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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第六章 これから変われるよ
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資格を失ったんだよ 上

川崎蓮の視点でお送りします。

◆◆◆◆


「蓮く〜んっ」


「……ぅあ?」


 俺は外から呼ぶ声に目を覚ます。

 眠たい目を擦りながら俺は聞こえてきた方向の窓を開ける。


「おはようっ蓮君っ!!」


 窓を開けるとツヤツヤとした長い黒髪をツインテールにしている俺の幼馴染の木下雫がいた。


「おはよう。でも今日学校じゃないよ」


「知ってる」


 ならなんで起こしたんだよ? 

 僕は目の前で楽しげに微笑む雫を眺める。

 生まれた時から家が隣同士で保井育園の頃はよくお互いの母親と4人で昼ご飯を食べに外食したりしていた。流石に小学校に上がってからはその機会は減ったけど。


「明日から中学校の入学式だねっ」


 ニコニコしながら告げる雫。

 そうなんだよな……。

 ついこの間、小学校の卒業を迎えた俺と雫。

 だけど明日には中学校へとまた通わなければならない。少し憂鬱な気分になる。


「学校……行きたくないな」


 俺の言葉に頬を膨らませる雫。


「あ〜っ、またそんな事言って。蓮ちゃん勉強したくないだけでしょっ!?」


 く〜〜〜っ。

 怒った顔の雫も可愛いなあ〜〜〜。

 俺は幼馴染である雫の事が好きだ。家族と雫どっちを選ぶと聞かれたら迷いなく雫と答えられる自信がある位に。


「そんな事ないよ」


「もう蓮ちゃんたら……。私も一緒に同じ学校通うんだから。頑張って通ってよ」


 潮らしい態度でクリクリとした愛らしいブラウンの瞳が俺を上目遣いに見つめてくる。

 潮らしい態度でもズルいのに上目遣いとか……。雫の奴俺をキュン死させる気かっ!?


「ま、まぁ……。雫と一緒なら頑張ってやるよ」    


「うんっ、昔から蓮ちゃん……。私と一緒なら頑張ってくれるもんねっ!!」


 騙されるな……。これは友達として今雫は言ってるだけで、俺の気持ちに気付いているとかそんな事は断じてないっ!!

 そう。雫は昔から抜けてる所があって本人に言ったら怒られるけど、かなりの天然だ。

 だから長年こんなに想っているけど、今日までバレずにいられるんだけど。そろそろ俺の気持ちに気付いたり、トキめいてくれないかなっ!! ……なんて希望抱いてもしょうがないか。


「どうしたの蓮ちゃん?」


 ずっと黙って見つめいてる俺をおかしく思ったのだろう雫は俺に問い掛ける。


「いや雫は超が付くほど天然だなって」


 言って俺はしまったっ!! と思ったが時既に遅く雫に目を向けると、ハムスターの頬袋のようにパンパンに頬を膨らませてジト目で睨んでいた。


「もう蓮ちゃんなんて知らないっ!!」


 そう言って雫は窓をバンッと音が立つほどに強く閉めご丁寧にカーテンまで閉めていった。

 やっちまった〜〜〜っっっ!!!  

 入学式を明日に控えた状態で雫怒らせるとか何やってんの俺っ!?

 これは2、3日口を聞いてくれないの覚悟しとこう……。


 翌日入学式の朝を迎えた俺は目が覚めるとすぐさま下に降りて食事と着替えを手早く済ませる。

 今日から中学生活……。

 どんな人間がいるのか、楽しみと同時に少し不安になる。

 もし変な奴が雫にちょっかい掛けたりしたらどうしよう?

 俺はそんな事を思いながら鞄を背負うと玄関に行く。


「じゃあ行ってきまーすっ」


 親にそう告げドアを開ける。すると目の前に制服姿の雫が門の前で待っていた。


「雫……なんで?」


 昨日怒らせちゃったから今日から数日間、口を聞いてくれないと思っていたのに。


「今日から中学生なんだから。そんな事で怒って口を聞かないとかそんな子供っぽい事出来ないわよ」


 なるほど。つまり大人ぶりたい訳ね。


「ちょっとっ!! 何ニヤニヤしてるのよっ!!」


「別に〜? さぁさっさと行こうっ」


 俺は笑いながら今日から通う中学への通学路につく。俺の後ろをトボトボと雫が付いてくる。

 この時の俺はこんな日々がずっと続くと思ってたんだ。あんな事が起きるまでは――。

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