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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第四章 確かに僕は
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一番分からないのは

 11月を終え、肌寒さがより一層増す12月を迎える。

 あぁ寒い、死んじゃうよ……。募金活動から僕は何故か山岸さんに避けられている。避けられていると言ってもただ拒絶されてる感じなんかじゃない。ならなんだ? と聞かれると答えられないけど。 


 具体的に言うなら山岸さんと目が合えば少し顔を赤らめながら彼女が目を逸らすし、話しかけようと近付けば慌てて離れていく……。頬を赤らめながら。ってやっぱり僕、嫌われているんじゃ?


 でも本当、どうしたんだろう? あの看病してくれた日から様子がおかしくなった。どうしてそうなったのか理由が全く分からない。……いや、違うな。一番分からないのは山岸さんが僕の事を避けていることに対して、相当ショックを受けている僕自身だ。


「本当、どうしたんだよ?」


 ここまで人の……、しかもたった一人の行動に振り回されるのは初めてだ。嫌われているんじゃないか? また元通りの関係に戻りたい……、山岸さんに出会う前の僕ならそんな事を思ったことすらないのにな。


 僕は自宅のベッドで寝そべりながら彼女……、山岸奏について考える。彼女だけが周りを否定してきていた僕をずっと受け入れようとしてきた。山岸さんはいつも僕の事を肯定してくれた。彼女だけだったんだ。今までそんな事を誰もしてくれなかった。


 多分、甘えてたんだろうな……。彼女が僕の事を避けることはない。嫌われる事なんかこの先ある訳ないって……。


 途端に心の中がざわつく。一人になりたくないっ!! 嫌われたくなんかないっ!! って。本当になんなんだろうな……。最近特に山岸さんの事が頭から離れない。彼女がどんな物が好きで嫌いか……。どんな過去を背負って、どんな思いを抱いて生きてきたのか、そんな事を僕は考えてしまう。


 友達とはいえそこまで踏み越えて良いものでもないし、逆に詮索して彼女に不快な思いをさせるかもしれない。なのに僕は、どうしようもなく……山岸奏という人間を知りたくなる。この思いは一体なんなんだろう?


 僕はそんな事を思いながらカレンダーへと目を向ける。今日は12月1日……。12月のイベントといえば、クリスマス、大晦日の2つだ。クリスマスというのは外国から来たという話は有名だけど、それがキリストから来たものだという事を僕は最近になって知った。


 僕は無言でカレンダーを眺める。クリスマス……か。いつもなら一人だから関係ないって開き直っていたけど、今年はいつも以上に寂しく感じる。今年はいつもとは違う物になるって勝手に期待してたんだ。思い返してみれば僕はいつだって自分から行動を起こす事が少なかった。特に他者に関しては……。


 自分とは関係ない……。そう決めつけて。そう思っていた僕が気付けば人の為に何かをしたいってそう思えるようになった。それは多分……。今ある場所が僕にとって居心地が良い物だからだ。


 いつも気楽に話し掛けてくれる万丈。ボチ崎と言って僕の事をからかってくるけど、ちゃんと僕の事を以前より見てくれるようになった本城さん。少しウザいとは感じるけど、僕と違って沢山の物を持ってて内心では少し羨ましいと感じている存在の天道。冴島さんはまだそんなに関わってないからなんとも言えないけど、彼女とも出来たら仲良くしたいって思う。


 僕はベッドから身体を起こして窓から覗く景色を眺める。外ではシトシトと雪が降っていて雪が5センチほど積もっていた。その雪を眺めながら僕は一つ決意する。


「よしっ、明日は頑張るぞっ!!」


 僕はシトシトと振り続ける雪を眺めながら明日に向けて自分を口に出して鼓舞するのであった――。

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