とてつもない罪悪感
結局僕は、家に帰る気も起きず……かと言ってあんな事があった後に授業を受ける気にもなれず、僕は……屋上に来ていた。
何か気まずい事があった時、校内で向かう場所は2つ。
一つは、美紗ねえのいる保健室……何か悩んだり、元気付けて欲しいときによく向かう。そういう時には家族の有難みというのを痛いほど感じる。
そして2つ目は、今僕がいる屋上……すごい気分が落ち込んで、一人になりたいって思った時によく利用する場所だ。
僕は、地面に仰向けに寝転がって青空を眺めながら泣き顔を見せた山岸さんの事を思う。
あれは確かにやり過ぎだったな……と思う。いくら一人になるためとはいえ、山岸さんにあそこまで言う必要は無かったはずだ。
ならなんで……僕はあそこまで言ってしまったんだ?
考えても分からない……。いつもの僕ならあんな事思っても言わないはずなのに……。
なんて……そんな事を考えても無駄か……。
僕は彼女に向けて、酷いことを言った……。あそこまで言われてしまったら流石の山岸さんでも僕にすごい嫌悪感を抱くはずだ。
なら、それで良い……その筈なのに
「ならなんで……こんなに胸が痛いんだよっ!?」
僕は空に向かって叫ぶ。その叫び声は誰にも届くことなく空に吸い込まれ消えていく。そして僕は目を瞑り、次第に意識が徐々に薄れ眠りへと落ちていく。
目を開けると、そこには青空が広がっていた……。そうか、僕はあれから寝てしまったのか……。
東にあった太陽が南方面に動いている……。結構な時間寝ていたようだ。
これからどうしよう? 教室……行きたくない。家……帰りたくない。何もする気力が沸かない……こんな状態、初めてだ。
僕は体育座りをして顔を足と足の間に埋める。ずっと、一人でいたい……。誰とも関わりたくない。気付けば僕の心の中はそんな言葉で黒く染まりつつあった。
昔から、誰にも必要とされなかった……。注目もされなかったし、僕も目立たないように努めていた。
それなのに、彼女……山岸奏さんは。
『……おはよっ』
いつも笑顔で挨拶をしてくれた。昨日まで挨拶を返しもしなかったのにっ!!
今考えるとあの笑顔は……友人に向けるそれとは違う種類のものだった。
上手く言えないが、ただの作り物とは違う……感情が籠められた物だ。しかもそれは、プラスではなくマイナスの感情ではないだろうか?
結局その日……僕は、そのまま帰ることにした。カバンなどは教室に置きっぱなしだが、財布やケータイなどといった貴重品は全て手元にあるので、そのまま学校に置いていくことにした。
その日僕が心に抱いたのは、とてつもない罪悪感だった――。
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