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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第七章 オレの王子様なんだって
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感謝してるよ

「はぁ〜、集君と一緒が良かったな」


 山岸が惜しげもなくそう呟く。


「奏、少しは本音隠した方がいいわよ」


 冴島がいつもの無機質な声で山岸を咎める。


「嘘っ……私、声に出してた?」


 信じられないという態度で口に手を当てる山岸。


「えぇ、普通に聞こえるレベルで。そうよね東堂?」


「そこで俺に振るな……。それとナチュラルに呼び捨てで呼んでんじゃねぇ」


 俺は冴島に睨みを効かせながら言う。

 コイツ、俺の事怖くねえのか?


「別に咎められる理由はないと思うのだけど。今頃皐月達はどの辺りかしら?」


 冴島の言葉にビクッと反応する山岸。コイツ鬼だな。


「あ~、集君」

 

 そう言って山岸は頭を抱えて項垂れる。


「そろそろ目障りだから落ち込むのやめろやっ!!」


 たくっ、これだから女ってのは面倒なんだ。


「東堂の言う通りよ。それにそんなに落ち込むならクジになんかしなければ良かったじゃない?」


 確かにその通りだ。そうすれば、山岸が大好きな集と一緒になれただろうに。


「そんな事をしなくてもいいかなって思ってたのよ……けど」


「皐月の言った事を気にしてるの?」


 冴島の言葉に山岸が頷く。


「なんだよ。その言葉って?」


「この別荘にいる間に告白するって話よ」


「ハアッ!?」


 冴島……お前今サラッとすげえ事言いやがったな。


「……マジ?」


「マジよ」


 そうか。というか万丈、集の事が好きだったんだな。


「……はぁ」


「今度は貴方が気落ちする番なのね」

 

 やれやれといった具合に言う冴島。

 確かに……。俺は何を気落ちしてるんだ? 自分には関係ない事のはずなのに。


「東堂君は皐月の事好きなんだね」


「おい山岸……突然何を言う」


 俺が万丈を? どこをどう見たらそうなるってんだよ。


「ずっと一緒に居たいとか思ったりしない?」


「しねえな」


 俺は山岸の問いかけに即答する。一緒に居たいとは思わねえ。けど毎日気にはしてる。それが異性としての興味なのか、それともあの事件の贖罪の意識からなのかは分からない。


「私はいつも集君と一緒に居たいなって思ってるよ」


「そんなの口に出さなくても分かるっての」


「そうね。奏はいつも黒崎にベッタリなのだから」


 そう。山岸はいつも集と一緒にいる事が多い。

 そして誰よりも集の事を気にかけている。だからこそ集は腐らずにいれたんだろうな。山岸が集の闇の部分を消し去ってくれた。集にとって山岸は()のような存在なんだって思う。


「さっさと告白して付き合っちまえばいいのに」


 お前ら2人ならどっかが告白すれば即座に付き合える。俺はそう思って気安く言ったら、山岸の表情が暗くなる。


「それは……出来ない」


「出来ないって……」


 なんだよそれ? いざ告白になると怖くて出来ないってやつか?


「奏には好きな人が出来たとしても付き合う、ましてや告白すらも出来ない理由があるの」


 冴島の言葉を聞いて俺は固まる。言ってる意味がよく分からねえ。


「つまり、どういう事だ?」


「ごめんなさい。東堂、これ以上は私と奏からは言うことは出来ないわ」


 なんだよそれ? 


「アイツ……集は、この事知ってんのか?」


「何も伝えてないよ」


 悲しげな表情を浮かべながら山岸が答える。その声は震えていた。


「そうか。今の集があるのはアンタのおかげだって思ってる。それについては感謝してるよ。まぁ、色々有るんだろうからもうこれ以上は追求しねえよ」


 俺はそう言うと、無言で森林の中を歩く。

 やれやれ。集……お前もしかしたら、とんでもない道を歩もうとしてんじゃないか?

 俺は親友の事を気にかけながら祠に向けて進むのだった――。

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