第百三十九話 第四章のプロローグ
コミックス版『異世界王朝物語』(文藝春秋社)、ピッコマにて連載中です。
ご覧いただきたく、なにとぞお願い申し上げます。
大戦が終わった。
なしくずしではあったが、学園を卒業した俺。
正式に社会人デビューをするわけだが。
貴族・家名持ちにも、それぞれ……と言うか、家格ごとに、キャリアコースがある。
カレワラ家の後継者であるならば、「10代半ばまでに、王都で」官途を歩み始める。
それが……伝統というか、「ならわし」だ。「そういうもの」なのだそうだ。
と、言うわけで。
約束されていた男爵(仮)位を受けた上で、俺は西へと旅立った。
やはり王都で社会人デビューを果たすべき人々と共に。
極東……要はメルの領邦、封建領土であるが。
その極東を後にして、王都の「直轄州」を通り。
そして再び、メルの領邦……それも「本領」に至り。
さらに西上して、王都を目指す。
この章は、その旅の記録である。
俺は、この異世界全体を極東地域と似たようなものだと考えていたけれど。
そればかりでもないらしいということを、この旅で知ることができた。
「新都」という名が示すように、極東には、フロンティアならではの風通しの良さがあった。
風儀は異なるが、直轄州には直轄州なりの、人々の生活があった。
旅人、あるいはまさに過客として。
生活を眺めながら、土地土地を通り過ぎた。
この章は、その記録をつづったものである。
つまり。
男爵(仮)になった俺。限界を突破してパワーアップ!……ということは、ない。
旅路でのヒロ君の活躍にご期待を!……しないでください。いつも通りですから。
だいたい何だよ。(仮)って。
この章にしたって、旅の記録だと銘打っておきながら、はじめは戦争の残務処理の話だし。
出発までがめんどうだったし。
太子殿下の影に隠れた、地味な旅行だし。
どうしたって、スカッと爽快、単純明快、豪華絢爛には、なりっこないのである。
三ツ葉きあ 様(ユーザID:920558)より、いただいたイラストであります!
ありがとうございます!
フィリア
千早
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