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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第六章 これから変われるよ
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木下さんは

「おはよう」


 僕が入院してから1週間後僕は退院して晴れて再び学校に登校する。


「集っ!!」


 天道が僕に抱きついてくる。


「いや何しれっと抱きつこうとしてるんだよ? キモイキモイキモイキモイ普通に無理」


「1週間ぶりの集のその冷たさ……イイね」


 天道、お前実はすごい変態で馬鹿なんじゃ?


「敦キモキモだよ〜っ?」


 本城さんが天道を見て素直に感想を述べる。

 良かった。どうやら天道の彼女である本城さんはまともな感性を持ってるらしい。

 

「ボチ崎も変態だから……。類は友を呼ぶってやつ〜?」


 首を可愛らしく傾げながら彼女は言う。

 訂正しよう……。彼氏も彼氏なら彼女も彼女でまともじゃない。


「ふぅ良かったわ。これでいつも通りの奏に戻るわね」


 冴島さんが疲れ切った目で呟く。


「ん……いつも通りじゃなかったの?」


 この1週間見舞いに来てる時は普通そうに見えたけど。


「えぇ普通じゃなかったわ。黒崎がいない間、奏はずっと家で鶴を折り続けていたのだから」

 

 ……は、鶴を?

 僕は奏さんに目を向ける。すると彼女は頬を微かに朱に染めながら


「だって……少しでも早く元気になって欲しくて」


「だからって千羽鶴を10セット……計1万羽を折った時は流石に引いたわ」


「1万羽っ!!」


 僕はその数に驚く。

 いや普通に引くレベルなんだけど。


「でもそのお陰で1ヶ月で済んだと思わない?」


 ニッコリと微笑む奏さんの顔を見てなにも言えなくなる。


「甘やかしちゃだめよ。こんな事じゃ貴方、奏の尻に敷かれるわよ」


「なっ」


 尻っ、尻に敷かれるって……。別に僕達は付き合ってる訳でも、ましてや結婚してる訳でもないのに。


「私の尻に敷かれる集君……良いかもしれないっ」

  

 え、ごめんなに言い出してんのこの人?

 そんな事を思いながら気になった事を聞く。


「そういえば木下さんは?」


 その言葉に奏さん達は顔を一斉に伏せる。


「え、どうしたの?」


 すごい……嫌な予感がする。


「集……。お前がいなくなってから木下さんは」


 言うのを躊躇っているのかゆっくりな口調で喋って途中で言い淀む天道。


「まさか……。櫻井さん達に虐められたのか?」


 その言葉に躊躇いながらも天道が頷く。

 奏さんに目を向けると辛そうな顔をしていた。


「……っ」


 僕はその場から走り出す。


「ちょっと集君っ!!」


 背後で奏さんが僕を呼ぶ声が聞こえた。でも僕はそれを無視して走り出す。行き先は()の元だ。


「……黒崎さん?」


 廊下を駆けていると目の前に僕と同じ目が死にかけているように見える蓮君。僕は彼の前に立ち止まると


「蓮君っ。早く木下さんの元へ行くよっ」


 僕はそう言って彼の手を取る。


「え、でもこれから授業……って黒崎さんっ!!」


 僕は蓮君の言葉を無視して走り出す。

 虐められて傷心しているであろう木下雫の元へ――。

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