2/2
第1話
「いらっしゃいませ」
扉をくぐってきたお客様に声をかける。
「何名様ですか?」
「俺1人」
「かしこまりました。では、席を案内いたします」
本日第一号のお客様は20代後半に見える男性だ。
漆黒を想像させるような傷みをしらない髪の毛にどこかドラマにもいそうな整った顔立ち。
時間帯が時間帯なのか、今日もお客様は少ない。
まあ、お店自体こじんまりとしているのだけれども。
「ご注文がお決まりになった場合はお呼びください」
とお客様を席まで案内すれば、
「…何故、夜に営業している」
と、もう聞き飽きた質問を投げかけられる。