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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第七章 オレの王子様なんだって
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夏って最高だなっ

「海だ〜〜〜っっっ!!!」


 歩がそう叫ぶとズボンをいきなり脱ぎ出す。

 スボンの下は青と黒の縞模様の海パン……、サーフェスだった。それならその上にズボンを履く意味がなかったんじゃ。


「にしても歩……海が好きだったんだな」


 幼い頃そんな素振り一回も見せた事がない。まぁ小学一年生で離ればなれになったのだから知る由もなかったんだけど。


「……お待たせ」


 奏さんの恥じらう声が聞こえて後ろを振り向き僕は言葉を失う。目の前にいる奏さんがビキニ姿だっからだ。

 上衣と下衣の間から見える純白の引き締まったお腹。細いけど適度に肉付きの良い足。胸は大きくはないけど、それさえも奏さんの美しさにアクセントを与えている。


「どう、かな?」


 モジモジしながら僕を見てくる奏さん。僕はそんな彼女から目を逸らす。


「ま、まぁ……良いんじゃない?」


 すいません。こうやって言ってるけど凄い可愛いなって思ってます、ハイ。


「夏って最高だなっ集っ!!」


 僕の背中を思い切り叩きつけながら笑顔で言う天道。


「なにが最高なんだよ?」


「言わなくても分かってるくせに〜?」


 凄くウザい。

 でも言いたい事が分かってるだけに言い返せない。絶賛僕がその最高を味わっているから。


「敦〜、それって奏達の事そういう目で見てるの〜?」


 声のした方へ目を向けるとパレオ姿の本城さんがいた。

 スカートの間からチラチラ見える足が何故か艶かしく見えて僕は慌ててそこから目を逸らす。


「そんな訳ないだろ? 俺がいつも思ってるのは……亜希子だけだよ」


 そう言って本城さんの元まで行って彼女の髪に触れる天道。

 本城さんはそんな天道に顔を赤らめる。


「まぁ〜、それなら良いんだけど〜っ」

 

 僕はそんな2人を見て心の中で『ごちそうさまでした』と呟き2人から離れる。砂浜の方に移ると目の前で砂遊びをしているとある2人を見つける。


「何してるの……木下さん、蓮君?」


 僕が話し掛けるとニッコリと微笑む木下さん。対する蓮君は恥ずかしいのか気まずそうに顔を伏せる。

 木下さんの水着姿はワイヤー入りという物で、背中や脇などが見えないタイプ。しかも胸の形などが綺麗に整えられている。……因みに天道と僕、蓮君の3人は水陸両用のサーフパンツを履いている。


「その……、砂のお城を作ろうと」


 なるほど、砂のお城か……。その遊びにまさか蓮君も付き合うとは。


「俺も……やりたかったんだ」


 分かってるよ。砂遊びをじゃなくて木下さんと一緒に痛かったんだよね?


「な、なに笑ってんだよ?」


 ジト目で僕を睨みつけてくる蓮君。頬だけじゃなく耳まで赤く染めている。


「なんでもないよ。2人とも砂のお城、頑張ってね」


 僕はそう言うと奥の海の方へと進んでいく。


「くっ」


「今の止めるとか……凛、やるじゃねぇかっ」


 浅瀬で楽しそうにビーチバレーをしている2人の姿が見えた。


「万丈と冴島さん……白熱してるな」


 試合でもないのにピリピリした感じがここまで伝わってくるんだけど。もっと友達同士のビーチバレーはほんわかしたイメージなんじゃ。


「それにしても」


 僕は2人の水着姿を眺める。

 万丈は上が黒地に水色の水玉模様、下に水色のパンツのビスチェと呼ばれる水着を着ている。対する冴島さんは片側の肩を出すワンショルダービキニを着ている。

 2人とも胸がそれなりにあるので2人がアクションを起こす度に胸が……と、流石に女の子の胸をずっと見てるのも良くないな。僕は視線を無理矢理外して後ろを振り向くと……。


「集君のエッチっ!!」


 その言葉と同時に僕はヘッドロックを奏さんにされる。


「か、奏さんっちょっギブギブっ!!」


 首に回された奏さんの腕を叩く。


「集君も……やっぱり胸の大きい人が良いんだっ!!」


 力が弱まるどころか逆に強くなってるんですけどっ!!


「か、かなで、さん……。これ、いじょ、うは」


 僕はやっとの思いで言葉を発するけど次第に意識が薄れ、僕は闇の中へ落ちていった――。

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