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これは過去のお話
あの日……。僕は人を信じる事をやめたんだ。
僕は幼かった頃の事を思い返す。それは暗くてとても苦い思い出だ。あの日あの時自分が選択して選び取った道は孤独だった。
孤独でいる事によってちっぽけな自分を保ち続けて来た。
僕はかつて通っていた高校を眺める。5年前から通い始めた頃と何も変わらない。
その高校を眺めて顔を綻ばせる……。だってここは大切な場所――。君と初めて出会った思い出の場所だから。
僕は隣にいる彼女に目を向ける。彼女は優しく微笑んでいる。僕も笑って返す。本当に今もそうだけど5年前の僕は君に出会って色んな事を経験して君との出会いを改めて振り返ってみて言うならこうだろう。
――僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める……と。
僕は5年前の高校一年生の時に思いを馳せる。そうこれは、僕自身のなんの捻りもないボッチだった僕の過去のお話――。




