出会い
小学生になった佐藤は不思議な出会いをします。
小学校での生活は新鮮なことばかりだった。いろんなことが不安だったが、それは周りの同級生も同じことで、もじもじしている子が多かった。そんな中でもしゅんたは大分元気で明るい方で積極的に発言していることが多くて、困っている子を助けたりしてリーダー敵存在になりつつあった。それに影響された周りの子たちもだんだんと馴染み始めて、教室に笑いが起こることが多くなっていた。そんなある日のことだった。次の授業が体育なので着替えようとすると、一人の男子がじろじろと顔をみてきた。どうしたのか、聞こうと思ったが、それよりも先に彼が僕の目を見ていることに気が付いた。僕はさっとそっぽうを向いた。
「やっぱ、お前、変な目だよな」
そんなことを言われるのは久しぶりだった。たくさんの人がそう思ってきてもきっと口にしなかったことであろう言葉を言われて、俺はまた動揺し始めた。過去のことがフラッシュバックされ、過呼吸になりそうになった時、
「いいじゃんか、個性があってよ」
そんな声がした。顔を向けるとそこにはしゅんたがいた。
「個性?」
俺の目をじろじろみてきた男子がしゅんたに聞いた。
「うん!お母さんに聞いたんだけどさ、人にはそれぞれ個性があるらしい!例えば、俺の髪型だって、これは個性なんだってさ」
しゅんたは嬉しそうに話した。男子は理解できたような、わからないような顔をしながらも「ふーん、そっか」と言ってどっかへ行ってしまった。
「ほら、さとう、早く着替えないと先生に怒られちゃうよ!」
しゅんたは俺が着替え終わるまで待って、一緒に移動してくれた。自分の目のことを気持ち悪がらない人が祖父母以外にいたことがとても嬉しく思えた。「ありがとう」俺は、しゅんたに聞えたかわからないがそう言葉にして言った。
小学校最後の夏、空が紅く染まり始めた頃、家に帰ると祖父母以外の靴が玄関に置いてあった。客人かと思ったがその靴は大人にしては随分小さく、よくみると子供用の靴だった。家の中を進んで、祖父母たちがいる茶の間の方へ向かうと楽しそうな笑い声がした。とても可愛らしい声だった。部屋の扉を開けると、そこには、林檎のように赤い髪の毛の襟足が外にはねて、白いシャツに髪の毛と同じくらい赤く大きいリボンをつけた、男の子か女の子かわからない子供が座っていた。
「え、誰?」
俺が立ち止ったまま聞くと、祖父が「この子はタコ吉くんって言うらしい」と答えた。「タコ吉・・・?」俺はその名前に聞き覚えがあった。その名前がなんなのか気付いた頃には自分の部屋向かっていた。自分の部屋を隅から隅まで調べてみたが、なかった。
「ない、ないよ・・・」
「何がないの?」
突然声をかけられ驚きながらも声の方へ顔を向けると、祖母が立っていた。
「ごはんの時間ですよ?さ、行きましょう?」
そういうと祖母は茶の間へ向かおうとした。俺はそれを引きとめて聞いた。
「おばあちゃん、前におばあちゃんからもらった、あのぬいぐるみ無くしちゃったみたいなんだ・・・」
そういうと祖母はクスッと笑って「無くしてなんていませんよ。きっと。でも、もう見つかることはないかもしれないね」そう言って茶の間へ行ってしまった。タコ吉という名は俺が祖父母の家に来て間もない頃に祖母がくれたタコのぬいぐるみの名前だった。今日来たあの子もタコ吉だった。偶然なのかなんなのかわからないまま俺は茶の間へ向かった。




