表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第六章 これから変われるよ
132/179

無事で良かった

「……?」


 目を開けると白い天井が広がっていた。

 白い天井にはお玉杓子のような細長い点線が全体的に入っている。僕はこの天井を知っている。

 

「ここは……病院、か?」


 僕はそう言って身体を動かす。

 去年の時とは違って身体は言う事を聞いてくれた。

 僕は頭に手を持っていく。すると手に布のような感触が伝わる。


「誰かが救急車を呼んでくれたのか?」


 僕は周りに目を向ける。

 病室には今僕が座っているベッド。そしてそのベッドの横幅より長くて高いテーブル。少し離れた窓際の所にテレビとテレビ台が置かれている。テレビ台には引き出し、その下にチョコレートなどの冷凍食品を保存する冷凍庫がある。出入り口付近には箪笥があった。


 扉が開く音がした。

 そちらへ目を向けると美紗ねえだった。

 

「集ちゃんっ!!」


 美紗ねえは僕を見るなりそう言って駆け寄ってくる。

 そして僕を背中に手を回して抱きしめる。


「良かった……。バカッ!! 心配かけさせないでよっ!!」


 首に冷たいとも熱いとも感じられる感触が伝わる。

 僕は確認するまでもなく理解していた。これは美紗ねえの涙だと。

 昔からそうだった。僕になにかあれば美紗ねえはいつだって駆けつけてこうして泣き叫ぶ。それだけ僕が美紗ねえの中で大事ってことなんだと思う。


「ごめん……ごめんよ、美紗ねえ」


 喧嘩をしていた事などどちらも気にしていなかった。

 お互いの心の中ではお互いを気遣う事だけしか考えていない。


「それじゃあ先生に伝えてくるわね。外に()()()()()()()()()()いるから。その人入れるから礼を言いなさい」


 そう言って去っていく美紗ねえ。

 救急車を呼んでくれた人が廊下にいる? 僕はいったいどんな人が呼んでくれたのか想像を膨らませる。 


「え?」


 僕は入ってきた人物を見て驚きの声を上げる。

 それは奏さんだったからだ。


「な、なんで?」


 彼女の家は反対のはず……。


「友達とねあそこまで出てたの。そしたら集君や他の男3人が倒れてるじゃない」


 僕はその言葉を聞いてハッとなる。


「その3人はっ!?」


「今、去年会った皐月がお世話になってる渡辺さんに事情聴取を受けてるわ」


 渡辺さんに……そうか。

 僕は天井に目を向ける。少なくともこれで安全は確保されたんだ。


「でも、集君はいつもトラブルに巻き込まれるよね?」


 奏さんに目を向けると少し怒ったような顔をしている。

 

「僕が好きでトラブルに巻き込まれてる訳じゃないんだけど?」


 少なくとも奏さんに出会うまではトラブルに巻き込まれる事なんてなかった。


「でも自分から暴力振るったりとかしてトラブルを自分から起こすじゃない?」


「それはそうでもしなきゃ僕が死ぬから……正当防衛だよ」


 僕の言葉を聞いて呆れたような顔を浮かべる奏さん。


「少し耐えれば皐月や東堂君が助けてくれたわよ……多分」


 確かに。でもあの2人ならなんだかんだただ見守っていた可能性が高そう……。


「それでも大した事にならなくて良かった……。頭の方も後遺症になるような事はないって黒崎先生が言ってたし」


 目に涙を溜めながら言う奏さんに僕は申し訳ない気持ちになる。結局僕はいつも彼女を不安にさせてばかりだ。だから……


「ごめん奏さん。これからはもっと気を付けるよ」


 僕は気休めでしかないけどそう言う事しか出来なかった。


「ほんとによ、集君っ」


 満面の笑みで言う奏さんを見て出来るだけ心配を掛けないようにしようと僕は心に誓う――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ