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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第七章 オレの王子様なんだって
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しょうがないな〜

 それからはあっという間に4日間が過ぎ5日目になった。この4日間の間僕達はただひたすらに遊んだ。

 時には広大な海にダイブして泳ぎまくり、時にはスイカ割りなどをし、時にはビーチバレー……と色んな事をした。


「う、海が怖い……」


 若干1名命の危険に昨日晒されたけど。


「まだ怖がってるのか天道?」


「当たり前だっ。死ぬかと思ったんだぞこっちはっ!!」


 血相変えて僕に訴える天道。

 昨日天道は深瀬で足が攣って溺れかけた。近くにいた監視員が見かけてくれたから、大事には至らなかったけど。それがトラウマになったのか別荘から一歩も外に出ようとせず、こうして大広間で椅子に腰掛けたまま一向に動こうとしない。


「あぁ〜やっぱり〜」


 声のした方へ目を向けるとこちらに歩み寄ってくる本城さん。


「敦は怖い事があるとすぐに塞ぎ込んじゃうんだよね〜、しょうがないな〜もうっ」


 そう言って天道の前に立つと本城さんは彼の頬を指で優しく突く。


「良いからっ。山岸達の所に行ってこいよ」


 恥ずかしさを誤魔化す為かぶっきらぼうに天道は本城さんに言い放つ。


「全く……、そういう所も好きだよ。敦〜っ!!」


 そう言うと本城さんは、天道に暫く抱きしめた後外へ出ていく。


「……集は行かないのか?」


 不貞腐れた表情で僕を見る天道。


「そうだね。僕は今日はゆっくり家に居ようかな? どうせ夜は肝試しをする事になるんだしさ」


 それに正直この場所は海しかないから、そろそろ飽きてきたっていうのが本音だ。


「そうか。クジ引きでペア決めるんだったな……。亜希子と一緒になれますようにっ」


 必死な顔で両手をパンッと打ち付け合掌する天道。

そうしてしまう程に天道は本城さんの事が好き、なんだよな。なんか……。


「羨ましいな」


「え?」


 天道が呆けた顔で僕を見る。

 ああっ、また僕思った事口に出しちゃった!?


「羨ましいって……はーなるほどな。そうかそうかっ集、お前にもようやく好きな人が出来たのかっ!?」


 そう言いながら天道は僕の背中を何度も思い切り叩いてくる。正直痛いから止めてほしい。


「なんでそうなるんだよっ。それに好きな人なんていないよ」


「え〜、気になる人とかいないのか? お前の事を好きだと思ってる人、近くにいると思うけどな?」


 天道はニッコリと微笑む。……なんだよその笑みは。モテない僕を嘲笑ってんのか?


「まぁそれでも、集の事が好きな人は直接想いを伝えたりはしないだろうけどな」


 僕はその言葉に首を傾げる。さっきから天道は何を言っているんだ? まるで……。


「まるで僕の事を好きな人が誰か知ってるみたいな口振りだな」


 その言葉にまたしても笑う天道。


「知ってるぜ。聞きたいか?」


 僕はその言葉に一瞬固まるけどすぐに首を横に振る。


「必要ない。それに少なくとも1人は知ってるから」


「それ本当かよっ!?」


 僕の言葉に大きく目を見開きながら言う天道。

 僕は言ってしまった事に酷く後悔する。でも渡辺さんに万丈が好きだという事を教えてもらってから、未だになんの進展もない。それどころか……。


「好きって……なんなんだろうな?」


 これまで僕は人に恋愛感情を抱いた事がない。だから万丈が僕の事を好きだと聞いて戸惑いはしたけど、それ以上に何も感じなかった。


「それはあれだよ。もっと一緒に居たいとか、この人を守りたいってそう思える人なんじゃないか?」


 うーん、そうなんだろうか? イマイチピンと来ない。


「それか、特定の人の前で胸がギュッて締め付けられたら……。それはもう恋だと思うぜ?」


 天道はそう言って立ち上がると2階に続く階段へ歩みを進める。


「ま、お前には色々期待してるぜ?」


「期待? それどういう意味だよ?」


 天道はその言葉に微笑むと


「その時が来たら分かるさ。じゃ俺、夜まで寝てるわ」


 そう言って天道は自室へと姿を消した。


「なんだよそれ……」


 僕は天道の自室の扉を暫く眺め続けた――。

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