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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第二章 銀狼と呼ばれた少女
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下の名前で呼んでいい、かな?

◆◆◆◆◆ 

 それから3週間後、今日から黒崎君が学校に復帰する。この時をどれだけ待ちわびたことか……早く彼に会いたい。そう思って朝からずっと待っているのに――向に黒崎君が現れない。


「本当に、来るのかしら?」

 もしかしたらもうこのまま黒崎君は来ないかもしれない、なんて不安が頭を過る。


「寝坊でもしてんじゃねぇか?」

 などと皐月は呑気に言う。結局朝に黒崎君は現れなかった……。寂しい、黒崎くんに今日は会えると思って楽しい気分だったのに。1限が終わって休憩時間に入ってから彼が姿を表す。天道君が黒崎くんに近づいてなにか言っている。敵意は感じないけど、何を言ってるんだろう。

 ……まさかっ、私が黒崎君のことを好きだって事話してないっ!? まだ黒崎君に私が好きだって事は話してない。皐月や凛にも私が黒崎君のことを好きだって事は本人に言わないでと伝えている。


 今の黒崎君は多分……私の事を意識してない。だから、きちんと私の事を好きになってもらった上で告白したい……。欲を言えば、黒崎くんの方から告白されたい、けど。


 でもすぐに天道くんは、黒崎君から離れていく。そして、私の方に顔を向ける。私は慌てて顔を前に向ける……。ちょっと、前までこんな事なかったのに。


 クラスの全員に黒崎君を好きだと言ったせいなのか、今まで以上に彼のことを意識してしまう。顔を見られそうになるだけでも恥ずかしいって……自分でも呆れてしまう。


 結局、午前中は話せなくてお昼ご飯の時間を告げるチャイムが鳴り響く。それと同時に私は席を立ち上がり教室をあとにする。


 向かった場所は、屋上。そこで私はお弁当を広げる。3週間……一人じゃなかったとはいえ、こうして一人で食べる事がある。凛も皐月も友達が私だけという訳じゃない……だから、たまにこうして一人屋上で食べることがある。


 ――でも、今日は一人じゃない……彼、黒崎集が私の傍にいてくれるのだから。


◆◆◆◆◆


「……そうだったのか」


 この3週間のことを聞き、安堵したのか今まで硬かった表情を崩す。

 当然だけど、私がクラスの皆に黒崎君が好きだと伝えた事は話してない。そんな事伝えたら……恥ずかしくて、死んじゃう。


「けど、どうして……僕を守るような真似を?」

 黒崎君は不思議そうな顔で問う。黒崎くんには大体すべてを伝えている。少し変えたところは、黒崎君を庇った理由だけ……。


「当たり前でしょっ……私にとって一番の……大切な――親友なんだからっ」


 私はこれ以上ないほど緊張していた。好きと直接伝えてなくても、大切というワードを口にするだけで、心臓がドクンと脈打つ。でも自分で親友と言ったからには、個人的に変えていかなくちゃならない事がある。


 私は、視線を自身の足元に向ける……恥ずかしい、でも。私は、意を決してキッと下げていた視線を上にあげる……。黒崎君と視線がカチリと合う。


「……あのねっ」 

 震える声をなんとか抑えて私は、言葉を紡ぐ。


「……下の名前で呼んでいい、かな?」 

 私は、下で両手を互いに軽く握りしめ合うように組んで言った。

 ……恥ずかしさから目を伏せる。きっと彼の方が私より背が低いから私の真っ赤に染まった顔は見えていることだろう。多分、黒崎君から見たら私……モジモジしながら言ってるんだろうな。


 だって、しょうがないじゃない。こうしてる今も凄い恥ずかしいもん……って、いつまで黙ってるつもりなの黒崎くんっ!?

 下に向けた目線を再び黒崎君の顔へと向けた……すると


「えっ?」

 そこには、私に負けずとも劣らないくらいに顔を真っ赤に染めている黒崎君。黒崎君は慌てた様子で顔を両手で隠し


「ごめん、見ないでっ」

 と消え入りそうな程、か細い声で伝えてくる。


 カワイイ、私はその仕草を見て素直にそう思ってしまう。いつもの彼は、冷静で自分から笑うことは殆どない……そんな彼が顔を赤らめて恥ずかしがっている。

 私は、彼が覆い隠してる手を何とか外し、黒崎くんの頬に手を添え恥ずかしさで震える声を抑えながら


「まだ、答え貰ってない……下の名前で呼んでいい?」 

 と再度私は尋ねる。


「な、なんで」 

 と彼は戸惑った様子で答える。


「親友なんだから、下の名前で呼んだって、おかしくないでしょ?」


 私は、満面の笑みで答える……。本当は、皐月が下の名前で読んでたのが羨ましかっただけなんだけど。そんな事、言える訳ないし言ってやらない。


「……それで」 


 と私は彼より下になるよう少し膝を曲げる。下から見上げる黒崎君は、恥ずかしさで顔が真っ赤に染まっているうえで、その熱から来るのか顔を、とろんと蕩けさせているように見えた。


 ヤバいと思った。これ、私男だったらキスしてるなと素直に思う。

暫く彼を見上げる姿勢でいると、黒崎君はゆっくりと首を縦に降る。

 もう少し、イジメて楽しみたいと思ったけどこれ以上やって彼を怒らせるのも本望じゃないから止めることにした。


 唇が緊張で乾く。たった3文字なのに……私、こんなにピュアだったっけ?


「これからも、宜しくね――しゅ、集……君」

 ワァ〜〜っ、なんで私呼び捨てが恥ずかしいからって君付けに逃げちゃうかなっ!!

 私は恥ずかしい気持ちを抑えながら


「じゃあ、今度は……しゅ、集君の番」 

 私は、集君の両肩に左右の手を乗っける。


「えっ」

 と上擦った声を集君が上げる……かわいい。


「だから、私の事……奏って、呼んで?」 

 そう上目遣いに告げたら集君はさっきより、顔を赤く染めて―――


「ごめん――それは無理っ」 

 と言って彼は、彼の細い腕からは想像も出来ないくらい強い力で私の手を振り解き、屋上から走って去っていく。

 あ~、逃げちゃった。今のは、恥ずかしくて逃げたのであって私を拒絶した訳じゃない……多分。


 青空を眺めながら私は、焦ることはないと自分に言い聞かす。時間はたっぷり有る。少しずつ……少しずつ集君との距離を縮めていけばいいのだから――。

続きが気になった方ブックマーク並びに感想ご指摘など宜しくお願いします^_^

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