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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第七章 オレの王子様なんだって
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集と一緒で良かった

「ば、万丈……待って!?」


 僕は先をすごい勢いで走っている万丈を必死に追いかけていた。


「幽霊出た幽霊出た幽霊出たーーーっっっ!!!」


 なんか軽い錯乱状態入ってるんだけど。


「落ち着けよ、万丈っ!!」


 僕はそう呼びかけるけど万丈は止まらない。

 暫くすると僕達は森林を抜け海辺へと出ていた。


「はぁはぁ……」


 ようやく足を止めその場にへたり込む万丈。

 僕は万丈の元へ行き肩を軽く叩いてやる。


「ここまで来たんだ。もう大丈夫だって思うよ」


 僕がそう言うと万丈は濡れた瞳を僕に向ける。


「そうか。集と一緒で良かった」


「……っ」


 上目遣いで見られると困るんだけど。なんだ今日の万丈? やけに女の子っぽい。というか女の子なんだけども。


「まぁとりあえずここまで来ればもう……」


「いやはやようやく追いつきましたよ」


 僕は固まる。そして声のした方へゆっくりと振り返ると


「ぎゃあーーーっっっ!!!」


 血塗れの男がそこにいた。

 僕は即座にへたり込んでいる万丈の元へ行く。


「やばいやばいやばいやばいっ」


 万丈は一生懸命に首を左右に振りながら同じ言葉を連呼する。


「……あの、どうしてそんなに驚かれてるんです?」


 血塗れの男がキョトンとした顔で問いかけてくる。


「そうなるでしょっ!! だって貴方、身体中血塗れなんだからさっ!!」


「あぁなるほど」


 なんか納得いったみたいな顔を浮かべてるけどどうしよう?

 とてもじゃないけど万丈連れて逃げれるほどの体力僕にはないからな……。


「集、どうしたっ!!」


 奥から天道と本城さんが現れる。そして2人は目の前の男を見て驚愕の表情を浮かべる。


「亜希子っ、警察に電話だ。早くっ!!」


「了解っ!!」


 2人の様子を見て慌てふためく男。


「えっ……ちょっと待ってくれっ!! 俺はここの管理人だっ。だから――」


「白々しい嘘言ってんなよ。ならその血はなんだよっ!!」


「これは牛の血抜きをしてて」


 男がなんの迷いもなく答える。でも天道は首を横に振る。


「信じられないな。続きは取調室で話す事だな」


 天道に向かって男は両手を合わせ拝む。


「頼むよっ。信じてくれって……なんだったら、奏お嬢様に確認してくれ」


 奏お嬢様?

 もしかしてこの人本当にこの別荘の管理人なのか?

 僕は警察に事情を説明している本城さんのスマホを奪う。


「あ~すいません。なんか勘違いみたいです」


 僕が電話の相手にそう答えると、相手がクドクドと文句を言ってくる。僕は何度も相手に見える訳でもないのに、謝罪の言葉と同時に頭を下げる。ようやく、警察の説教が終わったと同時に


「ま、的場さんっ!?」


 肝試しを無事に終わらせてきた山岸さん達がこの場に現れる。


「奏さん。この人……知り合い?」


 僕の言葉に山岸さんは頷く。


「うん。この別荘の管理人をしている人なの」


「その様子だとまた、自分の飼ってる牛を解体してたようね」


 冴島さんの無機質な声に的場と呼ばれた男が頷く。


「乳の出も悪くなったし、今なら食べ頃で売れるからさ」


 満足そうに言う男。すると奥から


「み、皆。どうしたの……きゃっ」


 木下さんと蓮君が現れる。そして血塗れの的場を見て木下さんが悲鳴を上げる。


「なに、この人?」


 訝しむ蓮君。まぁ当然の反応だよな。


「はぁ。一度別荘に戻るわよ。……的場さんも別荘に着いたらシャワーでも浴びて身体を綺麗にして来てください」


 こうして僕達は別荘に的場という男を連れて戻る事になった――。

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