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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第五章 僕の過去
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かつての面影

 僕達は木下さんを交えて授業が終わってからの休憩中に話し合った。


 彼女は消極的で引っ込み思案だけど気立てが良く、凄く落ち着いて話せた。


 午前中の授業が終わり昼ごはんの時間になる。


「集君、皐月の所へ向かおうよ」


 奏さんに言われて万丈の事を思い出す。

 そういえば、万丈と昼に会う約束をしていたっけ。


「そうだね。一年生の教室へ向かおうか?」


 そう言って、僕は廊下へ視線を向けるとヤケに人が騒がしい事に気が付く。


「ん?……なんかあったみたいだな」


 僕と同じように気付いた天道が告げる。

 廊下をバタバタと駆けて行く。

 その人達の表情は笑顔の者、緊張で顔が強張っている者……この二種類の表情を浮かべている。


「なにか厄介事でも起きたのかしら?」


 冴島さんの抑揚のない声が響き渡る。


「ちょっと行ってみるっ」


「ちょっ……集君っ!!」


 僕は呼び止める奏さんの言葉を無視し駆け出す。


「ボチ崎相変わらず〜っ」


 背後から本城さんの間の抜けた声が聞こえるけど気にしていられない。


 なんだろう? なんか嫌な予感がする。

 僕は廊下を駆けて行く生徒達の後を追う。


 生徒達はこの棟の屋上へと向かっているみたいだ。

 僕は彼等の後を追い屋上に辿り着くと


「……万丈っ!!」


 そこでは顔から血を滴らせ倒れている万丈がいた。


「ちっ……、みっともねえとこ見せちまったな」


 倒れた身体をなんとか立たせながら万丈は言う。


「あ~ァ、銀狼ってのも対して強くねえんだなっ」


 威勢のいい声と同時に万丈の顔を思い切り殴り飛ばす男の姿。万丈は再び地面に仰向けに倒れる。僕は万丈を殴った男の姿を見て驚く。


『さて、黒崎集君……まずゼロの中に赤髪で顔にヒョウ柄のタトゥーを入れた男はいなかったかな?』


 渡辺さんが言っていた言葉を思い出す。

 だって今目の前にいるのは渡辺さんの言っている人間と同じ特徴した人間だからだ。

 

 身長は万丈より10センチ近く高く、顔は女の子が好みそうなかっこいい顔立ちをしている。


 だが赤い髪に所々黒い毛先が見える事から髪を赤く染め、せっかくの女子受けのするかっこいい顔にヒョウのタトゥーが入っている。


「…………」


 僕は無言のまま男を見つめる。

 

『イヤだっ……なんで皆、イジメるんだよっ!?』


 幼い頃の記憶が蘇る。

 そしてその言葉を放った男の子の顔が今目の前にいる顔にヒョウのタトゥーが入っている男と似ていた。かつての面影が……そこにあった。


「そろそろ、終わりにするか?」


 そう言って男は万丈が横になってる近くに立つ。

 僕は嫌な予感がして駆け寄る。


「これで……終わりだぁっ!!」


 そう言って男はその場でジャンプして着地地点を万丈の聞き手である右手首に定めた。あれを食らったら万丈は一生言う事を聞いてくれない右手を抱えながら生きていく事になってしまう。


「やめろォッ!!」


 僕は走ってきた勢いそのままに男にタックルを食らわす。


「ッ……痛ぇなおいっ!!」


 僕の事を男が睨みつけてくる。そして胸倉を掴まれると


「ヌァッ!!」


 思い切り殴り飛ばされる。僕は殴られた衝撃に耐えきれず吹き飛んだ先で尻餅をつく。


「……集君っ!!」


「集っ!!」


「ボチ崎っ!!」


「黒崎っ!!」


「黒崎さんっ!!」


「……しゅ、うっ!!」


 現場に到着したのだろう奏さん達の僕を呼ぶ声と弱々しく僕の名を呼ぶ万丈の声が聞こえる。


「集? ……お前もしかして、黒崎集か?」


 男が苛立たしそうに問いかけてくる。

 その言葉で確信する。この人は……。


「だとして、どうだっていうんだよ」


「ハハハッ、笑えるな……。まさか()()()()()……()()()()に再開できるなんてなっ!!」


 そう言って、男は僕の元へ走ってくる。だが次の瞬間


「コラッ!! お前達何をやっているっ!!」


 教師が屋上へと入ってきた。


「ちっ……。この決着はまた今度にしようぜ? なぁバケモノ」


 そう言って去ろうとする男に


「ま、待てっ!?」


 僕は呼び止める。男は足を止めてこちらを見る。


「アンタは……、東堂歩とうどうあゆむ……なのか?」


 男は一瞬驚いたように目を見開いた後笑い出す。


「アハッ、まさか覚えてもらえてたとはなっ!!」


「なんでっ、なんで君が暴走族……ゼロの総長なんかやってるんだよっ!!」


 その言葉に倒れている万丈、見守っていた奏さん、赤城さん、雨宮さんが短い驚きの声を上げる。


「そんな事まで知ってるとはな……。でも俺がこうなっちまったのは、お前と周りの連中のせいだっ!!」


 僕は藤堂さんの言葉に胸を痛める。

 少なからず心当たりがあるからだ。


「まぁ良い……。おい銀狼っ!! 今日の所はこれでひとまず終わりだ」


 そう告げると藤堂さんは去っていく。


「……皐月っ!!」


「……姉御っ!!」


 雨宮さんと赤城さんが倒れている万丈に走り寄る。

 僕は去っていく藤堂の後ろ姿を眺める。

 まさかこんな所で再開できるなんてな。


 僕の唯一一人だけだった……()()()()()()である藤堂歩に――。

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